第2話:赤龍の眼
「ハァ…」
俺は左目を押さえながら布団をめくって起き上がった。
その時、異変に気付いた。
「左目が治ってる?」
昨日切られたはずの左目は出血が止まり、古傷のようになっていた。
「どうなってやがる…」
左目を擦りながら階段を下り、鏡の前に行く。 寝過ごしたようで時計は10時を指しているが、昨日は土曜日な上に俺に予定などないので問題ない。ついでに両親もクソも用事があるとかで家にはいない。
「は?」
鏡を覗き込む俺の左目は瞳が赤くなっていて、傷もふさがっている。
(どういうことだ…?)
『相棒、聞こえるか?』
「!? 誰だ!」
『俺はお前に宿る龍だ。』
「ったく、幻聴が聞こえてきやがるとは…」
『幻聴ではない。 お前の中から話しかけている。』
フラフラと歩いて、ソファーにどかっと座り込んで眼を閉じる。
「んで? その龍様がなんで俺に宿ってるわけよ? 俺の覚えが正しければ俺の家系には何の特別性もないはずだが?」
『俺の名はドライグだ、赤龍帝とも呼ばれている。 …この世には人間がファンタジーと呼ぶような存在がいる。 悪魔、天使、堕天使、そして俺たちのようなドラゴンが。』
「へえ… んで、お前がなんで俺に憑いてるの?」
『憑くって言い方はやめてくれないか? …まあ何故俺が相棒に宿っているかと言うとだな。 先程言った悪魔、天使、堕天使は三大勢力と括られる。 昔その三大勢力が大戦をしている時に白いのと喧嘩をした。』
誰だよ白いのって。
「白いのって誰だ?」
『白いのはアルビオンのことだ、俺と対をなすとされる白竜だ。 俺は倍加だが、奴は半減の力を使う。』
「半減か… 続けてくれ。」
『俺は三大勢力の大戦の中アルビオンと喧嘩をして、大戦を引っ掻き回した。 そして結束した三大勢力に神器として封印された。』
「成る程… 要するに大戦中空気読まずに喧嘩してたら返り討ち食らったと。」
『うぐっ… 頼むからそういう言い方はやめてくれ。 ほんともう真っ黒な歴史なんだよ。」
ああ… 成る程可哀想に…
「で、神器ってのが俺の眼かい?」
『いや、本当は籠手だった。 …しかし相棒が6歳になる時に、相棒の兄に左側の顔半分以外を持って行かれたんだ。』
「そうか… あのクズは本当に…」
あいつは本当に俺のものを奪っていく。 友人も愛も信用も。
「それでさっきの赤い眼がお前の力ってことか?」
『ああ、そうだ。 そして俺と歴代の相棒は白いのの神器持ち達と戦ってきた。』
「つまり俺はお前の因縁に巻き込まれると?」
『そうだ。 お前には望むことだろう?』
「確かに… 悪くねえ。」
強え奴との潰し合い、それが望むことだ。
『ふふ… 今代は良い相棒に出会えたかもしれないな。』
本当に全く都合がいい… 楽しみだなぁ…