これは新学期が始まって、1ヶ月程が経ったある放課後の話だ。
両親からクズに彼女ができただのクッソつまらない報告を電話で聞いた帰り道の話。
その日も俺がいつも通りにバイトを終わらせて、家まで帰る途中で塔城ほどじゃないが小柄な少女を見つけた。
「おい、あんた小中学生だろ? この時間この場所は危ねえぞ。」
「ご、ごめんなさい。 ちょっと道に迷っちゃって。」
外国人?
金髪に青い目、それにこの気配は… 堕天使か。
バトルの匂いがするぜ。
「ハァ… ったくしょうがねえ、どの辺に住んでんだ。」
「ここの街の教会に…」
「教会? この街の教会っつったら一つしかねえぞ。」
「実はこの街に来たばっかりで…」
「んじゃ付いて来い。」
まあそれなりにうまい演技をする堕天使を連れて教会の方向へ向かう。
おい事案とか言ったやつ、殺すぞ。
おい、騙しに来たんだろうが、アイス屋見つめてんじゃねえよ。
「何? 食いてえの?」
「え? いや全然そんなのじゃ…」
「何がいい?」
金は持ってきているので問題ないだろう。
それに騙されてるふりしとくのも面白そうだ。
結局堕天使はチョコアイス、俺はミントアイスを買って食いながら歩くことにした。
「ここでいいだろ? んじゃ俺もう帰るから。 気をつけろよ。」
「あっ、あの! 待ってください。 お礼にお茶していきませんか?」
堕天使は帰ろうとする俺の袖を握って、呼び止めて来る。
なるほど、中で奇襲か。
「ならお言葉に甘えるとしよう。」
少し楽しみにしながら中に入る。
「それにしても堕天使が教会ってのも皮肉なもんだ。 なあ、そうだろ?」
「… バレてたっすか。」
「ああ、そりゃあもちろん。」
「じゃあ… 少し残念ですが死んでくださいっす!」
俺の眼の前にいた堕天使は光の槍を精製し襲いかかってくる。
光の槍とは天使と堕天使の使う武器であり、聖なる力を持つので悪魔に対して大きな攻撃力を持つ。
「で?」
関係ねえんだよ。
俺は会長と副会長から習った結界をはり、槍を防ぐ。
「くっ!」
堕天使はもう一本槍を出し刺突してくるが、そちらも結界で防ぐ。
「残念でした。」
腕を2本とも抑えられた堕天使の頭を叩き、結界を解除する。
「え? なんで…」
「1に大して怒ってないから、2にお前を生かしといて上司に報告させた方が強いのがきそうだから。」
「わ、私はあなたの命を狙ったんっすよ!?」
「そうか、でもたとえ小動物が殺そうと噛みついてきてもそこまで怒らないのさ。 俺はね。」
しかもお前一瞬躊躇したろ?
そう心の中でだけ思い回れ右して帰ろうとすると、後ろからあの堕天使の声が聞こえてきた。
「名前を… 名前を聞いてもいいっすか!?」
「兵藤一誠。 お前は?」
「ミッテルトっす!」
「そうか、じゃあな。 ミッテルト。」
後ろを向いたまま手を振り、森を抜け今度こそ帰路につく。
さて、ペットが待っているし急がねば。
俺は来るであろう堕天使の報復を楽しみにしながら街を歩いた。