ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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1ー12 この緊張感の無い人質にはお帰りを!

俺がイムルの村でぶっ倒れていた所をベルディアとかいう魔王軍の使いっぱしり・・・もとい幹部に拘束されてから数日。待っていたのは劣悪な環境に辛い拷問・・・

 

 

「ンだこのシケた飯に酒はよぉ!?もっと上等なモン持ってこいよ!!ロマネ・コンティなりドンペリなり自腹切って貢げよおい!!あぁーあ!!どうしようかな!?もう脱出しちゃおうかな!!この城跡形もなく消してやろうかな!!」

 

「もう・・・大人しくしてくれよ・・・何で貴様はこんな状況でそんな態度が取れる・・・」

 

 

という訳でもなく案外ギルドにいた頃より充実して楽な生活を送っていた。

こうして毎度毎度脱出するぞ詐欺をしてベルディアを脅して彼を使いっぱしりにして豪勢な飯や酒を食らっていた。

と、言うわけで俺の入れられてる牢屋・・・・・というか無理言って高級ホテルのスイートルームクラスまで仕立てさせた部屋で右手を壁に繋がれている事以外は快適に暮らしていた。

 

向こう側も最初は渋っていたが俺が誠心誠意真心込めて☆O☆NE☆GA☆I☆をして()()()()☆O☆HA☆NA☆SHI☆をしたところ、快く承諾してくれたんだ。いやー!良い奴等だな!アッハッハッハ!

 

 

「いつもすまないねぇ!ベルディア君!君には感謝してるよ!お願いして、色んな世話をしてもらってさ!」

 

「やかましいっ!!目覚めた直後に俺以外の奴等をほぼ皆殺しにして城に風穴空けながら脅してきたのは何処のどいつだっ!!」

 

「いいじゃん別に!こんなジメジメした城にも偶には日光入れないとやってけないよ!?」

 

「日光が入ってきたらマトモにやっていけないんだよこっちは!!ただの嫌がらせでしかないわ!!あれな!夜の内に俺が1人でコツコツ修復してんだぞ!?」

 

 

面白いなぁ~・・・このアンデッド。

しばらくからかってるけどもうこの衰え知らずのリアクションと突っ込みはホント才能だと思う。何処のメガネ掛けられ器を思い出すなぁ・・・

 

 

「ハァ・・・俺はアクセルへともう一度繰り出す。大人しくしてろよ!いいな!?」

 

「えっ・・・ちょっと・・・ごふぁんがまだぁですよ・・・?あいつ出てきやがった・・・!」

 

 

おいふざけんなよ!俺は1食抜いただけでも餓死するんだよ!どこぞの少佐みたいな感じなの!!

 

だが、幾ら叫ぼうとも自分以外誰もいなくなった空間で応答してくれるのは誰1人としていない。

静寂に包まれる空間のなか、何かが切れる音がした。

 

 

「─────卍解!!」

 

 

轟音と共に廃城に二つ目の風穴が穿たれた────  

 

~*~ 

 

「サクさん・・・どうしちゃったんだろう・・・」

 

 

憂鬱と心配から机に突っ伏し溜め息を漏らす。

紅魔の里から上京してきた彼女には友達が少ない・・・というかほぼいない。つまるところのボッチである。

友達を作ろうにも彼女の控え目、慎重、そしてコミュ障という典型的な友達の出来ない人間モデルなため、全く友達が出来ない彼女だった。

 

しかし、ひょんな事から親しくなった元冒険者、現ギルド職員の物部朔。彼だけには一緒のベッドで寝たり、眠ってしまった彼の世話を焼いたりと存外、紅魔族での同級生達以来の親友とも言える関係になっていた。

更に先日はなんやかんやありデートの約束までも取り付けその日の内に細かい日程まで決め、楽しみにそわそわしていたのだが・・・そんな彼は1週間程前から失踪して、行方も一切掴めない。

 

同行していた新人職員のキノア曰く村に発生したアンデッドを討伐しに向かった・・・との事だったが、ベルディア襲撃と彼の失踪は同時刻に起こってしまった為、調査隊の派遣が遅れてしまった。

襲撃から2日後に村へと調査隊が向かったがそこにはアンデッド達の死体の山と壊滅した村だった。

 

生物と呼べる物は一切無かった。只の一つさえも。

そんな事があり、彼は失踪扱いと表向きにされているが一部では死亡したのではないかという説が流れている。

 

そんなことを思いだし再び溜め息を溢す。

だが、突然ガタン!と、大きな音と共に何かが勢いよく彼女の目の前に置かれた。

 

少しだけ目を上げると木の器に盛られた湯気の立ちこめる温かな料理が数品、お盆に乗せられていた。

 

 

「隣いいですか?ゆんゆんさん、あなたの分の料理もありますよ?」

 

「あ、ありがとうこざいます・・・えっと、ルル・ベル・・・じゃなくてルナさん・・・でしたよね?」

 

「どこぞの変身褐色女の名前が聞こえたんですけど・・・じゃなくて、仰る通り一応モノノベ君の先輩、職員のルナですよ」

 

「な、何でそんな事をわざわざ・・・?」

 

 

そう問いかけたゆんゆんにルナは普段の誠実そうな雰囲気とはうって変わって少し意地悪そうな笑顔を浮かべる。

 

 

「自慢・・・では無いのですけれど貴方より付き合いが長いという事ですよ、ゆんゆんさん。それで本題なんですけど、彼は帰ってきますよ。いつもの若干腑抜けた顔で」

 

 

その声に勢いよく顔を上げるゆんゆん。その分かりやすいリアクションにクスリと笑いながらも彼女は話を続ける。

 

 

「彼、ギルドでのいざこざを対処したり、ギルド内で問題を起こした人にちょっとお仕置きを加えたり・・・そんな用心棒みたいな仕事もしてるんです」

 

「・・・?」

 

「ゆんゆんさん・・・・・モノノベ君に気、あるんでしょう?」

 

 

チビチビと口を付け、飲んでいたシュワシュワを勢いよく吹き出し咳き込むゆんゆん。そしてルナの発言のせいで顔を真っ赤にし、ぷるぷると震えながら「え?」と小さく声を発する。

そんな彼女を見て再び笑いを溢しつつも話を続けるルナ。

 

 

「だって、この前なんて彼、私に───」

 

「ルナ君!すまない、急いで来てくれ!」

 

 

仕事で使う敬語を忘れ、明るい口調で口を開いた彼女だったのだが、どこぞの声がデカイ所長によってそれは遮られてしまう。カウンターの方へと返事を返すとお盆を持ち上げてゆんゆんに「ごめんね」と小さく言ってから裏へと行ってしまった。

 

 

「な、何でバレたの・・・・・?」

 

 

そんな彼女の背中をポカンと見つめ、静かに呟いたゆんゆんだった───

 

~*~

 

「なぜ城に来ないのだ、この人でなしどもがあああああっ!!」

 

 

アクセル正門の前、そこにはこの街の冒険者が集まり、ベルディア率いるアンデッドの軍団と対峙していた。

 

そして、カズマにめぐみんを見つけると開口一番に叫んだのが人でなしとかお前が言えたことかと満場一致で思わせるあの言葉だった。

カズマが珍しくめぐみんを庇うように前へ出るとベルディアと会話しようと口を開いた。

 

 

「いや、その・・・なんで行く必要なんかあるんですか」

 

「KMRなのか貴様はああああああっ!!」

 

(こいつホモ・・・!?)

 

 

カズマの中でベルディア野獣先輩説が提唱されたが心底疑問に思っていることがある。

別に爆裂魔法を撃ち込んでもないのに、なにをそんなに怒っているのかと。

 

それを言葉にしてみるとベルディアはプルプルと怒りを露にしながら左手に持っていた球体を地面に叩きつけ・・・ようとして、自分の頭だと気付き慌てて脇に抱え直す。

 

 

「爆裂魔法を撃ち込んでもいない?撃ち込んでもいないだと!?何を抜かすか白々しいッ!そこの頭がおかしい紅魔の娘が、あれからも毎日欠かさず通っておるわ!」

 

「ファッ!?」

 

 

文節を言う度に力強くなっていくベルディアの声。

それに対し思わず汚い声が出てしまったが慌てて顔をめぐみんの方へと向ける。すると、それに合わせて彼女も顔を逸らした。

 

 

「・・・・・・お前、行ったのか。もう行くなって言ったのに、あれからまた行ったのか!」

 

 

彼女の柔らかい頬を右へ左へと弄くり回してイライラをぶつけているなかめぐみんが必死に弁明を始める。

 

 

「ひたたたたたたたた、いた、痛いです!違うのです、聞いてくださいカズマ!今までならば、何もない荒野に魔法を放つだけで我慢出来ていたのですが・・・!城への魔法攻撃の魅力を覚えて以来、大きくて硬いモノでないと我慢できない体に・・・!」

 

「もじもじしながら言うな!というか余計にお前の爆裂欲求が高まって面倒くさくなっただけじゃねーか!!」それにお前、魔法撃ったら動けなくなるだろうが!てことは、一緒に通った共犯者が───」

 

 

彼の言葉の途中、音の鳴っていない口笛を吹いて何処かへ立ち去ろうとする厄介事の女神がいた。

先程のめぐみんと同じく頬を弄られたアクアだったが「仕返しがしたかった」という録でもない、本当に女神なのかを疑わせるような返答が帰ってきた。

 

そんな小芝居を見せられていたベルディアだが、まだ怒りは収まらないらしく再び怒声を上げた。

 

 

「この俺が真に頭にきているのは何も爆裂魔法の件だけではない!貴様らには仲間を助けようとする気はないのか?不当な理由で処刑され、怨念によりこうしてモンスター化する前は、これでも真っ当な騎士のつもりだった。その俺から言わせてみれば、仲間を庇って呪いを受けた、騎士の鏡の様なあのクルセイダーを見捨てるなど・・・!」

 

 

突然学校の教師のように説教を始めたベルディアに「何言ってんだこいつは。」と、一同が感じ軽く引いている中、ガシャガシャと重い鎧を鳴らしながら人の波を掻き分けながらダクネスがカズマの隣へと立った。

 

先程の説教も聞かれていたらしく頬を染めながら片手を挙げて「・・・・・・や、やぁ」と呟いた。

それを見たベルディアは兜越しでも分かるほどに唖然としながら素っ頓狂な声を上げた───

 

~*~

 

あの後、幾度となくアクアの神聖魔法をセリフ途中に浴びせられていたベルディアだったが、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、右手を振り上げ。

 

 

「街の連中を。・・・皆殺しにせよ!行け!!我が軍勢の屍共よ!!」

 

 

その瞬間、後ろにいた甲冑を着こんだそれなりに強そうなアンデッドの軍団は灰となり、10メートル程遠くにいるカズマ達にも届くような火柱となって昇天した。

 

 

「え・・・?いや、行けってそっちの逝け・・・じゃなくてgoの方だから、dieの方じゃないから・・・」

 

 

もちろん、命令されたから逝った訳ではない。オドオドしているベルディアに怒声が上空から降りかかる。

 

 

「おいこらこのち○かすアンデッド・・・俺の昼飯はどうしたこの野郎おおおおおおおおおっ!!!」

 

 

ゆらゆらと周りの燃え盛る炎も意に介せず刀を持った鬼がベルディアへと迫っていた────

 

 




僕はホモじゃない
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