どうも、ふぁもにかです。ついに最終話終結まで残りわずかとなっております。
いやはや、長い道のりでしたねぇ。
激戦を制し、創生魔王マギを撃破した刹那は、魔王マギ消滅に伴ってその体からあふれだす膨大なタイムストリームを回収する。自分が麻帆良へ帰るために必要不可欠なエネルギーたるタイムストリームをしっかりと収集する。
(これだけあれば麻帆良へ帰れますね。良かった)
刹那が取り込んだ女神の知識から、今の刹那が所持しているタイムストリームが麻帆良へ帰るにあたって十分すぎる量であることを知った刹那は安堵の息を吐く。これで長かった異世界生活を終わらせることができると息を吐く。
「それが貴様の真の姿か?」
ふと刹那の背後からぶっきらぼうな声が掛けられる。刹那が背後へ振り向くと、レイフィール・マキナ・ライラック・ナツキ・ナイトの5人がそろい踏みしていた。どうやら魔王マギを倒したことで、魔王マギが村を襲わせるために創生した大量のモンスター軍は消滅したようだった。
「綺麗な翼、持ってるじゃないか。その銀髪もサファイアの瞳も悪くない。羨ましいな。全く、貴様を忌み嫌ってきた周りの連中の気が本当に知れなくなってきたな。邪神崇拝でもしてたのか?」
「あ、あはは。ありがとうございます、レイフィールさん。でもこれは私の本当の姿ってわけじゃないんですよ?」
「む、そうなのか?」
「はい」
刹那は折角だからということで、皆に全てを話すことにした。
今の自分の姿はレイフィール、マキナ、ライラック、ナツキの白昼夢に現れた時の女神を取り込んだ結果であること。自分は元々異世界にて生きる半妖で、原因不明のままこの世界へとやって来たこと。人造魔王が持つ膨大なタイムストリームを使えば元の世界に帰れるかもしれない、その可能性を信じて魔王討伐の旅を始めたこと。そんな刹那のカミングアウトに、元から刹那の事情を女神経由で知っているナイト以外の4人は例外なく目を点にしていた。
「皆さんがいなければ、私は人造魔王に勝てませんでした。人造魔王に勝てずに、元の世界に帰るチャンスを掴めないまま、終わっていたでしょう。本当に、ありがとうございます」
「いえ、感謝するのはむしろ俺たちの方ですよ、セツナさん」
「だな。セツナがいなかったら私たちはとっくにハメツの呪文で滅んでただろうし」
「そうですよ、セツナさん! だから頭を上げてください」
己の事情の全てを5人に暴露し終えた刹那は頭を下げて感謝の意を示す。するとライラック、マキナ、ナイトの3人が即座に刹那に感謝する必要はないとの旨を伝える。当然だ。彼らからしてみれば刹那は、目的はどうであれ自分たちの愛する世界を救ってくれた大恩人なのだから。
「けど、そっか。セツナっち、帰っちゃうのかぁ。寂しくなっちゃうね」
「ツッキーさん……」
「ま、でもまた会う時までの短い辛抱だよね。あたし、その間にもっと強くなるから。女神さまを取り込んでメチャクチャ強くなったセツナっちに負けないぐらい強くなって、騎士×盗賊の最強コンビに恥じないプリティでレジェンドなツッキー様になってみせるから。楽しみにしててよね、セツナっち!」
「「「「「えッ?」」」」」
ナツキはポツリと刹那との別れを惜しむ言葉を呟いたかと思うと、拳をギュッと握って声高に決意表明をする。しかし「何言ってんのこいつ?」と言いたげな5人の視線の対象となったナツキはわけがわからないまま「え、え?」と戸惑いの声を上げる。
「……ツッキーさん。その、楽しみにしている所悪いんですが、私は皆さんともう二度と会えないと思います。私がこの世界に来れた原因がわかっていませんから」
「え、ええええ!? もう会えないの!? セツナっちとこうして出会ったんだから、また会えるって思ってたのにぃ……」
刹那が気まずそうな口調で困惑中のナツキに現実を示すと、ナツキはガーンという擬音を引き連れてガクッと残念そうに頭を下げる。明らかに意気消沈してしまったナツキをどう元気づけたものかと刹那が考えあぐねていると、唐突にレイフィールが「ク、ククッ、クハハハハハハ!」といかにもマッドな笑い声を上げ始めた。
「レ、レイフィールさん?」
いきなり笑い出したレイフィールに皆が怪訝な眼差しを向ける中、「そうか。そうだな。そこのアホ娘の言う通りだ」と愉快そうに笑う。
「ア、アホ娘言うな! あたしにはナツキっていう、それはそれは素晴らしい名前があってだむぎゅ!?」
「今は大人しく僕の話を聞け、アホ娘。セツナがいた世界とこの世界。異世界同士、本来ならば交わるはずのない世界同士だ。しかし。原因不明とはいえ、セツナは僕たちの世界に来れたんだ。ならばもう一度セツナがこの世界を訪れることも、あるいは僕たちがセツナの世界を訪れることも不可能ではないということにならないか?」
レイフィールはプンスカ怒るナツキの口を手で塞いで黙らせると、先ほどのナツキの発言を契機に思い至った自論を展開する。そのレイフィールの主張に刹那は「あ……」と目を見開いた。
「となると、次の僕の研究は『世界を越える方法』って所か。ククッ、胸が躍るな」
「なるほど。そういうことなら今生の別れを告げるのは間違いですね。セツナさんとの再会を信じて、ここは笑顔で別れましょうか。その時までに、俺も一介のロステクハンターとして何か歴史的発見となりそうなものを発掘しておきますので楽しみにしていてください」
「そんじゃ私も。次に会う時までにカナメやアカツキよりももっともっと凄い刀作ってみせるから、期待してな」
「皆さん……」
レイフィール、ライラック、マキナの3人はそれぞれニィと口角を吊り上げて刹那に語りかける。そんな彼らの言葉に刹那はつい泣きそうになってしまう。だが『笑顔で別れよう』とのライラックの発言を受けて、刹那は笑みを浮かべるように努めた。
(私は、出会いに恵まれましたね。皆、とても優しくて、本当に私にはもったいない人たちです)
「あ、あの! セツナさん!」
と、ここで。これまであまり話に加わらなかったナイトが声を上げる。一大決心をしたかのような顔つきをしたナイトに刹那が疑問を抱く中、ナイトは勢いよく頭を下げた。
「――お願いします! 僕も、僕もセツナさんの世界へ連れて行ってください!」
最後の最後で爆弾発言をしちゃうナイトくん。
流石だぜ、ナイトくん。ナイスだぜ。