ギルド受付役として生きていく・・・が、ブラックだ   作:パザー

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前回からだいぶ期間が空き、更には予告詐欺をしてしまい、誠に申し訳ありません。
お詫びとして作者が全裸で硬〜い尖った石の上で3年ほど瞑想してきます(大嘘



exー15 モノノベサク、まだ死なず!

「爽やかな朝・・・・だなぁ・・・」

 

 

朝一番、カーテンを開け放ち朝日を浴びながらそんな事を呟いてみる。すると後ろから

 

 

「ふふっ・・・いきなり何言ってるのよ・・・」

 

 

薄っすら笑みを浮かべる寝起きのルナさん。ホント凄いなこの人・・・あの寝相の悪さを通り越して暴力とも呼べる猛威を寝ながら振るっていたというのに。そんな事は一切感じさせない快調な寝起きの様ですねハイ・・・・・めちゃ顔面痛い。

 

 

「ちょっと約束があるんで、もう出ますね。お仕事頑張って下さい」

 

「・・・そう。行ってらっしゃい」

 

 

変な間を置いて、彼女が手を振り笑顔で送り出してくれる。

なんだあの間は。女心って分かんないな〜・・・怖い怖い。

 

そんな事を頭の片隅で考えながら、ギルドを後にし銭湯を目指す。さっきから微妙に服が汗で肌に張り付いて仕方がないからな。それに一応は女の子とお出かけな訳だし。

 

〜*〜

 

竹籠を棚に並べただけの簡易な脱衣所を抜け、浴室への扉を開ける。するとそこには久々に目にする大きな浴槽。湯気が一気に全身へ吹き付け、少なからずの暑苦しさを覚える。

 

備え付けの桶で湯を被りそのまま遠慮なく湯に浸かる。

全身を覆う程よい温かさの湯が脱力感を誘い、自然とリラックスしていく。目を閉じてそんな感覚に浸りながらしばらく惚ける。

 

日々の疲れもなんだか少しは取れた気がする。あんな激務なんだ。こんな癒しがあったって構わないだろう。

 

思い返せば、ゆんゆんにカズマとそのパーティーメンバー達、あいつらと会ってから色々あったなぁ・・・たまたま俺の面倒事を引き寄せる才能でも開花したか?めちゃくちゃいらん。そんなのは駄女神にでも食わせとけ。

 

自称女神に対して不敬が過ぎる発言だがまぁ、あれを崇めろなんてのも無理な話だしな。なんでアクシズ教団なんてのが生まれたのやら。

 

っと。そろそろ上がるとするかな。のぼせても困るし。

 

そう思い立ち湯船から上がる。水の流れる音が辺りに反響するが、そんな事は一切気にも留めず体を洗い流す。

 

〜*〜

 

サッパリした爽快感と湯上りの少しポカポカした眠気をその身に感じながら待ち合わせの街の正門へと歩を進める。

 

するとそこには分かりやすいシルエットが1つ。

周りの人たちが露骨にスッと避けて通っているからだろうか。遠くからでも視認できたその大きな帽子と杖。 めぐみんだ。

 

爆裂魔法を毎日毎日ぶっ放していたのは元より、それが原因で魔王軍幹部であるベルディアの怒りを買ったりと、悪い意味でカズマ達のパーティーの悪名を轟かせるのに貢献している爆裂狂。それがあいつなのだ・・・・・が、まぁ普通に大人しくしていればただの美少女だ。・・・一部のマニアにしか需要はないだろうが。

 

 

「うっす。で?今日の爆裂スポットはどこなん?」

 

「おはようございます。それについては心配ありません」スッ

 

 

彼女が差し出した1枚の紙切れ。もとい恐らくクエストの依頼状。それに向けて身長のせいで腰を低くしてそれを覗き込む。

 

が、突然腰に電撃、もとい魔女の一撃が炸裂する。

 

体の隅々を駆け巡るような刺激。それが体を硬直させ、突き刺すような痛みを脳が知覚し始める。

突然硬直し、冷や汗を掻き始めた俺にめぐみんが声をかけてくる。

 

ま、まさかルナさんからのダメージが・・・・・こんな所、時、そしてこんな一撃で現れるとは・・・・・い、痛すぎて声も出ない・・・

 

 

「・・・・・ま、魔女の一撃を受けた・・・気をつけろよめぐみん・・・歳っていうのは怖いぞ・・・・・」

 

「魔女の一撃・・・と言うのが何なのかはいまいち分かりませんが、早く行きましょうよ。時間がもったいないです」

 

「そ、そうだな・・・・」

 

 

あ・・・クエスト内容・・・・・ていうか・・・腰・・・・・ヤバいんだって・・・・バカにならないんだよこの痛み・・・・

 

〜*〜

 

丘を越えて、山を越えて、谷を越えてくんだ・・・じゃなくて、まぁこれと言って変哲もない草原を歩き続けること1時間ほど。ひとまず休憩という名目で昼飯をとることにした。

 

 

「まさか・・・ここまでサクサクと昼食の用意ができるとは・・・・・」

 

「そんな珍しい事か・・・?」

 

「えぇ。普段なんてダクネスが弁当を用意するといっては、得体のしれぬ冒涜的な何かを生成し、アクアがそれを笑いなんやかんやでモンスターの餌食となり、カズマがその後始末に追われる・・・・・みたいに一向に準備が進まないのです・・・そういえば最近は何だかアクアが大人しい・・・というかいつも何かを心配して青い顔をしてるのですが・・・」

 

「そ、そうか・・・・・つーか、その流れだとお前何してんの?」

 

「私は無論、爆裂ですとも」フンッ!

 

 

どこぞの少佐を思わせるような発言とともに得意げな顔で胸を張るめぐみん。

なんだか非常に可哀そうなカズマの様相がうかがえて来る。

 

そんなこんなで始まった昼食。内容は簡単なサンドイッチの詰め合わせ。今朝速攻で作ってきた物だが空腹のせいか、案外マトモな味に仕上がっている。・・・・・これを機に男飯卒業してちょっとは真面目に料理でもしようかな・・・・・

 

と、ここで視界の端に映るめぐみんのとある動作。それはハムサンドの中のレタスをせっせと取り出し、わざわざ皿へと戻している。

 

 

「おいめぐみん。野菜を食べいや野菜を。栄養偏るぞ」

 

「むう・・・・・サクも母の様な事を言うのですね・・・子供扱いしないで下さいよ・・・・」

 

「母って・・・」

 

 

そう言い頰を膨らませ少し拗ねるめぐみん。渋々嫌そうな顔をしながらもレタスをハムサンドに戻し頬張る。

 

 

「そういや昔は俺もそんなんだったっけか・・・・・」

 

「?・・・・どうしました?」

 

「いやなに。ちょっと昔の事を思い出しだけだ。それよりも、腹ごしらえも済んだ事だし、出発しようぜ」

 

「そうですね。依頼書によるとそろそろターゲットに遭遇しそうなものですが」

 

「あそうだ。結局今回の依頼ってなんなんだ?結局聞かされずに来ちまったが・・・」

 

「えーとですね・・・ヴ・・・ヴァストローデ・・・だそうです。なんだか変な名前してますね」

 

「え?」

 

「え?」

 

「は?」

 

「はい?」

 

「・・・帰ろうか」

 

「ちょちょちょ!何故なんです!?」

 

「バッカお前!おま・・・お前!ヴァストローデだぞ!知らないのか!?」

 

「知りませんよ!変な名前なんですしどうせそこまで強くありません!ですから!ですから置いて行こうとしないで下さい!」

 

 

そう言いながらとっとと身支度をして帰ろうとする俺の足に縋り付いてくるめぐみん。

というかそんな事はどうでもいいんだよ!美少女に縋られてお願いされるのはちょっと答えるけども!!

ヴァストローデはマズイ!今の俺じゃ間違いなく死ねる!あいつを起こすか一国分の勢力でも連れてきてようやくどっこいになる様な相手だぞ!?

 

 

「ヴァストローデはなぁ!よしんばお前の爆裂魔法が当たったとしても倒せるかどうか怪しい位の化け物なんだぞ!何でそんな奴の討伐依頼なんて受けちまったんだよ!?」

 

「だ、だって・・・簡単なお仕事だって・・・か、書いて・・・あったんですよ・・・うっ・・・うう・・・」グスッ

 

 

我ながら珍しい結構本気になってしまった声。そんな俺に怯えてしまったのだろうか。彼女が身を縮め涙ぐみながらこちらに訴えてくる。

 

・・・・・あぁっ、クソ・・・・・

 

 

「・・・めぐみん」

 

「・・・・・はい?」

 

「悪かった。まぁ後で依頼主にはお灸を据えに行くが・・・ヴァストローデが大したことないなんて言うなんてどうせただのバカだろうし。それはそれとしてだ。俺たちは冒険者だ。なら、依頼は引き受けたからには失敗か成功か、撤退なんていうのは似つかわしくない」

 

「!・・・それじゃあ!」

 

「最後まで付き合ってやる。最悪死ぬが・・・最大限努力はする。死ぬ事になろうとお前だけはどうにかあいつらの所に返してみせる。任せとけ・・・こう見えても俺は昔、強かったらしい」

 

「------はいっ!頼りにしてますよ!サク!」

 

 

頭を撫でながら彼女に語りかける。できる限りの安堵を与えられるよう、これからの恐怖を押し殺し精一杯笑ってみせる。

そんな俺を見ためぐみんが無邪気そうな笑顔を返してくる。

 

少し和らいだ硬い心を落ち着かせ、大きく深呼吸をする。

感覚がどんどんと鋭敏になっていく。擦れ合う木の葉の音、生物の足音、それらがリアルな感覚で瞼の裏に描かれていく。

 

そして、数キロ先、山の中・・・いいや、埋もれているが・・・一部が出て来てる・・・ん?目覚めてる筈だが・・・なぜ動かないんだ・・・?

 

 

「・・・見つけた。行くぞめぐみん。腹くくれよ!」

 

「えぇ!いつでもばっちこいですとも!」

 

〜*〜

 

・・・落下、というのはかくも不自由な物だ。恐ろしい速度での落下というのは何一つ許されない。思いを馳せる事も、誰かに助けられる、誰かを助けるなどという事も。精々、無様な断末魔を上げるのが精一杯だろう。

-----そう、つい数秒前。

 

 

「あ、あの・・・サク!これがホントのホントに最善のルートなのですか!?明らかに死亡する確率のが高いような立地ですけども!?」

 

「しょうがないだろ!?あの辺りは頭おかしいレベルで強いモンスターの密集してる地帯なんだよ!ならせめて事故死位しかありえないここを選んだ方が死の選択肢が少なくて済むだろォ!?」

 

「なぜ死ぬことが前提なのですか!?そんなこと言ってるとカズマの以前言っていたふらぐという物が建ちますよ!」

 

 

鼻先に広がるは地平線。一寸先には足場も何もなく、鬱蒼とした樹海が落下した俺たちを飲み込もうとしている。

そんな命懸けの綱渡りを俺とめぐみんはギャーギャー騒ぎながら攻略しようとしていた。

飛べばいいと思うかもしれないが頭上にはグリフォンクラスの魔物がとんでもない数を展開しており、更にはめぐみんが今にも吹き飛ばされそうなほどの強風も吹き荒れていてとてもではないが飛べるような状況では無かった。

必死に岩壁を伝いながら這うように移動する俺たちを容赦なく強風が吹き付ける。が、日頃の行いなのか。運が悪いのか。

 

後方・・・・・めぐみんのいる方向からボゴッと鈍い音がなる。

見るとそこの壁に大穴が空き、そこから何かが顔を覗かせていた。

だが、そんな事はどうでもいい。壁に穴が空いた衝撃で岩の破片とともにめぐみんの華奢な体が宙に放り投げられていた。

 

 

「えっ-----------うあああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」

 

「めぐみんっ!!-----------クソッタレがっ!!」

 

 

落下していくめぐみんに向かってこちらも落下しながら全速力で彼女の元へ向かう。

とんでもない速度と加速で目も開けられないほどの風圧が体を叩きつける。だがそれよりも焦燥でいっぱいの心にはそんなものを意に介す暇はない。

間に合ってくれよ・・・!

 

 

「啼け、紅姫!------『縛道の三十七・吊星』!」

 

 

地面スレスレ。手を伸ばせば地に着いてしまうような高さで、ようやく彼女を受け止める事が出来た。

吊星のクッションで衝撃を殺しながらゆっくりとめぐみんをその上に下ろす。そして何よりあそこでこっちを生意気に睥睨してるアレは・・・・・本命か。上手いこと霊圧を隠しやがるせいであそこまで接近されても気付かなかった・・・クソッ。

こんな形で遭遇するとは・・・・・それに、今こそ分かるあれの霊圧・・・マジモンの化け物だわありゃ。

 

 

「めぐみん・・・掴まってろよ・・・落ちたら死ぬと思え」

 

「は、はい・・・!」

 

 

真剣な声色で話しかけ、彼女の体を抱え込む。

彼女がギュッと服の裾を掴んだのを確かに感じ取る。が、それ以上に向こうから向けられる殺気に息がつまる。

 

背中に冷や汗が流れ、目は零れ落ちそうな程に開かれ、奴にくぎ付けになっている。

 

張りつめられた糸が途切れる瞬間。それを必死に詮索する。下手に動けば、間違いなく殺される。何か、何かきっかけは・・・・

 

奇跡、という物だろうか。野生動物もすぐさまに逃げ出したこんな空虚な空間が突如として地鳴りを起こし始める。

 

そしてその一瞬。一瞬だけ張りつめた空気の重圧から体が解き放たれる。

 

 

(『騙紅姫(だましべにひめ)』!・・・瞬歩ッ!)

 

 

姿を透明にし、霊圧を可能な限り抑える。

さらに霊圧の塊を俺たちの姿に形どり、思い切り進行方向とは反対方向に撃ち放つ。これでどうにか・・・少しだけでも騙されてくれよ・・・!

------足を止めるな!走り続けろ!走って走って・・・どこに流れ着こうと今はとにかく逃げろ!

 

そう自分の脳内で警鐘を打ち鳴らし続ける。そうでもしなければ今、この速度に悲鳴をあげる体を止めてしまいそうになる。

それだけはならない。俺だけではなく、腕の中で必死になっている彼女(めぐみん)まで死なせてしまう事になる。

そうならない為、走れ。ただ何も考えず遮二無二風を切れ。

 

 

「・・・・ク!・・・・サ・・・!・・・・・・サク!ちょっと!ちょっと待ってくだ・・・あ"っ"!!」

 

「ゔぁっ!?」

 

 

必死に走っていたせいでなかなか聞き取れなかった彼女の声。ようやく聞こえ始め、足を止めた瞬間、その衝撃からか後ろから痛々しい濁った声が聞こえ、プルプルと震えが伝わってくる。

 

 

「・・・どうした?」

 

「・・・ひ、ひたかみまみた・・・・・」

 

 

あぁ・・・うん、ご愁傷様・・・

そんな聞いただけで軽く背筋に悪寒が走るような体験を報告されながら俺は一旦めぐみんを降ろす。

 

すると彼女は口を抑え、水筒を持ちながらそそくさと木の影へと隠れてしまった。何をしているかは察しがついたので俺は軽く咳払いをしてそちらに背を向ける。

 

・・・さて、どの辺まで来たのかな・・・場所的に・・・・・この前の冬将軍と戦った辺りの場所か・・・・・うん?なんか・・・・・この薄っすらと感じる魔力・・・・・どっかで・・・

 

そう悩んでいると木陰から出て来ためぐみんが後ろから声をかけてくる。

 

 

「お待たせしましたサク。・・・これからどうするのですか?」

 

「いや、とりあえず帰りたいんだが・・・この辺りはモンスターがうじゃうじゃいる地区に隣接してるし、まして今は冬・・・・・それにヴァストローデ(あれ)もまだそう離れてはいないだろうし・・・うん?」

 

 

そう話しているとめぐみんがどんどんと青い顔になっていくのに気がつく。・・・・・いやだ。なんだかデジャヴ。いやまあそんなはずは・・・・・

 

そう心の中で願掛けしながらゆっくりと彼女と同じ方へ振り向く。

-----そこには視界いっぱいに溢れかえるモンスターの一行がこちらへ向け全力疾走してきていた------想像してた30倍くらいヤバイ・・・・まぢ卍・・・・

 

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