美琴(…アイツ、いったいなにやってるのよ)ハァ
夕暮れのスーパーの前で、御坂美琴は肩を落として大きなため息をひとつついた。
美琴(これでもう三日間、アイツを見てない。今日は特売日だから来ると思ったんだけどな…)
いつだったか、いつものように勝負を仕掛けたときに、彼は両手を合わせて拝むように言った。
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上条「スマン御坂!今日は特売日だから勘弁してくれ!」
美琴「はぁ?なによそれ!馬鹿にしてるの!?」
上条「貧乏な上条さんにとって、特売日は命を繋ぐために極めて重要な日なのですよ!」
美琴「特売って言っても10円とか20円とかでしょ?」
上条「常盤台のお嬢様にはわからないかもしれないけど、上条さんみたいな庶民にとって、その差は至極重大なのですよ!」
美琴「…」
上条「じゃ、そんなわけで、またな!御坂」スタタタ
美琴「あっ!ちょっと…行っちゃった」ショボン
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美琴(いやいや、ショボンじゃないから)
自分の回想に突っ込みを入れ、もう一度スーパーの方に視線を送る。すると、入口から見覚えのある人物が大きな袋を抱えて出てくるのが見えた。
美琴(あ、あの子!)
インデックス「こもえ~。今日のご飯はなんなんだよ?」
小萌「うふふ。シスターちゃん。今日は特売日だから大奮発して豪華焼肉セットを準備してみたのですよ~」
インデックス「す、すごいんだよ、こもえ!早く帰るんだよ!」キラキラ
小萌「駄目ですよシスターちゃん。上条ちゃんのご飯を用意してあげるのが先ですよ~?」
美琴「!」
インデックス「むー。残念なんだよ」
小萌「まったく、上条ちゃんにも困ったものですね。インフルエンザで寝込んじゃうんですから」
美琴(なに、アイツ、病気で寝込んでたの)
インデックス「貧弱なんだよ!どうせ食べるのはお粥だけなんだから…。そうだこもえ、どうせならとうまの部屋で焼肉するんだよ!」
小萌「お粥しか食べられない上条ちゃんの傍で焼肉をすると、シスターちゃんが病気になったとき同じことされますよ?」
インデックス「そんなときはまるかじりなんだよ!」カチカチ
小萌「シスターちゃんは野生的ですね~」
他人の話を盗み聞きするのは少し気が引けたが、自分が知りたかった相手の情報が含まれていたのだから仕方が無いと、御坂美琴は盗み聞きに対して自分に都合のいい理由付けをした。
美琴「あ、ちょろっと~」
インデックス「あ、短髪」
小萌「シスターちゃん、お友達?」
インデックス「とうまの…ストーカー?」
美琴「なっ!?なに言ってるのアンタ!」
インデックス「だってとうまが色んなところで喧嘩売ってくるって言ってたし」
美琴「あんにゃろう!」
インデックス「で、何の用なの?短髪」
美琴「最近アイツに合わないんだけど、どうしてるのよ?」
インデックス「とうまは病気で倒れてるよ」
美琴「そ、そう」(ホントは聞いていたから知ってるんだけど)
インデックス「気になる?」
美琴「え?あ、うん、そうね…」
インデックス「じゃあ、とうまにご飯作ってあげてよ。お粥でいいから」
美琴「…へ?」
インデックス「こもえ、こもえ。短髪がとうまにご飯作ってくれるって!」
小萌「あらあら、上条ちゃんも隅に置けないわね~。常盤台の女の子に知り合いがいるなんて」
美琴「いや、ちょっと?」
インデックス「私たちは一刻も早く焼肉を食べるんだよ!早く帰るんだよ!こもえ!」
小萌「ええと?短髪さん?」
美琴「え?あ、なによ?」
小萌「お願いしていいですか?上条ちゃんのこと。このままだとシスターちゃん暴走しそうなので」
目の前の女の子はそう言うと、勝手に歩き始めた修道服の少女を見てから困ったように微笑む。
美琴「あー、ええと、貴女は上条当麻の知り合い?」
小萌「私は上条ちゃんの担任です。シスターちゃん?家の鍵は私が持っているんですよ」
美琴(はい?担任?小学生じゃなくて!?)
インデックス「早く来るんだよこもえ!」
美琴「…えーっと、能力者?飛び級?」ポリポリ
小萌「これでも普通に大学出ているんですけどね~」
美琴「…」
小萌「上条ちゃんは結構鈍感さんですから、貴女が望むようなことにはならないと思いますけど、お願いしますね。じゃあこれ」ガサガサ
美琴「な、な、なにを言ってるのよっ!別にわたしはアイツになにか望んでるとかそんなんじゃなくて」カァッ
反論しながら、半ば条件反射で差し出されたビニール袋を受け取ってしまう。
小萌「うふふ。青春ですね~」
美琴「だから違うって」///
小萌「待ちなさいシスターちゃん!なんでサンチュを食べちゃうのですか!それはお肉を巻いて食べるのが美味しいのに!」
インデックス「待たせるこもえが悪いんだよ!」モッシャモッシャ
小萌「全部食べちゃ駄目~!!…じゃ、じゃあお願いしますね」ペコッ
美琴「あっ!ちょ、ちょっと!!」
受け取ってしまったビニール袋の中には、海苔の佃煮と梅干が仲良く寄り添っていた。
美琴(いや、確かにお粥には合うけど…これだけ?)
顔を上げてスーパーを見る。それから小さく首を振って携帯電話を取り出した。
美琴「…」ドキドキ
上条「あー…御坂…か?」ゴホゴホ
美琴「アンタ、具合悪そうね?大丈夫なの」
上条「なかなか熱が下がらなくてですね…」ゴホゴホ
美琴「なんだっけ?インデックスとかいう子がこもえ?とか呼んでた子って、ホントにアンタの担任?」
上条「んあ?小萌先生か」
美琴「あはは…、小学生じゃないんだ」
上条「上条さんの学校の七不思議のひとつなんですよ」
美琴「あ、あのさ、アンタ」ドキドキ
上条「なんでしょうか?」
美琴「最近お粥しか食べてないみたいだけど、なんか食べたいものある?」
上条「はい?」
美琴「あー…。小萌先生って人にアンタの世話、頼まれちゃったからさ」アハハ
上条「うぇ!?」ゴホゴホ
美琴「…なによその嫌そうな声」
上条「い、いや、なんで御坂が!?」
美琴「だーかーらー、代わりに頼まれたって言ってるじゃない」
上条「…」
美琴「アンタの部屋、お米はあるの?食材とか」
上条「お米は買い置きがありますけど…」
美琴「そう。じゃあなんか買っていくわ。なにが食べたい?」
上条「ええと…言っていいのでしょうか?」
美琴「とりあえず言ってみなさい」
上条「お肉が食べたいです…」
美琴「了解。あとは適当に見繕ってくわ…って、そうそう。一番大事なこと聞いてなかった!」
上条「な、なんだ?」
美琴「あ、アンタの部屋ってどこにあるの?」