ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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1ー03 このボッチ魔法使いに救済を!

「ふぃ~・・・・・・とっとと職場戻るか」

 

 

和真にアクア、あの凸凹コンビをクエストに行かせ俺は冒険者ギルドに戻る。

春の麗らかな陽気とは違いギルドの入口を潜った途端とんでもない熱気に襲われる。

 

・・・人が放つ熱気っていうのは恐ろしい物だなぁ・・・松o・・・じゃ無かった炎の妖精でもいるのかな。

カウンターへと目を向けるとせっせと汗を垂らし胸を揺らしながら応対に追われ忙しくしているルナさんが居た。

 

 

「速く!戻ってきて!モノノベ君!」(ALLジェスチャー)

 

「はいはい、今行きますよっと」

 

 

ジェスチャーのせいで余計に激しく揺れる胸に赤い顔をしている次に順番が回ってきたモブ冒険者。

俺がカウンターに入って応対を変わると露骨に嫌な顔をされた。

・・・こんなに人を殴りたいと思ったのは久しぶりだ。よし、一芝居うつか。

 

 

「はい!こちらのクエストですね~!達成条件は世界樹の葉10kgですね~。報酬は15万エリス。受諾料は・・・」

 

「えっ!?世界樹の葉じゃなくてただの薬草集めだったと思うんですけど・・・というか何を蘇生させようとしてるんですか?10kg何て相当な量ですよね?魔王蘇生させようとでもしてるんですか?」

 

「黙りやがって下さいお客様。それでですね、受諾料はですね・・・てめぇの進化の秘宝寄越しやがれ」

 

「ヒ・・・・・ヒイイイィィィィ!!」

 

 

一目散に股間を抑えて逃げて行ったモブ野郎。

あああああぁぁぁ・・・・・いい気味だ。

 

 

「何やってるのよモノノベ君・・・」

 

「いや~すいません。まぁ素行の悪い客を注意するのも仕事ですし?」

 

「そ、それもそうね・・・あぁ!危ない危ない。忘れそうだったわ!えっとねさっきクエストに行った2人組が居たじゃない?」

 

「ええ、居ましたね。それが何かしたんで?」

 

「どうも・・・彼らが向かった先にグリフォンが確認されたらしいのよ」

 

「なるほど、警告してこいと・・・俺が選ばれた理由も何となく分かりますし」

 

「ありがとうね!助かるわ~!」

 

「いえいえ」

 

 

去っていく彼女の背中を見つめていたが自分の仕事を思い出し正面に向き直った。

少しだけ客足の途絶えた隙に何となく辺りを見回してみる。

 

するととある一角。

数人の男冒険者の足に縋る少女がいた。

どこかで見た気がする黒のローブに紅い瞳。俺の記憶にある黒いローブの少女とは違い肩辺りで切り揃えられたしっとりとした黒髪に眼帯と杖、更には大きなトンガリ帽を持っていた。

 

 

「あぁっ!置いて行こうとしないでください!そろそろクエストを完了しないと餓死してしまいます!」

 

「うるせぇっ!ダンジョンに行くってのにお前みたいな大砲使えるかってんだ!!」

 

 

・・・・・まぁよく見る光景ではあるな。

駆け出しの冒険者たちはああして中級冒険者達のパーティーにくっ付いてお零れにあやかろうとする。

その方が安全で確実だ。賢い策なんだが、当然足手まといであるひよっこを連れて行くお人好しは中々居ない。

 

こうして生まれる冒険者と同じように消えていく冒険者もいる。

ロマンを求める奴らに突き付けられる厳しい現実・・・が、それに負けなかった者たちが集っている。案外ヘラヘラとしている奴らだが1本筋が通った屈強な奴らだ。

 

ああ!そういえばー・・・・・(棒

 

 

「ルナさーん!さっき言ってた仕事行ってきますね~!ああ~でも1人じゃ不安だなぁ・・・誰か連いて来てくれないかなぁ~!出来るなら黒色の服着た紅目の魔法使いが二人ほど欲しいなぁ~!」

 

「今!私を呼びましたね!?私の力を欲しているのですね!!しょ~がないですねぇ~!」

 

「あ!あの!黒色の魔法使いって私ですよね!?そうですよね!?そうだと言って下さい!」

 

 

あ~はっはっは・・・食いつくの早すぎん?

こういう時ってあれでしょ?『え?私!?』みたいなリアクションを取って周りの奴らに背中を押されてからこっちに若干恥じらいながら『お・・・お願い・・・します・・・///』

 

みたいな事になるもんじゃないの!?

それなのにこいつらと~っても嬉しそうな顔で・・・入れ食い状態じゃねえか・・・ドクターフィッシュじゃねえか・・・いやそんなに角質とか付いてない・・・筈・・・もっとちゃんと体洗うようにしよ・・・

 

 

「んじゃ行くか!おやつは300円まで!くれぐれも暴れないよーに!出発進行だあああああああいっ!!」

 

「「エイヤッサー!・・・めぐみん(ゆんゆん)!?」」

 

「へ?知り合い?」

 

~*~

 

「は~い!それじゃ自己紹介どうぞ~!んじゃ俺から!みんな大好きギルド職員!モノノベサクさんです!」

 

「なんでめぐみんと・・・・」

 

「なんでゆんゆんと・・・・」

 

 

平原へと向かう道すがら、ふざけて俺は修学旅行のノリで歩いていた。

どうやらゆんゆんともう一人の少女・・・・・めぐみんは知り合いらしく・・・それもレッドとグリーンみたいな関係らしくてずっと互いの顔も見合わせずブツブツぼやいていた。

 

 

「「職員(サク)さん!」」

 

「・・・何なのですか!?嫌がらせなのですか!?わざとやってるのですか!?」

 

「めぐみんこそ!!そっちが合わせてるんじゃないの!?」

 

「「何を~・・・!!」」

 

「・・・仲が良いこって」

 

「「良くありませんっ!!」」

 

 

どうやら同い年らしいのだがまぁ・・・差が在るものだな・・・残酷・・・

昨日俺が身を以て体験した通りゆんゆんの少し幼い顔に似合わないたわわに実った果実。

・・・がめぐみんの胸部装甲は・・・非常に薄い・・・何でこんなにもATフィールドに差が出来てしまったんだろう・・・・・まぁそれはそれで需要があるんだが。

 

 

「ふふん!まぁグリフォンなど我が爆裂魔法に掛かれば一撃で葬り去ってあげまっしょう・・・!」

 

「え?爆裂魔法何て使えんの?」

 

「ちょっとめぐみん!ホントに爆裂魔法何て習得しちゃったの!?馬鹿なの!?」

 

「なぬ!?馬鹿とは何ですか馬鹿とは!爆裂魔法を馬鹿にするのは許しませんよ!?」

 

「爆裂魔法何て覚える人は馬鹿しかいないわよ!!頭の良い馬鹿しかいないわよっ!!」

 

「まぁまぁその喧嘩腰を控えて・・・ね?」

 

 

・・・あ、案外素直なのな。

やっぱりまだ13歳位だからだろうか・・・可愛いなぁ・・・ロリコンじゃないフェミニストだ!

 

そんなこんなで春風の吹く平原へと到着した。

背の低い青葉が風に揺られ平原そのものがユラユラと揺れているように錯覚してしまう。

モンスターさえ居なけりゃピクニックにでも来たいものだなぁ・・・あ、俺ぼっち・・・

 

 

「アクアー!おま、お前、食われてんじゃねえええええ!」

 

 

綺麗な景色に似つかわしくない叫び声がこだましてきた。

この声は・・・和真の声か・・・・・ん?あのカエル・・・何か見覚えのある青い足が生えてんだけど。

 

 

「えぇ~みなさん。あれが駆け出し冒険者がいきった結果です。くれぐれもあんな事にならない様にみなさんはちゃんと大人の冒険者とクエストに行くようにして下さいね~良いですか~?」

 

「「は~い!」」

 

「あっれ~?ちょ~っと朔さ~んあんた何しに来やがったんですか?見てないで助けて下さいます~?」

 

「うわっ!?・・・ゾンビ?」

 

 

疲れ切ってここまで頑張って這って来たであろう和真・・・ゾビマがいた。

後ろからはカエルの唾液か何かでヌルヌルになっているアクアがグズグズと泣きながら歩いてきた。

 

 

「いやさ、ただ警告に来ただけなんだわ」

 

「・・・何の?」

 

「いやさ、この辺に超危険モンスターのグリフォンが・・・」

 

「「「―――――――――っ!」」」

 

「ん?お前らどした?」

 

 

見るとアクア、めぐみん、ゆんゆんが口をアングリと開けながらとある遠い空の一点を見つめていた。

それに連れられてそっちを見てみる。

 

すると何やら大きな影がこちらに向かって飛んできた。

当初は指先程度のサイズだった影は数秒で今にも触れられそうな距離まで近づいていた。

茶色の体・・・羽毛に覆われた体。金色の見開かれた瞳に嘴、鋭利な鉤爪は血に塗られている。

 

その羽が一振りされるたびに周囲の草を散らして俺たちの体を吹き飛ばそうとする。

風圧に耐える様に顔を庇いながら立っていると突然、その巨鳥が雄たけびを上げた。

 

甲高い声は周囲の空気を震わせ、辺りに闊歩していたカエルは一目散に逃げて行く。

女性陣は青い顔をして今にも泡を吹いて倒れそうになり和真は何だかこれまでの事を振り返っているかのように聡い顔・・・もとい菩薩顔をしている。

 

 

「お、おい和真・・・今日は焼き鳥パーティーだ・・・」

 

「ふふふふ・・・焼き鳥だけじゃねぇ・・・鶏つくねに唐揚げ・・・何でもござれだ・・・」

 

「まぁ・・・」

 

「「俺らが釜の飯にならなければ良いんだが・・・」」

 

 

・・・・・詰んだのかな?

 

 

 

 




案外お気に入りや評価が付いててビビってますw
本当にありがとうございます!
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