サンゴが眠くて疲れている話。
「マユ・・ マユ! 起きなさい、マユ!」
ドンドンと、部屋のドアが叩かれる。
「うるせーなぁ」
サンゴは騒音から逃げるように、毛布を被った。
今日は日曜日。いつものように徹夜で創作活動をしていた彼女は、ほんの二、三時間前に床に就いたばかりだったのである。
「日曜くらい寝かせろっての・・」
再び寝に入ろうとしたサンゴの耳に、母親の声が響いた。
「ナオ君たち、来てるわよ!」
「・・・・・・」
仕方なく重い体を起こし、サンゴは玄関へ歩いて行く。
ガチャリ、とドアを開けると、見慣れた二人が立っていた。
「あ、サンゴ ・・もしかして、まだ寝てた?」
目の前に立っていた相手が、申し訳なさそうに聞いてきた。サンゴは目をこすりながら答える。
「・・ガッツリ、寝てたよ」
「サンゴちゃん、おねぼーさんなのね!」
「シイナ、大声出すな うっさい・・ 寝起きだって 言ってんだろ」
サンゴが少し怒ったような口調でいうと、クルミは「ゴメンナサーイ」と頭を下げた。
「じゃあ、コショコショ話すのね」
「うん、そうして」
コショコショ、コショコショとつぶやき始めた相手を見て、やれやれとサンゴは肩をすくめる。
「大体さ、ナオ」
そして、目線をナオへ戻した。
「何?」
「考えたんだけどサ 日曜まで、散歩しなくても よくない?」
「え」
「日曜日って、一週間に、一度ダケの休みなんだよ? 休みってのはさ 休むためにあるんでしょ 毎日散歩してんだから、一日くらい休んでも イイんじゃないの?」
「そうだけど・・」
ナオの目線が、目の前から一瞬、横へ向かう。
その先にクルミがいることを、サンゴは見逃さなかった。
「・・けど、何」
「けど、メロスのため、だし・・」
「メロスのため、ねぇ」
サンゴは相手の言葉を繰り返し、ハッとあざ笑った。
「一体、どのクチが 言ってんだか」
相手の態度に、ナオは少しムッとした。
「・・いつも言ってるけど、無理してついてこなくて いいよ 眠いなら、寝た方がいいし・・」
「それ言ったら シイナだって 無理して付いていかなくても、よくない? ホントに ただの、"メロスの散歩"・・ ならさ」
「・・・・・・」
ナオはぎゅっと唇を噛んで、黙りこんでしまった。
その様子を見たサンゴは、ヘラヘラと笑いだした。
「すねんなって ただのジョークだよ じゃ、シタクしてくる」
軽く手を振り、ゆっくりとドアを閉めた。
「・・・・・・」
サンゴは大きくため息をついた。
「・・完全にスイミン不足だね、コレ」
フラフラと自分の部屋へ帰り、ベッドに倒れこんだ。
「なんでアタシ、付いてってるんだっけ」
―了―