どうも、ふぁもにかです。ふと私のお気に入り小説数を見たらいつの間にやら1000件超えてた件について。けどこれらお気に入り小説の内、少なくとも7割は既にエタってるんだと思うと、何だか非常に悲しくなりますね。なんでや、なんで皆完結する前にエタってしまうんや……!
(↑自分のことは棚に上げるスタイル)
超速レベルアップの恩恵を受けた状態で全力ダッシュをしたため、あっという間にもう1つの村周辺へとたどり着いた刹那、ナイト、時の女神の三人。刹那がザッと周囲を一瞥すると、前方から近づくモンスター軍団が見えた。このまま刹那たちが何もしなければ、おそらく後10秒そこらでモンスター勢の暴力は村に到達することだろう。
(レイフィールさんの言っていた『あの二人』は一体どこに……)
刹那はレイフィールの話していた『あの二人』を捜そうとする。当然だ、もしもレイフィールの言う二人がこの場にいないのなら、刹那は村をモンスター軍団の手から守り抜くためにこの場に留まる必要性に駆られるのだから。
「そこは危ないですよ。しゃがんでください、セツナさん。隣の鎧の人も」
「「え?」」
と、ここで。刹那たちの背後から聞き覚えのある丁寧な声が響いた。思わず戸惑いの声を上げる刹那とナイトだったが、すぐに弾かれたようにその場にしゃがみ込む。嫌な予感が体中を駆け巡ったからだ。その瞬間。刹那たちの前方のモンスターの大群が蠢く区間。その周囲一帯が、突如として爆ぜた。沸き上がる爆炎は半球状のドームを形成し、爆風をもって周囲のモンスター約1000体を吹っ飛ばしていく。
「「なぁ!?」」
なすすべもなく炎に呑み込まれたモンスター勢の断末魔が響き渡る中、あまりに圧倒的な爆炎を目の当たりにした刹那たちは驚愕の声を上げる。女神でさえ「な、ななな何よこれぇ!?」と動揺に満ちあふれた声を隠せない。
「天女のように可愛らしいセツナさんのこうも驚いた顔が見れるとは……俺はなんて果報者でしょうか。ねぇ、ツッキーさん?」
「ふっふふふ、ホントだよ! セツナっちのポカーンとした顔なんて見ようと思っても見られるものじゃないもんね! いやぁー、いいもの見れた!」
あまりに現実離れな火力を前に唖然とする刹那へ届く声。その聞き覚えのある声を辿るために刹那が顔を上げた先に、二人の人物を捉えた。
褐色の肌にストレートロングの黒髪、180センチを超える長身に三白眼が特徴的な、龍宮真名とそっくりな男装少女:ライラック。サラシ・ホットパンツ・マント・ブーツだけという露出度の高い服装をした、メガネのない月詠とそっくりな盗賊少女:ナツキ。これまた、刹那がかつて出会った二人の少女だった。
「ライラさん!? ツッキーさんまで!?」
「また会いましたね、セツナさん。お久しぶりです。思ったより元気そうで安心しました」
「あ、はい。こちらこそ、久しぶりですね。二人とも」
「ん。久しぶり、セツナっち☆ 大事な友達を亡くして悲しんでるって聞いたから心配したんだけど……この感じだと無駄足だったかなぁ? 全く、あたしとセツナっちは騎士×盗賊で最強コンビなんだから、これからはもっとメンタルも強くなってもらわないとね!」
「……なるほど、二人も私のためにここへ来てくれたんですね。心配をおかけしました」
最後に会った時から何一つ変わっていないライラックとナツキに刹那はペコリと頭を下げる。自分が
「気にすることありませんよ。女の子が泣いているなら、その悲しみの涙をソッと拭い去って笑顔に変えるのが俺の役目ですから」
「そそ。セツナっちが塞ぎ込んでるのは何か『らしく』ないってことで、あたしたちもここに来たんだしさ」
「……ありがとうございます。ライラさん、ツッキーさん」
レイフィールやマキナ同様、気にしなくていいと言ってくれるライラックとナツキの優しさに刹那は微笑みとともに感謝の言葉を告げる。ちなみに、時の女神は空気を読んで一時的に周囲の時間を止めている。
「と・こ・ろ・で。ツッキーさん、少しお話があるんですが……いいですか?」
「んー? なになにセツナっちぃ~? って、あれ。おかしいな、何だか急に寒気が……」
「それはツッキーさんが薄着だからでしょう? 女の子なんですから、あんまり体を冷やすような露出は控えた方がいいですよ?」
「違う違う! そうじゃない、この寒気はそーゆんじゃなくてもっとこう野性的な本能に基づいた感じの――ヒゥア!?」
ニコリと笑みを浮かべてナツキに問いかける刹那。直後、唐突に寒気を感じたナツキはライラックの言葉を否定しつつ改めて刹那へと視線を移して、裏返った悲鳴を上げた。無理もない、ナツキの眼前には――能面のような顔をした刹那がいたのだから。
「ツッキーさん。なんであの時、お宝全部持っていったんですか!? ねぇどうしてですか!? あの後私がどんな目に! どんな目に遭ったか! 遭わされたか! 知ってますかツッキーさん!? 知ってませんよね!? そりゃあもちろん知ってませんよねぇ、ええ……!!」
「ちょっ!? セツナっちの目からハイライト消えてるんだけど!? 何これ、怖い怖い怖い怖い超怖い! ヘルプ、誰かヘルプミー! ライラ様ぁぁあああああああ!!」
「うーん。ツッキーさんの頼みだから迷わず助けたい所ですけど……こんなに怒ってるセツナさんも新鮮だから俺としてはもう少し見物していたいんですよね」
「ふふふふ、あの時の私と同じ目にいっそ遭ってもらいましょうか? ふふ、それがいいかもしれませんね。名案ですね」
過去にナツキに山分けされるはずのお宝を奪われたせいで女神に時間を巻き戻す分のお金を支払えず、代わりに服を剥ぎ取られて強制全裸になったことのある刹那はその忌々しい経験の元凶たるナツキを仕返しと言わんばかりに全裸にしようとする。
「お願い、ライラ様! 後生です! 後生にござる! このままじゃセツナっちに何されるかわかったもんじゃないって、これ絶対!」
「わかりました。怒ったセツナさんも素敵ですが、女の子は笑顔でいてこそですしね」
「さっすがあたしのライラ様! 話がわかるぅ♡」
ナツキの必死の救助要請を受けたライラックはスタスタと刹那の元へ歩み寄ると肩をトントンと叩く。そして、邪魔をするなとギロリと振り向かれた漆黒の瞳に向けて、ライラックはにこやかに言い放った。「ところで、そちらの鎧の人は彼氏ですか? カッコいい人ですね」と。
この問いの結果、先ほどまで抱えていた憤りはどこへやら、顔を真っ赤にさせて必死に『刹那×ナイト』説を否定する刹那なのだった。
◇◇◇
「……うぅ、さっきは取り乱してすみませんでした。――って、あれ? さっきツッキーさん、ライラ様って言ってませんでしたか?」
ライラックの機転のおかげでナツキの裸が晒されることなく事なきを得た後。怒りに呑まれていた過去の自分の件でライラックとナツキに謝罪した刹那は、ここでナツキがライラックを様付けしていることに気づいた。
「ん? 言ってるよ? それがどしたの?」
「いえ、二人ってさっき会ったばっかりのはずですよね? それにしては凄く仲がいいなと思いまして」
「んにゃ、ライラ様とは前から一緒に行動してたけど?」
「そうなんですか!?」
ナツキが誰かを様付けで呼び、心から慕う。ついさっき会ったにしてはライラックとの距離を詰めまくっているナツキの様子に関して多大な違和感を抱える刹那だったが、ナツキからの意外な言葉で疑問が氷解することとなった。素で驚く刹那を前に、ライラックは「実はですね」との言葉を契機に事情を説明した。
ライラック曰く、彼女は刹那と別れた後に偶然ナツキと出会い、そこで少し話したらやけにナツキに気に入られたらしい。そのため、途中で別行動を取ることもありつつも、大体二人で行動していたそうだ。
(……なるほど。要するに、ライラさんが無意識の内にツッキーさんを口説き落としたということですか)
ライラックに思いを寄せるナツキという構図に刹那は思わず苦笑いをする。
「さて。お喋りはこの辺で止めておきましょう。話すのは後でもできますからね。ということで、セツナさん。ここは俺たちに任せて、先に行ってください」
「え、でも……」
「心配いりませんよ、俺たちにはこれがありますから。村は守りきってみせます」
ライラックは得意げな口調とともに懐から赤く透き通った手のひらサイズの石を取り出した。その綺麗な真紅の石の中では黄金に輝く光が内包されてある。
「これは?」
「炎の精霊を呼び出して使役できる石です。この前ツッキーさんと遺跡を探索した時に偶然見つけたんですよ。威力はさっきセツナさんが見た通りですので、モンスターの数の暴力ぐらい問題ありません」
「あ、あの炎は精霊によるものだったんですか……」
炎の石を見つめる刹那の脳裏に先の爆炎が鮮明にフラッシュバックする中、ライラックは「それに」と言葉を続ける。
「ここにいるモンスターは見た所、スルク大陸には生息していない種ばかりです。そこから察するに、これらのモンスターは全て創生魔王が生み出した傀儡。創生魔王さえ倒してしまえばすべて消滅するでしょう。……創生魔王を倒せるのは、おそらくセツナさんだけです。だからどうか、先へ行ってください」
「ライラさん……」
「だいじょーぶ! 炎の精霊さんが撃ち漏らした分はぜーんぶあたしがその命を盗んじゃうからさ! あの時の借りはここで盗み返させてもらうよ、セツナっち!」
「ツッキーさん……わかりました。二人とも、よろしくお願いします!」
刹那は頼もしい言葉を投げかけてくれるライラックとナツキに頭を下げると、二人に背を向けて魔王城へと向かっていく。その後ろをナイトと女神が追従する中、ライラックとナツキは迫りくるモンスターの軍勢に視線を移した。
「さて、それでは始めましょうか」
「ふっふっふ~! モブモンスター略してモブモン共ぉおおおお! 今からプリティでレジェンドなツッキー様の無双劇の材料になっちゃいな!」
「張り切るのは結構ですが、あまり一人で突っ走らないでくださいね。ツッキーさんは女の子なんですから、怪我をしてしまっては大変です」
「えー、目の前に
「え、知ってたんですか?」
「うん」
「いつから?」
「最初から」
「知ってたのに、私に恋愛感情を抱いてたんですか?」
「愛に性別なんて関係ないじゃない! 大丈夫! 女の子同士でも頑張ればきっと赤ちゃん産めるって、ライラ様☆」
「……」(ツッキーさんが同性でもいける人だなんて聞いてないですよ……)
サラッと己の性的指向をバラすナツキを前に、ライラックはこれからの自分がナツキとともに行動することで受けるであろう心理的負荷を想像してため息を吐く。二人に迫るモンスター陣が強烈極まりない精霊の爆炎に晒される3秒前の出来事だった。
村のことをライラックとナツキに託し、魔王城へ突き進むせっちゃん。
創生魔王マギとの戦いのときは、近い。