どうも、ふぁもにかです。今回はヘルマン戦……にはまだ入りません。あと、描写はしていませんが、せっちゃん乱入シーンをエヴァちゃんは遠くからニタニタ顔で眺めてます。そんな見た目幼女なエヴァちゃんを保護者の茶々丸さんは微笑ましげに眺めています。エヴァちゃんマジ可愛い。
ネギの窮地を救った、桜咲刹那。行方不明だったクラスメイトが銀髪碧眼の姿でカッコよく舞い戻ってきたシーンを目の当たりにして、水牢脱出のために円陣を組み(※ヘルマンの配下たる幼女姿のスライム3体に木乃香の杖の存在を知られないため)木乃香の杖で火を灯さんとしていた水牢囚われ組メンバー+明日菜は足が地につかない状態となっていた。
「あの姉ちゃん、確か神鳴流剣士の……つぅ」
「え!? へ!? ちょっ、あれってまさか――刹那さん!?」
「え、でも銀髪になってますよ!? 目も青くなってますし、どういうことですか朝倉さん!?」
「いやいやいや! 私に聞かれてもわからないって、ゆえっち!」
「おー! カッコいい登場アルヨ!」
「えーと。今、桜咲さんに翼が生えてたよーな?」
「おおおおお! 刹那の姉さん、ナイスタイミングですぜ!」
ヘルマン渾身の腹パンのダメージが抜けきっていない小太郎が痛みに表情を歪めつつ呟くのとは対照的に、明日菜・夕映・和美・古菲・のどか・ついでに変態オコジョのアルベール・カモミールは一様に、高揚を隠せないまま口々に脳裏に思い至った感想を述べていく。ある者は興奮気味に。ある者は困惑気味に。しかし、とある一人だけは例外だった。
「せっ、ちゃん……?」
一人だけ。近衛木乃香だけは、呆然と刹那を見つめるのみだった。
◇◇◇
「ネギ先生、立てますか?」
今現在。愛しの木乃香に見られまくっていることを知らない刹那はお姫さま抱っこをしているネギに語りかける。しかし。刹那の持つ流麗な雰囲気を目の前にしたネギは我を忘れ、ボォーと刹那を見上げるのみ。どうやら刹那の声は届いてないようだ。
「え、ちょっ、ネギ先生? 大丈夫ですか? まさか見た目より結構重傷なんじゃ――」
「あ、う、いえ!? ぼ、僕は大丈夫です! 立てますので、下ろしてください」
「わ、わかりました」
ネギの状態が意外と深刻なのではないかとオロオロし始めた刹那を前にハッと我に返ったネギは自分は大丈夫だと告げ、お姫さま抱っこから解放してくれるよう刹那にお願いをする。その後、刹那にそっと降ろされたネギは即座に刹那に詰め寄った。
「今まで、今までどこに行ってたんですか刹那さん!? 心配したんですよ!? 皆で捜したのに全然見つからなかったし――」
「そのことに関してはすみません。ですが話は後です。ネギ先生、見れば大体わかりますけど、今の状況を簡単に教えてくれませんか?」
「は、はい」
刹那に問われたネギは今の状況を説明しようとして、気づいた。刹那の右脚が石化していることに。右脚を起点に、徐々に刹那の体全体へと石化現象が侵食していることに。
「せ、刹那さん! 脚が!」
「脚? あぁ、さっきの光が少し当たったみたいですね。我ながらうかつですね」
「は、早く治療してもらわないと――」
ネギは悲痛に満ちた声を上げる。当然だ。この場において石化を治せる可能性があるのは木乃香だけ。加えて、当の木乃香はヘルマン側に囚われている。ゆえに、ネギは1つの未来を幻視した。刹那もまた、村の皆みたいに為すすべもなく石化する未来を想像した。
だが、そのような悲劇的展開は訪れなかった。刹那が「大丈夫ですよ、ネギ先生」と優しい声色で口にした瞬間、石化していたはずの右脚がすっかり元通りになっていたからだ。
「えッ!?」
「「「「「「えええええええええええええ!?」」」」」」
「む、今のは一体どういうカラクリかな?」
「敵にわざわざ自分の手の内を晒す人がどこにいますか? それより、ネギ先生。今の状況を教えてください」
「は、はい!」
ネギが、人質組メンバーが驚愕を隠せない中、時間操作で石化する前の右脚の状態を取り戻した刹那はヘルマンの問いをすげなく跳ね除けると、何事もなかったかのようにネギにもう一度今の状況の解説を求める。
ネギは眼前の上位悪魔についての情報を語った。何が目的かよくわからないまま自分に立ち塞がり、自分に本気を出させるために生徒7名を人質に取り、おそらく明日菜さんの胸元につけられたペンダントで魔法無効化能力を逆用して襲いかかってきているのであろう上位悪魔のことを。
「……なるほど。つまり、明日菜さんを助け、胸元のペンダントを壊して、あの悪魔を倒すだけの簡単なお仕事ってことですね。その際、人質の皆を救出できたらなお良しですか。……ネギ先生。ここは私に任せてくれませんか? すぐに終わらせますので」
「私を侮ってもらっては困るな、サクラザキセツナ嬢」
「侮ってなんていませんよ。ただ正当な評価を下しただけです。だってほら――」
刹那に下に見られたことに不機嫌な表情を浮かべるヘルマン。対する刹那はヘルマンごとき眼中にないとでも言いたげにスッと目を閉じる。
「――明日菜さんの救出はもう終わりましたから」
その直後、ネギたちは見た。一瞬にして姿を消した刹那が次の瞬間には明日菜をお姫さま抱っこした状態でネギの側近くまで移動していた様を。
『ッ!?』
刹那以外の全てが今度こそ驚愕した。心の底から驚きを顕わにした。その中でも特に驚いているのは助けられたはずの明日菜。「うえ!? え、ええええ!? なに、どういうこと!?」と困惑の念を存分に言葉に表している。
刹那が何をしたか。答えは簡単、ただお金を代償に時を止めて明日菜を救出し、さも超スピードで明日菜救出を成し遂げましたよと言わんばかりに振る舞っているだけだ。
「今の動きが見えなかったのなら、大人しく降伏した方が身のためですよ? どう足掻いても勝てない相手との戦いは避けるのが賢明、それぐらいはわかりますよね?」
ただいま絶賛困惑中の明日菜を抱きかかえる刹那は明日菜を両足で立たせるようにしてゆっくりと下ろす。そして。明日菜の胸元につけられたペンダントを取り、氣を込めた親指と人差し指で押しつぶす形でペンダントを粉々に破壊しつつ、ヘルマンに降伏を要請する。あたかも自分とヘルマンとの間に覆しようのない圧倒的な力の差があるかのように、刹那は言葉を畳みかける。
(敵を動揺させた分だけ、私の実力を誤解させた分だけ、より安全確実に勝利できますからね)
精神攻撃は基本。刹那が異世界での度重なる戦闘経験から学び取った技術である。
「それで? どうしますか?」
「……ふむ。サクラザキセツナ。調査内容はあくまで『ネギ・スプリングフィールドとカグラザカアスナが今後どの程度の脅威となり得るか』だったが……サクラザキセツナ嬢。君の脅威度も調べた方がよさそうだ」
「引く気はない、ということですね」
「そういうことになる。相手をしてもらおうか、退魔師の少女よ」
ヘルマンは刹那を鋭く見据えて拳を構える。刹那が自分の実力を過大評価させる言動を取ったにも関わらず、まだ己が優位だと考えていそうなヘルマンの佇まいから察するに、どうやら刹那の仕掛けた精神攻撃はヘルマンに効いていないようだ。
(さすがに時間操作のことはバレてないでしょうが……私がそう何度も明日菜さんを救出した時のような動きをできないことは悟られてそうですね)
刹那は聖刀カナメと小太刀アカツキを構えてヘルマンに油断なく視線を注ぐ。そう、今の刹那はあまり時間操作を行えない。というのも、今しがた時間を操作した時に刹那は気づいたのだ。麻帆良からでは、異世界に保管されてある女神金庫にアクセスできないことに。
要するに。今の刹那が時間操作のために犠牲に捧げるお金は自分のポケットマネーしかないのである。これまで『このちゃん第一主義』を掲げ、同室の龍宮真名のように仕事ごとに報酬を要求していない刹那に金銭的余裕があるわけがなく、それゆえに時間操作はおいそれと使えない切り札的立ち位置を余儀なくされているのだ。
(ハッタリが通じないのなら時間操作しなければよかったですね。時間操作なしでも虚をつけば明日菜さんの救出は普通にできましたし。無駄にお金を失ってしまいました。うぅ……)
「明日菜さん。ネギ先生のこと、よろしくお願いします」
刹那は内心で無駄に犠牲にしたお金を嘆きつつ、それでも表向きはキリッとした表情で明日菜にネギのことを頼む。そして。「あ、ちょっ、刹那さん!」とつい刹那の方へ手を伸ばす明日菜を無視して刹那はヘルマンへと駆ける。かくして。上位悪魔と異世界で超強化された神鳴流剣士との戦いが勃発するのだった。
私TUEEEEなノリで早速囚われの明日菜さんを救っちゃうせっちゃん。
きゃー! せっちゃん、カッコいい! こっち見てぇええええええ!