【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。単位修得試験期間の真っ最中ですが、現実逃避の更新です。
 前の登場回から時間が経ちすぎてるせいで、レイフィールさんのキャラがブレてないか非常に心配です。あとついでにマキナさんも。



Union(3)

 

 創生魔王マギが放ったモンスター軍勢の数の暴力を前に村が蹂躙される。そんな最悪な未来を退けたのは、刹那がかつて出会った二人の人物だった。軽く30体は超えるであろう人型ロボット勢を引き連れたレイフィールと、二本の小太刀を持ったマキナだった。

 

「レイフィールさん!? マキナさん!? どうしてここに!?」

「よ、セツナ。久しぶり。元気そうで何よりだ」

「あ、こちらこそお久しぶりです、マキナさん」

 

 思わずといった体で二人の元へ駆け、そのまま疑問をぶつける刹那をスルーしてマキナはニコニコ笑顔で手を差し伸べてくる。つい反射的に差し出されたマキナの手を握り、マキナに挨拶を返す刹那だったが、ギロリとレイフィールに睨まれたためにレイフィールへと視線を移す。ちなみに、時の女神は空気を読んで一時的に周囲の時間を止めている。

 

 

「ど、どうしましたか、レイフィールさん?」

「……」

「レイフィールさん?」

「何だ、大事な友達を亡くして心神喪失してると聞いたからわざわざここに来てやったというのに、ピンピンしてるじゃないか。チッ、あの自称時の女神め、僕を謀ったな。代償は高くつくぞ」

「ちょっ、自称じゃないわよ! 本物よ私は!」

「女神とうそぶくような奴だ、きっと誰もが顔をしかめる醜女なんだろうな。そんな奴の流言に惑わされるとは……僕もまだまだだな」

「ム、ムキャー! 醜女!? 醜女って何!? 前もそうだったけど、なんでこの子こんなに私に辛辣なの!? 何か女神に恨みでもあるの!? 悪魔だから!? 悪魔と人とのハーフだからなの!? ムキャアアアアアアアアアアアア!!」

「え、レイフィールさん? なんで私が友達を亡くしたことを知ってるんですか?」

 

 レイフィールは刹那の全身をしばらく凝視した後、不機嫌そうに言葉を零す。まるで息をするように女神をけなすレイフィールに女神は激昂、もとい己の銀髪を両手でグシャグシャにして空目がけて奇声を上げる。しかし女神を視認できないレイフィール&マキナは当然女神の声も聞こえない。そのため、刹那は女神の反応を華麗にスルーしてレイフィールに疑問を率直にぶつける。すると、レイフィールは面倒そうな表情を存分に顕わにしつつも刹那に事情を説明した。

 

 レイフィール曰く、先日彼は白昼夢を見たらしい。それは軽くウェーブのかかった銀色の髪を携えた端正な顔つきをした女性、もとい自称時の女神が『刹那ちゃんが大事な友達を亡くしたせいで心がボロボロになっているから助けてほしい』と一方的にお願いをする夢で、彼女は最寄りの時の女神像から刹那の居場所に最も近い女神像までテレポートする『女神像ワープ』なる手段を提示してきたのだそうだ。

 

 そして。代金500Gを払って女神像ワープで実際にこの村までワープしたレイフィールは同じ夢を見てワープしてきた他のメンバーと合流。刹那を探して周囲を散策していた所、人造魔王マギが現れて、今に至るそうだ。

 

 

(それって、もしかして――)

「うん、私が刹那ちゃんの知り合いを呼び寄せたんだ。もしもクゥちゃんの歌でも刹那ちゃんの心を救えなかった時の手段として、ね」

「そ、そうだったんですか……」

 

 刹那の考えをナチュラルに先読みした女神の発言に、刹那は心の中で感謝する。自分がコノハの死に塞ぎ込んでいた時にクゥと30号を呼び寄せたり、レイフィールたちに働きかけたりと積極的に行動してくれていた女神。刹那の女神に対する心証が久しぶりによくなった瞬間だった。

 

 

「すみません、二人には心配をおかけしました」

「ふん。謝るのは殊勝な心がけだが、同族のよしみだ、気にするな」

「右に同じ。セツナの元気そうな顔見られただけでもよかったさ。で、だ。ここは私たちに任せて先に進みなよ、セツナ」

「さっさと創生魔王とやらを倒しに行ってこい」

「え、でも……」

「二度も同じことを言わせるなよ、セツナ。ここは僕たちが抑える。村に危害は加えさせない。……ま、僕としては村人の命などどうでもいいんだが、あの胸くそ悪い魔王の思い描く通りに進む展開なんて願い下げだからな。全力で守らせてもらう」

「全く、素直じゃないなぁ。まだまだ子供なんだからもっと自分の心に正直に生きればいいのに」

「うるさい小娘。黙らないと貴様も僕のロボット軍団の餌食にするぞ?」

「おぉ、怖い怖い」

 

 刹那に先に進むよう提案したレイフィールとマキナ。いくらレイフィールの従えるロボット勢があるとしてもそう簡単にうなずけない刹那だったが、大量のモンスター軍を視界に収めた上での二人の緊張感のない会話は、刹那に『この二人ならきっと大丈夫だろう』との気持ちを抱かせるに十分なほどに余裕に満ちあふれたものだった。

 

 

「わかりました。では、ここは二人にお任せします」

「あぁ、任された。大船に乗ったつもりでいるといい。なぁ、レイフィール?」

「当然だ。あと、一応言っておくが、もう一つの村のことも心配しなくていい。あの二人が上手くやっているみたいだからな。それでも心配なら様子を見てみるといい」

「あ、はい。わかりました」

(……あの二人って、誰でしょうか?)

 

 刹那は脳裏をよぎった疑問がつい口から出るのを抑え込むように首を軽く左右に振ると、レイフィールとマキナを置いて先へ進まんとする。その時、マキナが「あ、そうだ! セツナ! 受け取れ!」と少々慌てた声で刹那に何かを投げ飛ばした。綺麗な放物線を描いて飛んできたそれを受け取った刹那の手には、紫の鞘に収められた小太刀が握られていた。

 

「マキナさん、これは?」

「例のプレゼントだ。前に言っただろ? カナメはそう簡単に壊れるような代物じゃないけど、予備の武器もあった方がいいと思ってな。銘はアカツキだ。大事にこき使ってくれ」

「わかりました! ありがとうございます、マキナさん!」

 

 この異世界で戦闘経験を積んできた結果、何気に片手でも余裕で野太刀を扱えるようになっていた刹那にとってマキナのくれた小太刀アカツキはそのまま戦術の幅が広がることを意味する。ゆえに、刹那はマキナに感謝の気持ちを伝えると、今度こそ二人の元から離れていった。この瞬間より、勇者刹那は野太刀サイズの聖刀カナメと小太刀サイズのアカツキを駆使して戦う二刀流剣士の道を行くことになるのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 レイフィールとマキナに背を向けて走り去る刹那(※ついでにナイトも)は超速レベルアップの影響か、あっという間に二人の視界から消え去ってしまう。と、ここで。刹那の後ろ姿を見つめていたレイフィールは「さて」と軽く息を吐くと、マキナの方へと小柄な体を向けた。

 

「友人の前での見栄はもう十分張り終えただろう、小娘? ここから先は全て僕に任せてもらおうか」

「ん? あんた何言ってんだ?」

「なに、心配は無用だ。すぐに済む。貴様はただ村の中で僕がこの雑魚どもを掃除する様を見届けているだけでいい」

「ハッ、何を言うかと思えば……それは私のセリフだよ。ここからは年上のお姉さんによる独壇場だ。子供は子供らしく村に引っ込んでな」

「「あ?」」

 

 唐突にレイフィールの口から放たれた挑発的な言葉にマキナはやれやれと言わんばかりにかぶりを振ると、売り言葉に買い言葉でレイフィールに対して足手纏い宣言をぶつける。結果、互いに自分を侮られた二人は怒りの念を視線に込めて相手を睨みつける。二人の視線の交差地点で激しい火花が散っているのではないかとの錯覚を抱きそうなほどに、二人は互いを睨みつける。

 

 

「何だ、面白いことを言うじゃないか。あれだけの軍勢を前に、その小太刀一本ごときでどうにかできると本気で思っているのか?」

「思ってるさ。これでも作った刀の試し斬りがてらモンスターはよく狩ってんだ。それにこれは魔刀:クレナイ。モンスターを倒せば倒すほど所有者を超強化する特別仕様だ。あれぐらいの数なら余裕で殲滅できる。あんたこそ、そんなヒョロそうなロボット数十体ごときで大丈夫か?」

「愚問だな。これは僕の現時点での英知の全てを詰め込んだ傑作品だ。そこらの雑魚モンスター相手に壊される要素などない。傷一つつけられないだろうな」

「「……」」

「口先だけなら何とでも言えるな。ここは、そうだな……どっちがより多くモンスターを倒せるか、勝負と行こうではないか」

「へぇ、面白いな。望む所だ、レイフィール!」

「その強気がいつまでもつか、見物だな」

 

 言葉での争いは無意味との結論に達したレイフィールとマキナは妥協点としてモンスター討伐数を競うことを決定する。かくして。レイフィール率いるロボット軍団と魔刀効果で順次超強化されていくマキナによるモンスターの蹂躙劇が幕を開けるのだった。

 

 




 さり気なく、実にさり気なく二刀流剣士になったせっちゃん。
 せっちゃんガンバッ。超ガンバッ。
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