とある少女の禁書目録   作:神納 一哉

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12月24日。

学園都市にクリスマスがやってきた。

それぞれの想いが交差するとき、物語は始まる!


美琴→上条(上条×美琴)

美琴「…」

 

公園の自動販売機によりかかりながら、御坂美琴は街灯に照らされた風力発電用の風車沿いの道を見つめていた。

 

美琴(うーん。ちょっと遅かったかな)ハァ

 

溜息が白い。

 

美琴(もう少しだけ待ってみて、来なかったら電話してみよう…)

 

携帯電話を取り出して時計を見る。いつも外で相手に遭遇する時間よりも遅い時間になっていた。

 

美琴(もしかしてクリスマスだし、誰かとデートとかしちゃってるのかな…)ハァ

 

足元に視線を落とし、大きな溜息をつく。

 

美琴(わたしは、そういう対象じゃないんだよね…。連絡くれなかったし)ハァ

 

ぎゅっと右手を握り締めて胸元に押し付ける。

 

美琴(結構、堪えるなあ)ハァ

 

上条「あれ?御坂。なにしてるんだ?こんなところで」

 

美琴「!!」ビクッ

 

不意に声をかけられて、慌てて顔を上げる。

 

美琴(あ、会えちゃった)パァッ

 

上条「おーい?御坂センセー?」

 

美琴「な、なによ!?」

 

上条「こんな時間にこんなところでなにをしているのか聞いているんですけど?」

 

美琴「な、なんだっていいじゃない!」

 

上条「あ…。もしかして…誰かと待ち合わせか?」ハッ

 

美琴「!!」

 

上条「悪い。待ち合わせだったら俺が声かけちゃまずいよな」ポリポリ

 

美琴「べ、別に悪くないし、っていうか、帰ろうとしない!」

 

上条「いや、でもさ…」

 

美琴「と、とりあえずなにか飲む?缶ジュースだけど」

 

慌てて財布を取り出し、小銭を自動販売機に入れて尋ねる。

 

上条「お、奢ってくださるのでしょうか?」

 

美琴「ジュースぐらいでなに感激してるのよ?早くボタン押しなさい」

 

上条「では、遠慮なくいただきます」ピッ

 

取り出し口に手を入れ、ツンツン頭の少年は缶を取り出す。

 

上条「な、なんでホット苺ミルク!?上条さん缶コーヒーのボタン押したのに!?ふ、不幸だ~!!」ガクッ

 

美琴「じゃあそれはわたしが貰うから。コーヒーってこれ?」チャリン

 

上条「あー、うん」

 

美琴「アンタ、ホントにこのボタン押したの?」ピッ

 

上条「もちろんですよ」

 

美琴「はい、缶コーヒー」

 

上条「な、なんでだ~!?」

 

美琴「さあね。とりあえず、そこのベンチに座ろっか?」

 

上条「ん?ああ」

 

上条当麻は促されるままにベンチに腰を下ろすと、その隣に御坂美琴が腰を下ろした。

 

上条「!!」

 

美琴「なによ?」

 

上条「いや、なんか隣に座るとは思わなかったから」ドキドキ

 

美琴「アンタでも風除けぐらいにはなるでしょ?」

 

上条「風は御坂センセーの方から吹いているんですけど!?」

 

美琴「細かいこと言わない!」

 

上条「逆切れ!?」

 

美琴「う、うるさい!」カァッ

 

赤くなりながら少年の手からホット苺ミルクを奪い取り、缶コーヒーを押し付けると、プルタブを引き上げてホット苺ミルクを飲む。

 

美琴「は~。温まるわね~」

 

上条「甘そうだな。それ」

 

美琴「そうでもないわよ。それだって結構甘いでしょ?」

 

上条「それよりは甘くないと思うけどな」パキ

 

美琴「まあ温まればいいじゃない」

 

上条「まあな。じゃあ、いただきます」ゴク

 

美琴「ふふ」

 

上条「で、御坂センセーはなんでこんなところにいたんですか?」

 

美琴「アンタ、まだそれ聞くの?」

 

上条「こんな時間に女の子がひとりで立っているのって結構インパクトあるわけでして」

 

美琴「し、心配してくれたの?」ドキドキ

 

上条「んー。まあそうだな」カァッ

 

美琴「そうなんだ」パァァッ

 

上条「で、なんでこんなところに?」

 

美琴「…わかんないかな?」ウワメヅカイ

 

美琴はそう言うと、真っ直ぐに少年を見上げた。

 

上条「御坂?」ドキッ

 

美琴「ここなら、アンタに会えると思ったから」

 

上条「え?」

 

美琴「結構ここでアンタと会ってるから、ここで待っていればアンタに会えると思ったのよ」カァッ

 

上条「そ、そうか」カァッ

 

美琴「今日は、その、アレだから、アンタも用事があるかなって思ったけど、そうでもなかったわね」

 

上条「上条さん、今日も補習ですよ」トホホ

 

美琴「そ、そうなんだ」

 

上条「で、アレって?」

 

美琴「アレよアレ!クリスマス!」

 

上条「あー。帰る途中でコンビニのケーキでも買って一人寂しく食べようかなと思っていたんですけどね。お金も無いし」

 

美琴「うわっ。寂しいっ!」

 

上条「言わないで!余計虚しくなるから!」

 

美琴「はいはい」クスクス

 

小さく笑いながら美琴は鞄からはがきぐらいの大きさの箱を取り出す。

 

美琴「はい、メリークリスマス」

 

上条「え?」

 

美琴「プレゼント。アンタにはなんだかんだでお世話になってるから」カァッ

 

上条「え?ええっ!?」

 

美琴「そんなに驚かなくても…」

 

上条「いや、上条さんまったく予想していなかったから…」

 

美琴「とりあえず、受け取ってくれると嬉しいんだけど?」

 

上条「あ、ああ。ありがとう。御坂」ニコ

 

美琴「気に入ってくれるといいんだけど、ね」

 

上条「あ、開けていいか?」

 

美琴「うん」

 

包装紙を剥いで箱を開けると、そこには折りたたみ式の紳士用財布が入っていた。

 

上条「うわ。これって本皮じゃないか?」

 

美琴「アンタのお財布ってそんな感じだったと思ったから、似たようなの選んだんだけど」

 

上条「いや、俺の合成皮の安物と比べちゃ失礼になるような…」

 

美琴「あー、形とかそういうのじゃなかった?」

 

上条「ん?まあ形はこんなだけど」

 

美琴「じゃあ使ってくれる?」

 

上条「…ありがとうな」

 

美琴「どういたしまして」ニコ

 

上条「なんか、悪いな」

 

美琴「なんで?」

 

上条「俺、補習で頭一杯で、クリスマスとか頭に無かったから…」

 

美琴「わたしはてっきり、アンタは誰かと楽しいディナーを過ごしてるんじゃないかって考えちゃったわよ」ボソッ

 

上条「は?それって?」

 

美琴「!!な、なんでもない!!」カァッ

 

上条「御坂」

 

美琴「な、なによ?」ドキドキ

 

上条「あー。その、メリークリスマス」カァッ

 

美琴「う、うん」

 

上条「ほら、上」

 

美琴「え?」

 

促されて空を見上げると、白い雪が静かに降ってくるのが見えた。

 

美琴「わあ…」

 

上条「ホワイトクリスマスだな」

 

美琴「うん」

 

上条「来年も一緒に見れるといいな」ボソッ

 

美琴「え?」

 

上条「!!な、なんでもないぞ!!」カァッ

 

美琴「ふぅん」ニヤニヤ

 

上条「な、なんでしょうか?その微笑みは!?」

 

美琴「別に。ちょろっとね~」ニヤニヤ

 

上条「…」

 

美琴「さて、渡すものは渡したし、門限もあるから帰るね」

 

そう言うと、少女は立ち上がって空き缶をゴミ箱に放り込む。少年も立ち上がり、同じように空き缶を捨てながら言った。

 

上条「寮まで送っていく」

 

美琴「じゃあ、お願いしちゃおうかな」ニコ

 

上条「お、おい!!」カァッ

 

美琴「どうせカップルだらけだから、雰囲気だけでも、ね」ニコ

 

上条「お、おう」///

 

美琴「じゃあ、しゅっぱーつ!」ギュッ

 

上条(や、柔らかいんですけどっ!!)ドキドキ

 

美琴「ちょっと、ちゃんとエスコートしてよね」

 

上条「お、おう。任せとけ!」

 

美琴「ふふふ。メリークリスマス」ギュッ

 

上条「…メリークリスマス」

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