―――ああ。もう、駄目だ。
完全無欠のゲームオーバー。
うん。認める。認めた。認めてやる!!
その瞬間、気分が楽になった。
上条「…どうしたんだよ?」
美琴「ちょろっとね」
上条「??」
アイツが不思議そうに私を見る。そんな風にしていられるのも今のうちだ。
美琴「…っ」
正直言うと、…怖い。
できるものならこのままでいたい。
でも、私の中で賽は投げられてしまった。
―――もう、このままじゃいられない。
美琴「あ、あのさっ!アンタに相談したいこと、あるんだけど」
上条「俺に?」
美琴「うん」
上条「上条さん、勉強はできませんよ?」
美琴「それは知ってる。前、教えたことあるし」
上条「中学生に教えられたことあるの!?俺!?」ガーン
美琴「はいはい、落ち込まない落ち込まない」
上条「…上条さん貧乏ですよ?」
美琴「アンタにお金借りるほど困ってないわよ」
上条「御坂さん、常盤台のお嬢様ですものね」
美琴「その言い方、なんか引っかかるわね」
上条「…悪い。まあ貧乏人の僻みってやつだ」ズーン
美琴「そこで落ち込まないでよ」
上条「…で、どうしたんだ?」
美琴「…うん」
他愛のない言葉のやり取りをしてから、アイツはまっすぐに私を見て聞いてくる。
―――なんか、ずるい。
でも、これは私が決めたことだから、私もまっすぐにアイツを見つめ返す。
鼓動が煩い。息が苦しい。
美琴「あの、さ」
上条「うん」
美琴「アンタと一緒に戦うようになって、私、アンタの役に立ててる、かな?」
こんな言い方する私もずるい。それはわかっている。
上条「正直、御坂にはすごい助けられてる」
美琴「ホントに?」
上条「ああ。ホントに」
美琴「…他の人よりも役に立ててるかな?」
コイツと一緒に戦うようになってから知った、超能力とは違う、魔術と称される不思議な力を使う人たち。
物理法則を無視した物を出現させたり、炎の巨人や土人形を操ったり、強力な風や氷を操ったり、空を飛んだりする人たち。
場合によっては超能力者を超えるような力も目の当たりにした。
世界は広い―――。正直にそう感じた。
上条「…御坂」
美琴「なに?」
上条「俺は、お前になら、安心して背中を預けることができる」
美琴「ホ、ホント?」パァァ
上条「ああ」
美琴「…ありがと」
上条「礼を言うのはこっちの方だって」ニコ
まったく、コイツときたら。
その笑顔は反則だっつーの。
美琴「あのさ、最初に言っておくけど、…もし、アンタが私の提案を受け入れられられなかったとしても、戦いの時は今までどおり背中を預けてくれる?」
上条「なんだよそれ?」
美琴「いいから!どう?一緒に戦える?」
上条「…その提案ってやつの内容にもよる」
美琴「た、大したことじゃないわよ!戦いとは関係ないことだし」
上条「本当に?」
美琴「うん」
上条「…わかった。御坂がそう言うなら。…戦いとは関係ないんだな?」
美琴「…」コクン
大きく深呼吸をして、アイツの正面に立つ。
拳を握ってアイツの目をまっすぐに見つめる。
女は度胸!
美琴「彼女にしてください!!」
上条「……は?」
顔が熱い。胸が痛い。
それなのにアイツは、間抜けな声を漏らしたまま、呆然とした表情で私を見ている。
美琴「アンタが好きだって言ってるのよ!」
上条「……マジで?」
美琴「うん」///
上条「…」
戸惑った表情。そして沈黙。
あれ?これって。
上条「…」
美琴「…」
上条「なあ、御坂」
美琴「…なに」
上条「…お前のこと名前で呼んでいいか?」
美琴「え?」
上条「で、俺のことも名前で呼んでくれると嬉しい」///
美琴「うぇ!?」///
上条「だってそうだろ?恋人って」///
美琴「う…うわあぁぁぁん!!」ポロポロ
上条「な、なんで泣く!?」オロオロ
だって、嬉しいんだもん。
アンタが恋人って言ってくれたから。
美琴「うわぁぁあああん!!」ポロポロ
上条「あー!!もー!!」ダキッ
美琴「!!」
上条「…泣くなよ。美琴」ナデナデ
美琴「…」///
アイツに抱き寄せられて、頭を撫でられながら名前で呼ばれて…。
不安も涙もどこかにいってしまった。
でも、すぐに自分の求めているものに気が付く。
私って、わがままだ。
美琴「…当麻」///
上条「お、おう」///
美琴「私のこと、好き?」
上条「ああ」///
美琴「…言って欲しいな」ウワメヅカイ
上条「…好きだ」ニコ
美琴「私も」ニコ
私のわがままに嫌な顔一つせずに応えてくれた。
だから、私は、そんな彼の目を見て小さく微笑むと、目を閉じた。
大好き。当麻。