When is your birthday?-あなたの誕生日はいつですか?-   作:雪桜(希う者)

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彼のbirthday

「いってきます」

 

 

少女は今、確実に一歩を踏み出すようだ。

 

 

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12月9日(金)

 

多く学校では期末テストが終わりあとが冬休みを待つばかりといったところだろう。

 

もちろん、音ノ木坂学院だろうとそれは同じである。

 

「やっとテスト終わったにゃー」

 

「凛ちゃんお疲れ様、真姫ちゃんもお疲れ様」

 

「お疲れ様、花陽、凛。

あ、私は係の仕事で課題を集めて先生のところに持っていかないといけないから先に部室にいってて。」

 

「それなら凛も手伝うにゃ。かよちんは先に行ってて。すぐに凛たちも行くからね!」

 

「うん、わかった。じゃあ、先に行ってるね。」

 

このまま待っていてもなにかあるわけでも無さそうだしたまには先に行くのもいいかな。

そう思い、部室へ先に向かった。

 

 

 

そして、部室に入ると……

 

「お疲れ様、花陽。」

 

「お疲れ様。にこちゃん、早かったんだね。」

 

「まあね、先生の話もすぐに終わったし教室に残ってる意味もなかったからすぐに来ちゃったのよ。それより今日は凛と真姫は一緒じゃないのね。」

 

「うん。なんか二人とも仕事があるみたいで先に来たの。」

 

「やっほー!あれ?まだにこちゃんと花陽ちゃんだけ?珍しいね!」

 

 

そこに穂乃果も加わる。

 

「相変わらずテンションが高いわね。」

 

「そりゃそうだよ!テスト終わったんだよ!これで練習出来るんだよ!」

 

「あはは、それで点数の方は大丈夫なのよね?」

 

「えっ……と~……それは~………」

 

思わず穂乃果も苦笑いをするしかなかった。

 

花陽も、

(赤点ギリギリもしくはそれよりしたかもしれないっていうのがバレバレだな~)

なんて思っていると、

 

「穂乃果?まさか成績が悪いかもしれない。なぁんて、そんなことありませんよね?」

海未が現れた。

海未のにらみつける!

 

「そ、そそそ、そんなことあるわけ無いじゃん。絶対!たぶん…じゃ、じゃないと困る……」

穂乃果は墓穴をほった!

 

「ほ、穂乃果ちゃん……」

海未といっしょにきたことりも思わず苦笑いしている。

 

「何?また穂乃果がなんかやったの?」

「穂乃果ちゃんらしいにゃ~」

「もう、しっかりしなさいよ?穂乃果」

 

そこへ遅れて真姫と凛と絵里が入る。

「ちょっ!3人もひどい!私だって!………私だって……う、うう、ことりちゃーん!!」

「へっ!?穂乃果ちゃん!?」

 

これはなかなか収まりそうにない。

あとは希だけか、なんてにこが思ったそのとき、ドアが音を立てて一気に開かれた。

 

 

「実はみんなにお願いがあるんや!!」

 

 

 

校舎の一画。音ノ木坂学院のスクールアイドル『μ’s』の9人が所属するアイドル研究部の部室での一幕であった。

 

 

 

「……いきなりどうしたのですか?希。」

 

海未が少し呆れたような顔をしながら聞いた。

そりゃあいきなりドアを勢いよく開け放ち、大きな声をあげればそんな顔もされるだろう。

 

「これはうち一人ではどうにもならない問題なんや!」

 

「だから海未もそれを聞いてるんでしょ?いったいどうしたっていうのよ。」

 

「……はっ!まさかあんた、太ったなんて言わないわよね?穂乃果や花陽の前例があるのを知ってるでしょう?さあ、どうなのよ!」

 

真姫とにこがそれぞれ反応を返すなか穂乃果と花陽はあのダイエットのことでも思い出しているんだろうか。思わず固まってしまっている。

 

そのなか希は、

(あっ、こんな雰囲気になってしまったら話しにくいやん。)

 

なんてことを思っていながら苦笑いするしかなかった。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

とりあえず「まあまあ」「まあまあ」と言って全員を座らせた。

 

本当にまあまあって言ってれば大抵なんとかなるもの。

 

 

そして改めて話し始めた。

 

「実は1週間後。ヒナくんの誕生日だからみんなで誕生日パーティーをしようと思ったんよ。そのためにみんなに協力してほしいんだけど……」

 

 

さっきの空気が続いて誰も口を開きにくいような感じになっていた。が、そこで穂乃果が口を開いた。

 

 

「な、なーんだ~そんなことだったんだ~。

いやー太ったなんてことだったら海未ちゃんが『まさかあなたは太ってませんよね?』とか言い出したら不味いなーなんて思ってて。実はあれから私、またすこーしだけ体重増えちゃってたからバレちゃったらまたあの地獄を見るのかと思うt…」

 

「穂乃果!!また体重が増えたのですか!あれ以来太ることの怖さは思い知りましたよね?そうだというのにあなたという人は!」

 

「はっ!しまった!」

 

「ま、まあまあ、一旦落ち着いてよ海未ちゃん。それよりも今は希ちゃんのお話だよ。」

 

 

穂乃果のお陰で少し場が和み話しやすくなった。

穂乃果としては海未からなにをさせられるか気が気でないだろうが、それはそれ。

 

 

「作戦としては当日、うちがヒナくんに買い物をお願いする。それでヒナくんがいない間にみんなを呼んで部屋を飾り付けして帰ってきたところでサプラーイズっていうふうに考えとる。」

 

そんなこんなで話は進んでいき、

 

「………という計画なんやけどみんないいかな?」

 

「賛成にゃ!せっかくの誕生日にゃ、しっかり盛り上げて喜んでもらおうよ!」

 

「そうだよ、凛ちゃん!サプライズなんだからどーんとやらないとね!」

 

穂乃果と凛が賛成を言い、他のみんなも同じようだ。

 

「みんな………ありがとう!それじゃあ、屋上行って今日の練習始めよっか。」

 

希ちゃんの話が終わったということでまだ着替えていない希ちゃん以外のみんなが屋上へ行こうと部屋を出ていく。

 

私もいこう、そう思い着替えようとする希ちゃんの横を通りかかったとき。

 

 

「どうしたいかは、花陽ちゃん次第だよ。」

 

「! えっ…………と……」

 

「ん?花陽ちゃんどうかしたん?」

 

さっきのは気のせいだろうか。いや、気のせいだったのだろう。

 

今は練習に取り組まなければ。

 

「う、ううん。なんでもないよ。さ、先にいってるね。」

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

12月10日

 

ヒナくんの誕生日会の準備もしていかなくてはいけないということで練習開始を早め、その分早く終わろうということになった。

 

昨日のあれは本当に空耳だったのか。

 

 

それが気になってなかなか昨夜は寝付けなかった。

 

とりあえずは練習に集中しなくちゃ!

 

 

 

 

 

そしてお昼

 

「ワン、ツー、スリー……ラスト~…………

はい!じゃあ、そろそろいい時間だしお昼にしましょうか。あ、午後は歌の練習だし食べる前に着替えちゃう?」

 

「それがいいにゃー。着替えてごはんにゃー♪」

 

絵里の問いに凛が肯定して全員それについていく。

 

部室に戻って着替え始める彼女たち。

 

 

<コンコン

「姉さんいる?お弁当持ってき………た………」

 

思わぬ来訪者が表れたのであった。

 

 

~~~~~~~~~~

 

「ヒナ、自分のしたことがわかってますか?」

 

「はい……申し訳ございません。」

 

「それよりなんであなたはここにいるのよ。不法侵入?」

 

 

「いやいやいや、ちゃんと入校許可書貰って入ってきてるから!

 

って絵里さん!?携帯でどこに掛けようとしてるんですか!?

 

やめて!警察はやめて!社会的に僕がー!!」

 

ヒナくんは手を縛られたうえに正座させられて海未ちゃんと真姫ちゃんに説教されています。

 

ど、どうしたらいいの。

 

 

 

「はぁ、今回は希が忘れたお弁当を届けるために来てくれたのですから見逃しますが、今後は気を付けるように!いいですね!!」

 

「は、はい~……」

 

 

おろおろしているうちにどうにか話がまとまったようだった。

 

「それじゃあ、ご飯にしよっか。」

 

穂乃果ちゃんの一言でみんなご飯の準備を始める。

 

私もとりあえず座る。すると希ちゃんが、

 

「お隣失礼するね~ 。ヒナくんも、突っ立ってないでこっちおいで。」

 

「え、でも、そこって……」

 

希ちゃんがお弁当を置いたのは私の2つ隣の席。

つまり、空いているのは私の隣の席。

私と希ちゃんの間にヒナくんが座る形になる。

 

ど、どうしよう…隣にヒナくんが来るなんては、恥ずかしい…

 

「花陽ちゃん、隣にヒナくんが来てもいい?」

 

ちょっと恥ずかしくって、でも隣に来てほしくって、私はこくん。と頷いた。

 

それをみて希ちゃんは微笑んで、ヒナくんの方へいった。

 

わ、私、食いしん坊って思われたりしないかな?

 

ぱくぱく

 

ほ、本当に隣にヒナくん来ちゃうの?

 

もぐもぐ

 

 

「えっと、お隣失礼するね、花陽ちゃん。」

ピャァ!?!本当に来ちゃった!

 

 

もぐもぐごっくん。

 

箸を動かす手が加速する。でも、

 

 

 

スカッ……スカッ………

 

………あれ、なにも掴めない?ってもうお弁当の中身がない!?

 

うそ!まだ食べ始めて3分もたってないのよ!

 

こ、こんなことじゃヒナくんに食いしん坊って思われちゃうじゃない!!?

 

こ、こうなったら見られる前に弁当箱しまわなきゃ

 

さっと片付けてカバンのファスナーをあけて

 

「それで、は、花陽ちゃんはどんな弁当持ってきたの?」

 

ピャァァァァァァァァァ!?!

 

よ、よかった、ちょうどカバンにいれたところだからヒナくんに気づかれてない。

ご飯とからあげとちょっとの野菜のお弁当だったよって言わないと。

えっと、えっと………な、なんていうんだっけ

 

えっと、えっと……

 

「え、えっと………わ、わ、私、先に音楽室行ってこえだしとくから!」

 

そういい、スッと立ち上がったかと思えばバタンと勢いよく扉を閉じてどこかへ行ってしまった。

 

思わず逃げ出してしまう花陽であった。

 

「やっちゃった~…」

 

~~~~~~~~~~

 

やってしまった……

 

 

 

早食いな女の子なんて思われてないかな……

 

 

 

 

面と向かって話が出来ない子なんて思われてないかな……

 

 

 

恥ずかしくて思わず逃げ出して来ちゃったけどヒナくんに嫌われてないかな………

 

 

 

同じことしか頭には浮かんで来なくて目には涙を溜め込んでいた。

 

いじけた子供のようにピアノの横にちょこんと座っていた。

 

真昼日差しが差し込み部屋を明るく照らしても花陽の心までは届かないようであった。

 

 

そこへ来訪者が現れた。

 

「花陽、どうしたのよ。いきなり飛び出していって………ってあなた泣いてるの?ど、どうしたのよ?」

 

来たのは真姫ちゃんだった。

 

一人で暗かったことが打ち砕かれたことで溜め込んだ涙が落ち始めた。

 

それをみた真姫ちゃんはどうしたらいいかとおろおろしながらも言ってくれた。

 

「な、なにかあるなら泣いてるだけじゃなくてなにか言ってよ。その…もしかしたら手伝えるかもしれないんだから。」

 

いつものように、でも今日は少し照れながら髪の毛を指でくるくると巻く真姫ちゃん。

 

真姫ちゃんにだったら、言ってもいいかな…

 

「あのね、私、……」

 

全部を話した。

 

ヒナくんのことが好きだっていうことも全部。

 

そうしたら、

「ばかね、そんなことで変な子だとか思われたりしないわよ。それに、あのヒナよ?もう何ヵ月も前から知り合いでたまに話すんだから、ちゃんとあなたがどんな子かわかってるはずよ。

それに、私も…応援、してあげるから。」

 

そんな優しい言葉をかけてくれた。

 

それは、さっきまで悩んでいた問題がスーっと消えていくような感覚だった。

 

 

「うん…!私、がんばるよ。」

 

そう、真姫ちゃんに宣言した。

 

 

~~~~~~~~~~

 

日は過ぎて行き、12月16日

 

 

明日はヒナの誕生日だし、早く寝ておこう。

 

そう思い、布団へ潜ろうとしたとき、希ちゃんからメールが来た。予定の変更を知らせるものだった。

 

 

 

そのメールを見て、もう明日なんだと自覚する。

「明日、頑張らなくちゃ」

 

 

花陽は努力する。すべては明日のために。

 

明日からつながる未来のために。

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

12月17日(土)

ピピピピッ ピピピピッ

 

目覚ましが部屋のなかをこだまする。

 

冷たい空気が意識を目覚めさせる。

 

私はすっと起き上がりカレンダーを確認する。

 

 

あ、もうあの日になったんだ。

 

ラブライブの予選も近づいている。

でも、今日はそれよりも大事なことだ。

 

準備をする。

 

まずはごはん。でも緊張であんまり喉を通ろうとしない。

 

歯を磨き、顔を洗う。いつもより念入りに細かいところまで確認する。

 

着替える。

いつもは着ないようなきれいな服を着る。

 

準備は出来た。

 

あんまり待たせられないし早くいかなくては。

 

「いってきます」

(まずは、凛ちゃんを起こしにいかないとね……♪)

 

 

その少女は確実に今日、新しい一歩を踏み出したようだ。

 




Happy birthday!!おめでとう!

afterはたぶんない。……たぶん。
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