上条当麻のクラスメート、姫神秋沙と青髪ピアスのとある日の放課後の一幕。

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過去に創作板に書いたものを加筆・修正しています。


とある一年七組の放課後

放課後の教室。鞄に教科書やノートなどを詰め込んでいた少女の耳にボソッと呟く低い声が聞こえてきた。

 

青ピ「…暇や」

 

背の高い青髪ピアスの学級委員(男)が机の上に突っ伏している。

 

青ピ「なんでカミやんも土御門君も休みなんや…」ハァ

 

仲のいい友人の不在が思いのほか堪えているようだ。

 

姫神(上条君はきっとまた。人助けしてるんだろうな。『不幸だ~!』なんて言いながら)クス

 

その場にいないツンツン頭の少年を思い出して、少女は小さく笑う。

 

青ピ「…なんや姫神ちゃん、そない僕がへこんでるのがおもろいんか?」

 

姫神「あ。別に青ピ君のこと笑ったわけじゃないから」

 

青ピ「ほんまに?」

 

姫神「うん。ちょっと思い出し笑い」

 

そう答えてから、姫神秋沙は青髪ピアスの方へ身体を向けた。

 

青ピ「ふーん。…あー、思い出すって言やあ、姫神ちゃんの家って神社かなんか?」

 

姫神「別に神社ではないけど。どうして?」

 

青ピ「どうして…って、最初会ったとき、姫神ちゃん、巫女さんの格好してたやろ?」

 

姫神「そうだっけ?」

 

青ピ「こっちはカミやん他一名と一緒に見てるんやから、言い逃れはできないんやで、姫神ちゃん」

 

そういえば、一緒にいたツンツン頭の少年も、西洋の巫女さん(注:青髪ピアスの勘違い、修道女)の格好をした銀髪少女を連れていたので、巫女さんフェスティバルでもあったのかもしれない。そんなイベントがあるならばの話だが。

 

姫神「んー。バイト」

 

青ピ「は?」

 

姫神「神社の売店の制服」

 

本当はそんなことないのだが、何か適当な言い訳をしておかないと後々厄介なことになりそうだと思ってそう答える。

 

青ピ「まだそのバイトはやってるんか?」

 

姫神「もう辞めた」

 

青ピ「ほな、もう姫神ちゃんの巫女姿は拝めへんのか?もったいない」

 

姫神「もったいない?」

 

青ピ「まさに理想の巫女さんやったでえ。姫神ちゃんの巫女姿」グッ

 

姫神「その割には。上条君たちと誰が声をかけるかで揉めていたみたいだけど?」

 

青ピ「あはは、よう見てたんやなあ姫神ちゃん。でも、あれはしゃあないと思うで」

 

姫神「どうして?」

 

青ピ「巫女さんがバーガーの山を前にしてテーブルに突っ伏しているなんて、なんかの儀式にしか見えへんし」

 

姫神「そうかなあ」

 

青ピ「そうやで。いや、もしかしたら学園都市の都市伝説になってるかもしれへんで?『すすり泣く巫女』とかなんとか」

 

姫神「泣いてないし」

 

青ピ「いやいや、そんだけインパクトあるシチュエーションだったってこと」

 

姫神「もう。なにそれ」クスクス

 

青ピ「!!」(姫神ちゃん。笑うとホンマ可愛すぎるやろ)カァッ

 

姫神「…どうしたの?青ピ君?」

 

赤くなった顔を隠すために視線を逸らすと、黒髪の少女は訝しげにこちらへと視線を向ける。

 

青ピ「…あー、なんや。姫神ちゃん、もしかして暇?」

 

姫神「うーん。どうだろ?」クビカシゲ

 

青ピ「そこで悩むってことは、…もしかして、この後、彼氏とデートとかあるん?」

 

姫神「彼氏とか…いればいいんだけど」ハァ

 

青ピ「あれ?もしかして絶賛募集中!?はいはい!僕、立候補します!!」

 

姫神「え?青ピ君。小萌先生みたいな人が好きじゃなかったの?」

 

青ピ「小萌先生はアイドルみたいなもんやで。姫神ちゃん」チッチッチ

 

姫神「そうなんだ」

 

青ピ(あれ?これってもしかしてチャンス?)

 

小さく微笑む黒髪の少女の目を見ながら、青髪ピアスはかねてから言ってみたかった言葉を口にした。

 

青ピ「今は、姫神ちゃんのことしか見えてへんで」キリッ

 

姫神「その言い方。すぐ浮気しそう」

 

青ピ「なんでや!?」

 

姫神「『今は』ってところ。その場だけの雰囲気で言ってるように聞こえるから」

 

青ピ「…じゃあ、今も、これから先もずっと姫神ちゃんのことしか見いへんって約束する!」

 

姫神「え…?青ピ君?」

 

青ピ「ホンマやで?僕、好きになったら一途やし」

 

姫神「え?え?」カァッ

 

青ピ「それとも、他に好きな奴、居たりするん?だったら諦めるけど」

 

姫神(好きな人…)

 

ふとツンツン頭の少年が脳裏に浮かんでから消えた。

 

姫神(違う。彼は私のことなんて見ていないもの。恩人であることに間違いはないけれど)

 

じっと目の前の少年を見る。

 

姫神「んー。どうかな?」

 

青ピ「なんやそれ!?」

 

姫神「そんな急に言われてもわかんないよ」

 

青ピ「そ、そう?」

 

姫神「それに。青ピ君のこと良く知らないし」

 

青ピ「僕のこと知りたいんやったら、なんでも聞いてや。大歓迎やで」

 

人懐こい笑顔を浮かべながらそう言う少年を見て、姫神秋沙はそっと胸元の十字架に触れ、質問した。

 

姫神「…吸血鬼っていると思う?」

 

青ピ「吸血鬼ぃ?」

 

姫神「うん。ドラキュラとか」

 

青ピ(なんや、姫神ちゃん。いきなりそんなこと言って。…はっ、もしかしてボケて欲しいんか?)

 

青髪ピアスは、関西テイストの思考回路で黒髪の少女の質問を真意を勝手に解釈して取った。

 

青ピ「吸血鬼って言えばドラキュラって王道やないかい。そんなんじゃあかんで、姫神ちゃん。インパクトが無い」チッチッチ

 

姫神「別にインパクトとか狙ってないんだけど」

 

青ピ「…実はな、僕が吸血鬼なんや…って、インパクト狙ってないんかい!」

 

姫神「…え!?」

 

青髪ピアスの『吸血鬼』宣言を聞いて、姫神秋沙はシャツの上から十字架をぎゅっと握り締めた。その表情は硬く強張っている。

 

青ピ「姫神ちゃん?どないした?そない青くなって…」

 

姫神「青ピ君…吸血鬼って…」

 

青ピ(姫神ちゃん演技派やな。…ここはのってみるか)「…内緒やで?」

 

姫神「わけわかんないよ…。いきなり私にそんなこと言うなんて」

 

青ピ「姫神ちゃんに、嘘はつけないから」

 

姫神「青ピ君…」ウルウル

 

青ピ(あれ、これどういうオチになるんや?)

 

姫神「…浄化。したいの?」

 

青ピ「できるんかい!?」

 

姫神「…うん」

 

寂しそうに答えると、黒髪の少女はシャツのボタンを一つ外し、銀色の鎖に手をかける。

 

青ピ(…ど、どんなオチなんだ!?)ドキドキ

 

姫神「…」

 

ネックレスを外したときの鎖が揺れる音がやけに大きく聞こえた。

 

黒髪の少女は両手を胸の前に組み、まっすぐに青髪ピアスを見つめる。

 

姫神「…せめて安らかな眠りを」

 

青ピ「姫神ちゃ…ん!?」

 

不意に、姫神秋沙は両手で青髪ピアスの頭を掴み、自らの首筋へと引き寄せた。

 

姫神「はやく…噛んで」

 

青ピ「えええええええ!?ええの!?」

 

姫神「…」コクリ

 

青ピ「じゃ、じゃあ…いくで?」カプ

 

姫神「んっ…?」

 

青ピ(なんかええ匂いするわあ)カァッ

 

姫神「青ピ君の嘘つき!」ドゴッ!

 

姫神秋沙渾身の至近距離からのボディーブローに耐えられるはずもなく、青髪ピアスは派手に吹っ飛んだ。

 

青ピ「うぐわああああああああっ!!なんでやねーーん!!」ドンガラガッシャーン

 

姫神「吸血鬼じゃないじゃない!馬鹿!」カァッ

 

真っ赤になって慌てながらネックレスをかけなおして、黒髪の少女はそう叫んだ。

 

青ピ「…もしかして、吸血鬼を信じてた?」イテテ

 

姫神「うん」

 

青ピ「てか、それやったら逆効果やないか?吸血鬼って処女(おとめ)の血が好物やで?」

 

姫神「しらない!」(良く考えれば封印を解いた時点で襲い掛かってこないってこと自体が吸血鬼を否定しているのに…。私。なにしてるんだろう)カァッ

 

青ピ「姫神ちゃん、怒ってる?」

 

姫神「…自分自身の馬鹿さ加減に呆れているかも」

 

青ピ「なんか、すまんかったなあ」

 

姫神「青ピ君が謝ること。無いよ」

 

『吸血殺し』である自分。だが、その能力を魔装で封印している今、ただの無能力者の転校生としてここにいるのだからそれをクラスメイトに言うわけにはいかない。

 

青ピ「でも…」

 

姫神「でも。なに?」

 

青ピ「僕、姫神ちゃん傷物にしちゃったわけやん?」

 

姫神「傷物って!?違うよ!?」カァッ

 

青ピ「噛んじゃったわけやし」

 

姫神「傍から聞くと誤解するような言い方はやめて!ただ単に首を噛んだだけだから!」

 

青ピ「単にってもんやないやろ?首やで?キスマークとか付けるいわば愛の通過点なんやで!?」

 

姫神「なにその詩的表現!?ともかく。気にしてないから。ね?」

 

青ピ「僕が気にするわ!」

 

姫神「噛まれた本人が気にしてないのに…。じゃあ。そうね…」ウーン

 

青ピ「気にしないってのもある意味凄いけど」

 

姫神「ハンバーガー奢って!」

 

青ピ「は?」

 

姫神「これからハンバーガーショップへ連れていって。ハンバーガー奢ってくれればそれでご破算」

 

青ピ「姫神ちゃん…あの山のような数は無理やで?」

 

姫神「普通のセットでいいわよ。というかあのことは忘れて」

 

青ピ「わかった。姫神ちゃんがそう言うならそうするわ」

 

姫神「決まりね。じゃあ行きましょう」

 

青ピ「姫神ちゃん」

 

姫神「なに?」

 

青ピ「これって、デートって思ってもええ?」カァッ

 

頬を赤く染めてそう言った少年に、黒髪の少女は小さく微笑んでこう言った。

 

姫神「んー。どうかな。青ピ君次第…かな?」ニコ


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