ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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いい加減、話を動かしたい。
多分次回からは結構動きがあると思います。


exー09 この劣勢な状況に逆転を!

「そ、それで・・・朔さんは?」

 

「いえ・・・正直、私には今の彼がどんな行動を起こすのか・・・」

 

 

我が物顔で世界を多覆い尽くし、支配していた夜が顔を出した太陽によって世界から追い出されていく。

まるでこびり付いた汚れを払い、素顔を覗かせるように。まるでモノクロのキャンバスに絵の具をたらし、色を付けていくように。

 

そんな夜明けの中、一夜を明かしたウィズとゆんゆんが再び顔を合わせていた。失踪したギルド職員、物部朔―――正確には彼の中に存在していたもう1つの人格、骸王と言う歴代最強の冒険者の行方をあれやこれやと詮索していた。

 

 

「それに・・・恐らくですが、彼と・・・・・コト(戦い)を構えることになってしまうかも・・・しれません」

 

「そ、そんな・・・で、でも・・・・・そうなってしまった時、しょ・・勝算は・・・あるんですか?」

 

「・・・今の時代、兵は数より質の時代です。前時代では兵や兵器の物量、そして策略と兵法に依存した闘いばかりでした。ですが、冒険者という者達が生まれてからというもの、レベルの高い冒険者や兵、それらの前には先程話した物量や策略等は意味を為しません。そんな冒険者たちの頂点である彼には・・・魔王軍幹部でも束にならないと・・・・・勝算は万に一つもないかと・・・」

 

「そ、そこまでの・・・実力・・・何ですか?」

 

「・・・・・えぇ」

 

 

彼女の体に衝撃が走る。開いた口が塞がらない。まるで、自分の体が自分の物ではなくなる、操られてしまったように。

普段の彼女ならば、はっきりと物が言えない性格だとしても、嘘だと信じて疑わないだろう。だが、今の状況、彼女の剣呑な雰囲気、それらを鑑みて、確信する。これは、紛れもない事実である、と。

 

 

「ど、どうすれば・・・良いんでしょうか?」

 

「彼に一人で対抗出来るような人物は・・・恐らく、私の知るなかでは・・・一人・・・だけ」

 

「本当ですか!?」

 

「え、えぇ・・・」

 

「あ、す・・・すいません」

 

 

思ったよりも自分が声を荒げ、ウィズを驚かせてしまったことを詫びるゆんゆん。

だが、そうなってしまうほどにウィズの一言は衝撃的であり、この状況に希望を射すものだった。

 

 

「いえいえ・・・それでですね・・・その人物なんですが・・・その・・・性格に難あり・・・でして」

 

「そ、それでも!その人の所に頼みに行くしか・・・!」

 

「最悪・・・有無を言わさず殺されちゃいます・・・多分()》に殺されずに会話が出来るのは・・・私と恐らくですがキノアさん、それにミツルギさん、反撃は出来ませんがダクネスさん・・・位かと」

 

「・・・そう・・ですか・・・・・」

 

 

痛々しいほどに実感する力不足。自分では役者不足であると。自覚はしている。それでも連いて行きたいという感情が沸き上がり、それは許されない駄々でもあると。

 

行き場のない感情が歯軋り、という形で現れてくる。

 

 

「ゆんゆんさん、あなたにも来てもらいたいのですが・・・どうですか?」

 

「・・・え?」

 

「彼と親しいあなたが来てくれればもしかしたら・・・と思うのですが・・」

 

「そ、それは・・・行きたいですが・・・・・良いんですか?わ、私じゃあ力不足じゃ・・・」

 

「大丈夫です。私が、絶対に守ります。どんなことになろうとも、必ず」

 

「て、店主さん・・・!ありがとうございます!!」」

 

 

感極まったゆんゆんがウィズに椅子から飛び出して抱きついたおかげでウィズの頭部に多大なダメージが入ってしまった。

 

~*~

 

「先輩の所へ・・・ですか?」

 

「えぇ・・・というか、大丈夫ですか?キノアさん・・・」

 

 

昼下がりの午後。それなりに日も暮れてしまったため、夕食を取りにと、冒険者達が集まり、やはりそれなりに活気づいているギルドに訪れたゆんゆん。

受付嬢として日々の激務に追われているキノアは朔の欠員のおかげなのか、いつもよりも髪はボサボサ、若干やつれていた。

 

 

「先輩の為だし、職務を抜けられるから良いのですが・・・一体何をするんですか?」

 

「正直話しにくいので、一旦上がってもらうことって・・・できます・・か・・・・ね?」

 

「ありがとうございます!ありがとうございますゆんゆんさん!!これで仕事を抜けられます~!!」

 

「何でそんなに感謝されるか分かりませんが・・・表で待ってますね?」

 

 

とんでもなくキラキラした顔で詰め寄られたおかげか段々と言葉が尻すぼみになってしまったが、何とか約束の取り付けにする。そしてニッコリと満面の笑みで彼女は冒険者ギルドを後にした。

 

 

「ルナさ~ん!ちょっと私上がらせてもらいますね~!!頑張って下さ~い!!」

 

「えっ!?ちょっ、ちょっとキノアちゃん!!待って!モノノベ君に加えてキノアちゃんまで抜けられたら・・・!待って!行かないでキノアちゃ~ん!!」

 

 

後ろで、こんなドラマが繰り広げられているとも知らずに。

 

~*~

 

「それで?これからどうするのよ?」

 

「あ、あれ・・・・?」

 

 

現在、ギルドから出てきたキノアの口調が一変。そしてゆんゆんがそれに戸惑っている。

 

 

「冗談ですよ。で・・・ウィズさんにミツルギさん、これまた御大層な面々ですね」

 

「ボクはあの時、引き留めることも何も出来なかったからね。せめてもの・・・罪滅ぼしがしたいんだ」 

 

「ひとまず本題に移りましょう。単刀直入に言いますと―――これから、とある人物に接触を計り、その人物と共にモノノベさんを連れ戻しに行きます」

 

「回りくどい言い方をしますねウィズさん・・・誰なんですか?その、とある人物とは」

 

「あなたもよく知る人物ですよ、キノアさん。モノノベさんの元、パーティーメンバーであり、最凶の獣人(ビースト)・・・ギークさんです」

 

 




ありがとうございました!
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