【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回は新キャラが出ます。といっても名前までは出せませんでしたけど。尺の問題ですね、わかります。



Beginning(7)

 

 ひとまずお金を払って時の女神さまに時間を巻き戻してもらった刹那は村の武具屋を訪れていた。理由は単純明快。残虐魔王カマセイヌに派手にやられたせいで刹那の制服は隙間から下着が見えるぐらいにズタボロで、しかも所々が赤く染まっているからだ。

 

 「そんなボロボロの服で村を歩き回るのは色々とマズいんじゃないの?」との時の女神の助言もあって、刹那は今武具屋で自分がモンスター狩りで調達した所持金で買えそうな服を見繕っている。ちなみに武具屋といってもこのアレイヤの村の武具屋には武器は売られておらず、防具や衣服しか売っていない。そのため未だに刹那のメインウェポンはデッキブラシのままである。なぜ防具屋と名乗らないかが非常に謎だ。

 

 結局刹那が武器のない武具屋で買うことにしたのは旅人の服一式だった。旅人の服一式は白と淡い水色を基調にしたシャツにジャケット、そしてショートパンツにテンガロンハットの四点で構成されていて、全体的に軽いレザーの素材でできているのが特徴的だ。刹那はこの爽やかさを前面に押し出したらしい旅人の服一式を、今現在の所持金と服の着心地、そして動きやすさを考慮して購入に踏みきった。この時見た目を全く考慮に入れない辺りが何とも刹那らしい。

 

 買った旅人の服一式をそのまま着用し、「まいどありぃー!」との店主の元気な言葉を背に武具屋の外へと出ていった刹那が捉えたのは「ちょっ、何なのよ貴方たち!?」と叫ぶ声。その声は刹那にとって酷く聞き覚えのある声だった。

 

「ヘヘッ、いいじゃねぇか。ちょっとぐらい俺たちと遊ぼうぜ」

「心配せずとも退屈なんてさせねぇからよ」

 

 刹那がバッと振り返って視線を向けた先。村の一角にて。一人の少女が二人の男に絡まれていた。二人の男はそれぞれ少女の前後に立って少女の逃げ道をしっかりと塞いだ上で少女をどこかへ連れ出そうとしているようだった。麻帆良であろうと異世界であろうと、どこの世界でもあーいった輩は存在しているようだ。

 

 しかし。刹那は二人の男に焦点を合わせることなく絶賛絡まれ中の少女に視線を注ぐ。次の瞬間、刹那は絶句した。二人組の男に絡まれて困っている少女の顔がまるでこのちゃんとそっくりだったからだ。まさか異世界でこのちゃんと瓜二つの顔を見ることになるとはつゆにも思っていなかった刹那は言葉をなくして立ちつくす。その間も状況は進む。女神像のごとく固まった刹那を置き去りにして。

 

「いや! 放して!」

「テメェ! うちの看板娘に何しやが――」

「うるせぇ! 邪魔もんは引っ込んでろ!」

「ガフッ!?」

「ラカンさん!?」

 

 このちゃん似の少女の手を掴んで強引に村の外へ連れ出そうとしている男を止めようと飛び出した中年男性がもう一人の男の鞘つきの長剣を使った唐竹割りで地に叩きつけられる。頭からタラリと血を流してピクリともしない中年男性の姿に少女は悲痛に満ちた声を上げ、ある程度離れた場所から状況を静観していた周囲の人々は騒然とする。

 

「あらら、冒険者が好き勝手暴れてるみたいねぇ」

「……」

「服装から考えて村の外からやってきた人みたいね。冒険者って所かしら?」

「……」

「……刹那ちゃん? 刹那ちゃ~ん?」

「――ッ!? 女神さま!?」

「あ、元に戻った。どうしたの、刹那ちゃん? 何か心ここにあらずって感じだったわよ?」

「……すみません、女神さま。あの子があまりに私の友達にそっくりだったので動揺してしまいました」

「へぇ~、珍しいこともあるものね。で、どうするの?」

「もちろん、助けます」

 

 刹那はいつの間にか自分の元まで降りてきていた女神のデコピンでハッと我に返る。そして我を取り戻した刹那は女神の問いに迷うことなく即答し、少女を助けに向かう。

 

 京都弁を使っていないことやほんわかとした雰囲気が感じられないことから、目の前の少女が正真正銘の近衛木乃香でないことは理解している。だけどこのちゃんの生き別れの双子と言っても問題ないほどにこのちゃんとそっくりの外見をした少女のピンチを放っておくことなど刹那にはできなかった。ゆえに刹那はこのちゃん似の少女救出のために二人の冒険者へと近づいていく。

 

「そこまでです」

 

 刹那は嫌がる少女の腕を引っ張る男の手首をガシッと掴んで力強く握りしめる。超速レベルアップによって人外レベルと化した刹那の握力の強さに男は思わず「あだッ!?」と苦痛の声を上げ少女を掴む手を緩める。そのチャンスを見逃さなかった少女はすぐさま手を引いて男の手の届かない範囲へと距離を取った。

 

「な、何だよテメェ! 邪魔しやがって――って、んだよ。テメェも結構いい見た目してるじゃねぇか。テメェもここの奴か?」

「いえ、私はこの村の住人ではありません。……そうですね。ただの流浪の神鳴流剣士です。力に任せて嫌がる木乃香お嬢さ……ゴホン。女の子に手を出そうとしていたようなので介入させてもらいました。魔王がハメツの呪文を唱えているせいで世界が滅ぶかもしれないって時に呑気にナンパ行為とは、随分と暇なものですね」

「ヘ、ヘヘッ。世界が滅ぶだぁ? んなもんデタラメに決まってんだろ! 真に受けちゃって、バカじゃねぇのか!」

「30秒でハメツの呪文唱えるとか何とか言ってたけど全然滅んでねぇじゃねぇか! それがいい証拠だッ!」

 

 刹那は男二人の不躾な目線をスルーしてギンと睨みつける。刹那の眼光の鋭さに思わずたじろいだ二人だったが、刹那を侮辱することでどうにか気持ちを持ち直す。実際は女神がアレイヤの村の外の時間を止めているから30秒経ってもハメツの呪文が発動していないだけなのだが、そんな事情を知るよしもない男たちは刹那を嘲り笑う。

 

「つーかよぉ。俺たちの邪魔しやがって、覚悟はできてんだよなぁ?」

「女だからって容赦しねぇぞ?」

「そうですか。そちらがその気なら私にも考えがありますよ?」

「ヘヘッ。んなヘボそうな武器で何しようってんだ?」

「すぐにわかりますよ。その身をもって」

 

 下種な笑みを浮かべる冒険者二人に刹那がデッキブラシの先端を向けると二人の冒険者もそれぞれ背中に差していた鞘から長剣を抜く。男二人が得物を抜いたことで周囲に物々しい雰囲気が漂い始め、重い空気に耐えられなくなった観衆の一人が「ひッ」と小さく悲鳴を上げる。

 

「一応言っておきますが、これが最初で最後の警告です。武器を引いて今すぐこの村から去ってください。そうすれば、この場は手を引いてあげますよ?」

「ふざけんなッ! 調子乗りやがってッ! 死ねやッ!」

 

 刹那の言葉にブチキレた冒険者の一人が刹那に向けて長剣を振り下ろしたことにより2対1の戦闘が幕を切って落とされることとなった。

 




 せっちゃんガンバッ。マジガンバッ。
 ま、せっちゃんなら冒険者二人程度、余裕で勝てるだろうけど。
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