遡ること、二年前ほど、ドイツで行われていたISの世界大会、第二回モンド・グロッソに出場していた織斑千冬を棄権させるために、その弟、織斑一夏は誘拐されたのであった。
誘拐犯は、テレビに棄権させるはずだった、織斑千冬が写っていたことに腹を立てて、とうとう、人質の意味が無くなったと認識して、手足をロープで縛っている織斑一夏にハンドガンを向けていたのであった。
「坊主、おまえの姉ちゃん、名誉を選んだらしいな」
「ああ、殺してくれ、もうこの世なんか真っ平だ‼」
「それじゃあ、あの世に逝きな‼」
織斑一夏もISが女性にしか動かせないということで歪んでしまった女尊男卑の世の被害者で、織斑千冬が姉だけで、誰も織斑一夏として扱ってくれなかった上に、幼馴染達と別れることになった。
あの影響で、完全に自暴自棄に陥っていたのだ。
そして、誘拐犯のハンドガンの引き金が引かれ始めた瞬間、
「キン‼」
「え?」
「弟ほっぽり出して、あんな、鉄屑で遊んでるとは、ふざけてるの‼」
「ああ、全くだ」
「片付いたが、どうするんだ?」
「そうね、この子、こっちで預かろうかしら?」
「剣心らしいな」
誘拐犯が持っていたハンドガンが紙細工のように微塵切りにされており、あっという間に、廃墟にいた誘拐犯は、気絶させられていたのであった。
一夏は、目の前にいる人が、ISのことを鉄屑と言い捨てたことに驚いていたのであった。
殿をしていたであろう、燕尾のマントをしている、男性と、帝王のような風貌の男性が合流してきて、黒髪の人物のことを剣心と呼んだのであった。
黒髪の人物が一夏に日本刀を鞘に納めて、歩み寄って来て、縛られていたロープを切って、
「殺してくれ、ふざけてるの‼」
「・・・」
「二度と言わないこと」
「はい」
「長居は無用、行きましょうか。どうする、このまま、あの鉄屑の歪んだ日本で暮らす?それともわたし達と一緒に来る?」
「お願いします、オレを連れてってください」
「わかった、それじゃあ、ついて来てね」
さっきの一夏に対して叱咤した後、一夏に自分達についてくるかと質問したところ、ついてくると一夏は言い、剣心と呼ばれた女性は、次元の門を開いて、一夏と一緒にその場から立ち去ったのであった。
遅れて数分後、織斑千冬がドイツ軍を伴ってやってきたが、そこにあったのが一夏の流してできた血だまりと、拘束された誘拐犯達だけだった。
「は~い、あら、剣心じゃない、どうしたの? ここじゃ、何でしょうから上がって」
「失礼します」
「どうしたのその子?」
「話すと長くなるけどいいかしら、じつは」
剣心は、実妹で双子の、葵の住む、幻想郷に救出した一夏を連れてやってきたのであった。
一夏が誘拐された目的、そして、ISによって幼馴染達と別れてしまったことなどを話したのであった。
「養子には出来ないけど、下宿さて上げるわ、自己紹介まだね、川上葵よ」
「織斑一夏って言います」
「さてと、もう一軒、片付けてきますか。わたしは、鳴流神剣心、よろしくね」
「オレはどうすれば?」
「そうね、ISとは関係ない学校に転入することになるけど」
「おねがいします」
下宿と言う形で織斑一夏はISとは無縁の幻想郷での生活が始まったのであった。
「一夏・・・」
「どの面下げて、幼い子供を監禁してるってのは、あなた達でいいかしら?」
「誰に逆らうてんのか、分かってるのか?」
「質問で質問を返すのどうかと思うけど、そうね、あんたらのやってること、全部、全世界にばら撒いてもいいぜ」
「やれ‼」
「手応えないな、ISって言う鉄屑に溺れた己を憎むんだな、さてと」
「え、誰;つД`)」
「もう大丈夫よ、このまま、一緒に来る? 怖い人と暮らす? 決めるのはあなたよ」
「いや‼」
「それじゃあ、一緒に行きましょうか」
「・・・うん」
遡ること、六年前、小学四年の篠ノ之箒は、政府の保護プログラムという檻に入れられていた、そこに、剣心が顔を般若の面で神格化し、一瞬で素手で倒して、部屋に監禁されていた、少女、篠ノ之箒はひどく怯えていたらしく、部屋の隅に逃げてしまったのであった。
医者の顔を持つ剣心は、篠ノ之箒は総合失調症を患っていることに気付き、手を差し伸べて一緒に来るかどうかを篠ノ之箒に選択させた所、一緒に来ると剣心の手を取ったのであった。
次元を超えて、やってきたのは
「兄さん、いる?」
「なんだ、剣心か、ん? その子は、訳アリか、入れ」
「失礼します・・・・」
幻想郷と同じような田舎町で剣心の生まれ故郷の野井原に住んでいる実兄、悠馬に篠ノ之箒を預けることにしたのであった。
「なるほどな、こんな辺鄙な田舎だが、ISなんか関係ない、それに見た所、ウチの末娘と同い年か」
「・・・・」
「精神疾患の疑いがあるから」
「好きなだけ此処に居なさい、誰もISとは無縁の場所だからな」
「うん・・・」
こうして小学四年の篠ノ之箒は、野井原の小学校に転入することになったのであった。
過去話です