どうも、ふぁもにかです。今回で創生魔王マギ戦は終結します。多分今までの人造魔王戦の中で一番文字数を使ったであろう創生魔王とのバトル。はたして勝負の行方はどうなるのか!?
魔王城上空にて。刹那が呼び寄せた借金鳥に一方的な連撃を喰らい怒り心頭な創生魔王マギは、刹那への最高の意趣返し案を思いつき、獰猛な笑みを浮かべる。そして。刹那がハメツの呪文発動を阻止するために時間を巻き戻す中、魔王マギはごく自然に瞬きをした。瞬間、刹那は絶句した。
「ふふ、これだぁーれだ?」
「……!?!?」
愉悦に満ちあふれた魔王マギの問いに刹那は答えられない。当然だ、なぜなら魔王マギは瞬きをするほんの一瞬でその姿を別人へと変えていたからだ。頭から爪先まで、このちゃんとそっくりなポニーテールの少女:コノハの姿へと切り替わっていたからだ。
「な、な……!?」
「さっき言ったけど、マギちゃんは勇者さんをストーキングしてた。だからマギちゃん、知ってるんだぁ。勇者さん、大事に思ってた予知魔王コノハを魔王だからって殺しちゃったんだよねぇ♪ で、しばらくそのショックから立ち直れなかった勇者さんなわけだけど……創生の力で予知魔王コノハとそっくりな容姿になったマギちゃんに刃を向けられるかなぁ? 殺せるかなぁ?」
「……」
魔王マギがコノハに変身した。想定を軽く飛び越えていく展開に刹那が言葉を失い、ただパクパクと口を動かす中、魔王マギは歓喜した。いい意味で自身の想像以上の反応を見せる刹那に魔王マギはコノハの顔であくどい笑みを浮かべ、刹那に次々と言葉を叩きつける。言葉を武器に怒涛の精神攻撃を開始する。
「まぁ無理だよねぇ☆ 傷つけられるわけないし、ましてや殺せるわけないよねぇ。いくら人造魔王を倒せるだけの実力を持ってようと、所詮勇者さんは人間だもの。いくら中身は別人だろうと、大事な友達の姿形をした存在を一度ならず二度までも殺せるわけないよねぇ。にゃっははははははははは! あー、無様無様! これだから人間はダメなんだよにゃあ~♪」
「……」
しかし。魔王マギは知らない。今、自分が刹那の地雷を盛大に踏みまくったことを。刹那の抱え持つ地雷ヶ原の上でノリノリでブレイクダンスをしていることを。魔王マギは気づけない。さっきまで驚愕に目を見開くのみだった刹那の雰囲気がガラリと変わったことに。
「じゃあそろそろ死のうか、
「……」
「なーんちゃって! にゃっはははははははははは――は?」
刹那の変化にまるで気づいていない魔王マギはここぞとばかりに刹那へ報復するための言葉をドンドン重ねていく。コノハの姿形をした自分を傷つけることはできないという考えの元、刹那の心を抉るであろう言葉を選んで次々と口に出す。その思い込みが間違いだとわかったのは、刹那の小太刀アカツキが容赦なくコノハの顔をした魔王マギの右目に突き刺さった時だった。
「ぐ、ぎゃあああああああ!? なッ、なんで――」
「コノハちゃんは死にました。もういません。目の前の存在がコノハちゃんを騙る偽者とわかっている以上、斬れない理由はありません。……創生魔王マギ。あまり私を、見くびるなよ」
「ひッ」
右目に走る激痛を払うために新たな右目を創生しながらも、魔王マギはコノハの容貌を持つ今の自分を躊躇なく傷つけられる理由を刹那に問う。対する刹那は落ち着き払った声で、しかしそれでいて底冷えするような声で魔王マギの問いに言葉を返す。この時、魔王マギは刹那の無表情&人を容易に睨み殺せるレベルの眼光につい悲鳴の声を上げた。
(なッ!? ちょっ、ちょっと待って。今、マギちゃんが、この序列1位のマギちゃんが愚かで醜い人間風情に恐れを抱いたってわけ? 何それ、冗談でしょ?)
「……」
魔王マギが自身の心に宿った刹那への怯えの感情に目に見えて戸惑う中、刹那は内心でただただ憤りの念を募らせていた。
創生魔王マギもコノハちゃん同じ、セラフィエント・ロールによる狂った実験の被害者。それゆえに、刹那の中にはどこか魔王マギを殺すのを躊躇する気持ちがあった。
例え世界を確実に破滅させるために大量のモンスターを創生して村を襲撃させるといった残酷な手法を取ったとしても、一々刹那の神経を逆なでする発言を繰り出していても、時の女神が死ぬ原因となったとしても、それらの根本的な要因は魔王マギに施された仕様のせいであるため、心の奥底ではどうしても魔王マギを殺す気にはなれなかったのだ。
けれど。魔王マギは、この猫女は、やってはいけないことをした。笑って逝くことのできたコノハちゃんを侮辱した。そのことが、刹那はとにかく許せなかった。ゆえに。
「――もう、容赦しない」
魔王マギをこの場で絶対に殺す。一秒でも早くこの世から葬り去る。深い憤りのままに魔王マギを確実に殺すと決めた刹那に一切の遠慮はなく、純白の翼をはためかせて瞬時に魔王マギに接近する。寸での所で刹那の速さに反応できた魔王マギが大剣を振り下ろす形で刹那の左腕を斬り落とすも、当の刹那はまるで止まることなく、一切の苦悶の声を上げることなく、右手に持つ聖刀カナメで逆袈裟を放ち、魔王マギの右腕を斬り飛ばした。
「ガハッ! く、調子に乗るな――アイスシュート!」
魔王マギが激痛から逃れんと右腕を新たに創生する間にも、刹那は時間操作を通して斬り落とされた左腕を速やかに斬られる前の状態に戻しつつ、魔王マギに猛攻を加えんとする。防御を考慮せず迫りくる刹那に魔王マギは眼前に氷の壁を創生し、大剣の横薙ぎで氷を破壊する形で無数の氷片を刹那へ勢いよく飛ばす。
しかしそれでも刹那は全然氷片を回避することなく、己の体に突き刺さる氷片を無視して『閃空斬魔剣 弐の太刀』を放つ。障壁をスルーして的確に背後の敵を斬ることのできる一撃で、咄嗟に分厚いコンクリート壁を創生した魔王マギの体に聖刀カナメによる深い刀傷を刻み込む。
斬撃に遠慮の欠片もなく。防御はまるで考慮せずにとにかく攻撃一辺倒で。致命傷になりかねない怪我は即座に時間操作で治し。とにかく直接死に至るような攻撃以外は避けようとせずにただただ魔王マギを殺さんとする修羅と化す刹那。
いつの間にか、魔王マギはブチ切れ刹那に竦んでいた。震えていた。混じりけのない濃密な殺意をぶつける機械といっても過言でない今の刹那に、怯えないわけがなかった。圧倒されないわけがなかった。呑まれないわけがなかった。魔王マギが刹那の絶対に踏んではならない領域にズカズカと足を踏み入れてしまったのだと気づいた時には、もはや何もかもが手遅れだった。
「真・流刻雷光剣」
逃れようもない死が確実に近づいている。そのように確信した魔王マギの心の揺れ。その隙を的確についた刹那は魔王マギの背後に回り込み、聖刀カナメと小太刀アカツキとを同時に振り下ろす。氣とタイムストリームを思いっきり込められたことで高密度の電気エネルギーを帯電させた二刀は魔王マギを文字通り真っ二つにするかしないかといった所で、自身に詰め込まれた膨大な電気エネルギーを暴発させた。
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」
二刀から解き放たれ、所構わず暴れ回る強大な電気エネルギーは一瞬の内に魔王マギを襲撃し、その尋常でない衝撃により魔王マギは地上へと叩き落される。魔王城を貫き地へと叩きつけられたことで生まれた土煙が晴れた時、そこには全身が黒炭へと変質した魔王マギの哀れな姿があった。
(……マ、マギちゃんが、そんな、マギちゃんが、こんな所で、序列1位が、そんな、ウソだ、ウソだ、ウソだ、ウソだ)
「終わりだ、創生魔王」
魔王マギはほんの少しでも気が緩んでしまえば吹っ飛んでしまいそうな微かな意識の中、必死に己の体を創生して治そうとする。しかしそれを許す刹那でない。即刻魔王マギの傍らへスタッと華麗に舞い降りた刹那は魔王マギの首を獲らんと聖刀カナメを振りかぶる。
「ウ、ソだ。ウソ、だぁ!」
まるで思い通りにならない展開。自分が今まさに殺されようとしている状況。強者であるはずの自分が弱者の立ち位置にいる現実。それらが信じられず、魔王マギは必死に声を上げる。だが、その叫びは刹那の無情な凶刃によって断ち切られ、最期の言葉と化す。首と胴体とが離れ離れになった魔王マギは間もなく消滅した。
かくして。最後の人造魔王こと序列1位:創生魔王マギとの激戦は刹那の勝利という形で収まり、刹那は見事、時の女神が守りたいと願った世界を守り抜いたのだった。それは残り時間『01’97』の出来事であった。
見事、人造魔王計7体を討伐し終えたせっちゃん。
せっちゃんお疲れさま。マジお疲れさま。