第6話です。今回は八幡の能力の説明会になっています。
ユリスが八幡に意味のない言い訳をしてからしばらくして、綾斗が苦悶の表情を浮かべながら目を覚ました。
「ああ、やっと気が付いたか。やれやれ、一時はどうなることかと思ったぞ。」
「えっとここは…ぅぐっ!」
身体を起こそうとして、綾斗は激痛に顔をしかめた。
「そっか…やっぱり気を失っちゃったか。」
その後、ユリスが顔を赤らめたり、綾斗が気まずそうに顔を逸らしたりしながら、ユリスと八幡は綾斗の事情を聞いた。
綾斗を抑えつけている能力は、≪
彼の姉の能力は万物を戒める禁獄の力であること。
綾斗が封印を解除していられるのはせいぜい約5分程度が限界であること。
封印を施した姉は5年前に失踪してしまっていること。
「…なるほど。お前の事情は理解した。」
綾斗から1通りの事情を聞き、バツの悪そうにしながら首肯したユリスは綾斗から顔を逸らすようにしながら、八幡の方へと顔を向けた。
「では次はお前の番だ、比企谷八幡。先ほどお前が流星闘技にも見える能力…一体どういう能力だ?」
「えっ?さっきのは流星闘技じゃなかったのかい?」
星辰力の細やかな調整が苦手であり、流星闘技をうまく使えない綾斗は八幡の意図通り勘違いしていた。
「そんな訳があるか。もしあれが流星闘技だとしたら、他の者はなぜあの規模の流星闘技を使わん。」
「あ、そっか…。」
そのユリスの指摘に綾斗は素直に納得した。
綾斗はただ八幡が抜群に星辰力のコントロールがうまいのだと思っていたが、それなら八幡以外にも星辰力の扱いがうまい者はそれなりにはいる筈だ。
その誰もが先ほど見た規模の流星闘技…ないしはそれに近い規模の流星闘技を実現できていないのだから、先ほど見た物は、流星闘技とは似て非なる物なのだろう。
綾斗がそう納得したのを見て、八幡は説明を始めた。
「まあ、確かに俺は魔術師で、さっきのは能力で作った剣…いやちょっと違うな。能力で作った刃って言った方が正確だな。…ちなみにリースフェルトはどんな能力だと思ったんだ?」
「聞いていたのはこちらなのだが…まあいい。先ほどのを見る限り、煌式武装のアップグレードといったところか?」
ユリスは先ほど八幡が持っていた巨大な剣を思い出しながらそう答えた。
さっき人形を切ったときの八幡の煌式武装は明らかに本来の性能を超えた力を発揮していた。ならば考えられるのは煌式武装の性能をアップさせたのか。ユリスはそう考えて答えたのだが、
「残念、外れだ。」
八幡からの返答は不正解だった。
「まあお前や≪
八幡はそう前置きして自分の能力について話し始めた。
「俺の能力は、大気中の万応素を集約、形成して、それを実体化するだけだ。お前を含めた多くの魔女、魔術師のように、万応素を炎とか水とか、そういう別の物に変質させる訳じゃない。」
「…?どういうことだ?」
八幡に説明されたものの、説明が抽象的だったため、ユリスは今ひとつ理解できなかった。見れば綾斗もよく理解できていないようだ。
「ん~…まあやってることは煌式武装と同じだ。万応素をある形に集約して、それに実体を持たせる。唯一違うのは、煌式武装は実体化できる形が決まってるが、俺は色んな形に実体化できるってことだな。」
八幡はそう言いながら、宙に刃と球を1つずつ作り出した。
「…なるほど。確かに一般的な能力者と比べると見た目には地味だな。」
つまり八幡の能力は、煌式武装なしで煌式武装と同じ性質の物体を作る能力だと言い換えることが出来るだろう。ユリスのような見た目に鮮やかな能力でも、≪戦律の魔女≫のような華やかな能力でも、歴代最強の魔女の呼び声も高い≪
「では、あの巨大な剣は、お前の能力で生み出した物を、煌式武装から生み出された物に見えるように展開した、ということか?」
「ま、そういうことだ。」
しかし、それはあくまで見た目の話だ。八幡の能力で、あれほど強力な武器を作り出せるのなら、むしろ相当に強力な能力だと言えるだろう。
しかも八幡は「色んな形に」と言った。それはつまり、近接戦向きの形状、遠距離戦向きの形状、盾のような形状など、状況に応じて多様な形状な武器を作り出せるということだ。
「お前の能力については理解した。」
ユリスは頷き、だが・・・と続け…
「何故この能力を隠しているのだ?」
新たに生まれた疑問を八幡にぶつけた。
星脈世代の中でも、魔術師や魔女などの能力者は少ない。だがそれでも皆無という訳ではないし、この
能力の性質上、絶対に隠さなくてはならないというわけでもなさそうだし、もし何か事情があるのであれば、一般生徒であるユリスや綾斗の前であんなにあっさり能力を使ったりしないだろう。
「いや、まあ特にこれといった理由は無いけどな。ただ単に、今以上に目立ちたくないってだけだ。」
その疑問に対する八幡の答えは、随分と間の抜けたものだった。
「…ふざけてるのか?」
案の定、真面目な性格をしているユリスには八幡の答えに納得できなかったようだ。
「何もふざけてねーよ。そもそも序列1位になったのだって俺の本意じゃないしな。」
「ならばどこかでわざと負けていればよかっただろう。」
言ってユリスは顔を歪めた。今自分が口にした八百長まがいの行為は、彼女が最も嫌う不誠実そのものだったからだ。
「あー…それもいいかもな。」
だからそれをあっさり肯定した八幡に益々苛立ちを募らせた。
「でも小町の前でそういうことをやる訳にもいかないからな…。それに今更負けたらそれはそれでむしろ目立ちそうだ。
・・・さて、用件も済んだし、俺は帰るぞ。」
そう言い残し、八幡はビルを出た。
ありがとうございました。
説明下手でごめんなさい。この説明でうまく伝わったか、正直自信がありません…。