クロコー! オッキナサーイ! アッサヨー! クロコー! オッキナサーイ! アサヨー! カチ ゴソゴソ…
??「…さま…お姉さま」
美琴「うう…ん?」ボー
黒子「お姉さま?お時間ですわよ」ユサユサ
美琴「うん?時間?」ボー
黒子「あの殿方のところに行くのでは?」
美琴「そっか!」ガバッ
すばやく跳ね起きると、御坂美琴はすばやい動きで朝の身支度を終わらせた。
黒子(お姉さまが燃えていますの…それも類人猿のために)ギリギリ
美琴「じゃあ、お願い」
黒子「…」シュンッ
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カチャ
美琴「…お邪魔しまーす」
黒子「…」パタン カチャ
美琴「…まだ寝てるかな…寝顔なんか見ちゃったりしていいのかな?いいよね?」ドキドキ
黒子(お、お姉さま)ガーン
美琴「うふふ。寝てる寝てる…」ドキドキ
黒子(こ、恋する乙女の目ですの…)ショボーン
美琴「写真撮っちゃおうかな?アイツの寝顔。…いいよね?このくらい…」ドキドキ
黒子(あの類人猿、お姉さまの気持ちも知らずに呑気に眠りこけやがって)ギリギリ
上条「…」スヤスヤ
美琴「いいよー、そのまま、動かないでー」ドキドキ
黒子「…」
上条「…み…さか」ムニャムニャ
美琴「!!」(わ、わたしを呼んだ?)ドキドキ
黒子「!!」(気安く呼ぶなぁ類人猿)ギリギリ
美琴「…」パシャッ
上条「…う…ん…」スヤスヤ
美琴「…」ホッ
黒子「…」
上条当麻の顔を覗き込むように見て、小さく微笑む。
黒子(ああああああぁぁ!!お姉さまそんな類人猿に微笑みかけなくてもぉぉぉっっ!!)
美琴「…さて、ちゃっちゃと作っちゃおう」ウデマクリ
黒子「私もお手伝いしますの」
美琴「黒子は一回戻ってもいいわよ。7時に迎えに来て」
黒子「お、お姉さまぁ…」
美琴「ゴメン黒子。わたしが作ってあげたいの」カァッ
黒子「…わかりましたの。では、また7時にお迎えにあがりますの…」ショボン
美琴「ごめんね、黒子」
黒子「いいえ。お姉さまの幸せが私の幸せですの…では、後ほど」シュンッ
美琴「黒子…。ありがと」
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黒子(うすうす気付いてはいましたの…)シュンッ
黒子(お姉さまがあの類人猿に恋をしているということに)シュンッ
黒子(認めたくなかったけれど…あんなお姉さまの顔を見てしまっては…)シュンッ
黒子(あんな幸せそうなお姉さまの顔を見てしまったら…)シュンッ
黒子(反対できませんの)シュンッ
黒子(お姉さまを不幸にしたら許しませんですの…上条当麻)シュンッ
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美琴「~♪」コトコト
朝早くから台所に立って料理をしている。
美琴(通い妻って、こんな感じなのかな?)ニヘラー
無意識のうちに頬が緩む。
美琴(病気に感謝しないと…でも、アイツと外で会えないのは淋しいし…)
炊飯器のスイッチを入れ、二食分のおかず作りにとりかかる。
美琴(あとどのくらいで治るのかな?)
早く治って欲しい。だけども、治らないでいて欲しい気もする。
美琴(…なに考えてるの。病気なんて早く治った方がいいに決まってるじゃない)ブンブン
でも、治ってしまえば、自分がここに来る理由が無くなってしまう。
美琴「…いやだな」ボソッ
小さく呟く。自分にしか聞こえない声で。
美琴「…わたし、どんどん我儘になってる」ハァ
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ぽたん。ぽたん。
頬に温かい雨が落ちてくる。…温かい、雨?
美琴「なに、やってるのよ、アンタ」グスッ
すぐ近くから聞こえてくる少女の声の方に顔を向ける。どうやら自分は膝枕をされているようだ。
ぽたん。ぽたん。
少女の瞳から零れる大粒の涙が、自分の頬の上で弾ける。温かい雨の正体は、少女の涙だった。
上条(泣くなよ…)
言おうとして、声が出ないことに気づく。
そもそも、どうしてこんなことになっているのだろう?
美琴「……そんなにボロボロになって、汚い地面の上に転がって、短い間だけど、心臓だって止まっていたかもしれないのに…」グスッ
上条(そんなことは、どうでもいい…)
上条「み…さか」
辛そうに涙を溜める少女の顔を見上げながら、鉛のように重い左腕を懸命に持ち上げ、そっと少女の瞳の涙を拭う。
美琴「!!」ビクッ
上条「お前の泣き顔は、見たくない」
美琴「…」ウルウル
上条「泣くなよ、御坂」
美琴「…泣いてない」ウルウル
上条「泣いてるだろ?」
美琴「…おまじないしてくれたら、泣かないかも、ね」
上条「おまじない?」
美琴「…目、閉じて」
上条「…」
美琴「…」チュッ
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上条「…ん」
上条(ここ…は?)
美琴「…おはよう」
上条「ああ、おはよ…うううううっっ!?」ビクッ
美琴「な、なに驚いてるのよ!」ドキドキ
上条「な、なんで御坂さんがいるんですか!?」アセアセ
美琴「昨日言ったじゃない。ご飯作ってあげるって」
上条「学校はどうしたのですか?」
美琴「ん?行くわよ。当たり前じゃない」
上条「今、何時?」
美琴「6時50分ってところかしら?あと10分したら迎えが来るわ」
上条「そっか。わざわざ早くに悪いな」
美琴「ちょっと失礼。熱は~、まだちょっとあるかな?」オタガイノ オデコニ テノヒラ アテル
上条「!!」カァッ
美琴「む?更に上がった」クビカシゲ
上条「き、気のせいだろ」///
美琴「まあ、今日も安静にしてなさいってことね」
上条「お、おう…」
美琴「ご飯を炊いて、鶏肉の卵とじ…親子丼の具みたいなのと、ほうれん草のおひたしを作っておいたから」
上条「ありがとうございます」ペコリ
美琴「味噌汁じゃなくて昨日の残りのスープになっちゃうけど」
上条「文句を言ったら罰が当たります」アリガタヤ
美琴「ねえ、夜はなにが食べたい?」
上条「リクエスト募集中!?」
美琴「あまり手の込んだものは作れないけどね」
上条「じゃあ、シチューとか食べたいかな、なんて」
美琴「ホワイトソースとブラウンソース、どっち?」
上条「…クリームシチューってホワイトソースなんでしょうか?」
美琴「そうね。寝かせると美味しくなるから、明日の朝と昼もシチューにする?」
上条「それ最高」
美琴「ふふ。じゃあ夜はシチューね」
上条「ありがとうございます。御坂様」アリガタヤ
美琴「様はやめて。…んー。鶏肉が続いちゃうなあ。ま、シチューなら野菜を多めに入れればいいか」
上条「そんなことにまで気を使ってくれて…上条さん感激」
美琴「お、大げさよ。…そうそう、アンタ、シチューにマッシュルーム入れる?」
上条「上条さんのシチューは玉ねぎとジャガイモがメインですよ?」
美琴「そ、そうなの?わたしは結構好きなんだけど、マッシュルーム」
上条「御坂さんにお任せします」
美琴「了解。…と、じゃあそろそろ行くわ」
上条「御坂」
美琴「うん?」
上条「サンキューな」ニコ
美琴「病人はおとなしくしていればいいの。じゃあね」
上条「ああ」
ガチャ パタン ガチャ
美琴(…ば、ばれてない、ばれてないよね?)カァァッ
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調理が終わり、一通り片付け終わってから台所の電気を消す。携帯を取り出して時刻を確認する。表示されている時間は6時42分。
美琴(…アイツ、まだ眠っているかな?)
静かにベッドの傍へと歩いて行き、上条当麻の顔を覗き込む。規則正しい寝息が微かに聞こえてきた。
美琴「…失礼しまーす」
囁くように言って、御坂美琴はベッドの上に座る。
美琴(…良く眠ってる)ニコ
身体を捻り、少年の顔を覗き込む。
美琴「…」ニコ
ただ見ているだけで、なんとなく心に温かいものが満たされていくような感じがする。
上条「…みさか」
美琴「!?」ドキドキ
上条「…泣き顔…見た…ない」
美琴(泣き顔?見たくない?どんな夢見てるのよ?)ドキドキ
寝言を言う上条当麻がなんとなく辛そうに見えたので、少女はその耳元でそっと囁いた。
美琴「…泣いてないよ」
上条「……泣いて…」
再び辛そうな表情を浮かべる少年。それを見て、少女は再び耳元で囁く。
美琴「泣かなくなるおまじないをしてあげる…」
そして、そっと少年の頬に自分の唇を押し当てた。
美琴(昔、ママがしてくれたおまじない)///
上条「…ん」
美琴「!!」ビクッ
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上条(…なんだったんだあの夢は…)
妹達を助けるために一方通行と戦おうとしていた御坂美琴を止めようとして、上条当麻は倒された。
上条(膝枕されてたんだよなあ…)カァッ
頬で弾ける涙。潤んだ瞳。
上条(あれは反則だよな…)
拭った涙。おまじない。
上条(…おまじないってなんだ?)
美琴「目、閉じて…」
上条(…あのシチュエーションだと…キスだよな。しかも、御坂の方から俺に…)カァッ
鼓動が高鳴る。息が苦しくなる。
上条「俺、そんなに発情してるわけ!?」ガーン
少女の顔を思い浮かべ、上条当麻は懺悔した。
上条(ごめん、御坂。俺って最低だ)ズーン
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プルルルルル…プルルルルル…
上条「もしもし…」
小萌「おはようございます上条ちゃん。昨日は良く眠れましたか?」
上条「おかげさまで」
小萌「でも、上条ちゃんも隅に置けませんね。常盤台の女の子に看病してもらえるなんて」
上条「なっ!!」
小萌「うふふ。先生が行くよりいいと思ったんですけど、余計なお世話でしたか?」
上条「…あー、なんて言うか、助かりました」
小萌「どういうことですか?上条ちゃん?」
上条「正直、お粥だけでは限界が来ていたものでして…。昨日は知り合いがちゃんとした食事を作ってくれて助かりました」
小萌「びょ、病人にはお粥が一番なのですよ!」
上条「それにしても限度ってものがありますよ!何が悲しくて海苔の佃煮と梅干に喜びを見出さなくてはいけないんですか!?」
小萌「上条ちゃん…。ごめんなさい。実を言うと先生もお粥だけでいいのか不安だったんですけど、上条ちゃん、何も言わないからいいかなって思ってました。てへっ」
上条「『てへっ』ってなんですか『てへっ』って」
小萌「そんなことより、今日はどうしますか?上条ちゃん」
上条「完全にスルー!?」
小萌「今日もお粥作りに行きましょうか?上条ちゃん?」
上条「申し訳ありませんが、知り合いが治るまで食事を作ってくれると言ってくれているので、謹んで辞退させていただきます」
小萌「知り合いって、昨日の短髪さん?」
上条「まあ、そうです」
小萌「へえ。そうなんですか。よかったですね。上条ちゃん」
上条「なにがですか?」
小萌「短髪さんが看病してくれて」
上条「なっ!?」カァッ
小萌「看病してくれるってことは、上条ちゃんのことを大切に思っているってことですから」
上条「そ、そういうものですか?」
小萌「先生だって上条ちゃんは大切な生徒ですから、看病したのですよ?…ちょっと間違えちゃったみたいですけど」
上条「…」
小萌「短髪さんにちゃんとお礼言うんですよ。上条ちゃん」
上条「お礼を言ったら、『病人はおとなしく看病されていろ』って言うんですよ」
小萌「ふふ。策士ですね。短髪さん」
上条「え?」
小萌「なんでもありませんよ上条ちゃん。じゃあ、上条ちゃんのことは短髪さんに任せておけば安心ですね」
上条「うぇ!?」
小萌「上条ちゃん、短髪さんの名前はなんていうんですか?」
上条「なんでそんなこと聞くんですか?」
小萌「先生からもお礼を言いたいからですよ」
上条「…」
小萌「本当は先生がやらなきゃいけないことを短髪さんがやってくれているのですから、お礼くらいさせてください」
上条「…御坂美琴…です」
小萌「御坂美琴…って、超電磁砲の御坂美琴さん?」
上条「えー、まあ、その、そうです…」ヤッパリ ユウメイ ナンダナ
小萌「…それならそんな難しくなさそうですね」ボソッ
上条「はい?」
小萌「なんでもないですよ上条ちゃん。じゃあちゃんとお薬飲んでお布団に入って寝なさいね」
上条「はいはい」
小萌「それじゃあ、おやすみなさい。上条ちゃん」
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朝食を済ませ、カフェオレとミルクティー、どちらを飲もうか思案していると、後ろから声をかけられた。
寮監「御坂。…ちょっと来い」
美琴「…はい?」
寮監「電話だ」
美琴(電話?)
寮への電話とは珍しい。知り合いなら携帯にかけてくるはずだし、そもそも時間的に微妙である。
美琴「…代わりました。御坂です」
小萌「短髪さんですか?」
美琴「!?」
小萌「上条ちゃんの看病、ありがとうございました。それでですね、なんでも今日もお世話をしてもらうと上条ちゃんが言っていたんですけれど、…本当ですか?」
美琴「…あ、ま、まあ。約束したので…」カァッ
小萌「そうですか。ではお願いしてもいいですか?」
美琴「は、はい…」
小萌「…あのですね、参考程度に聞いてもらえばいいんですけれど、私の名前は月詠小萌と言います」
美琴「え?あの?」
小萌「いいですか?第七学区高等学校教員連盟の月詠です。AIM拡散力場の研究も行っていますので、お暇でしたらお手伝いしていただけると助かります」
美琴「っ!はい、わかりました」
小萌「うふふ。よろしくお願いします」
美琴「あ、あの、わたしは…上条班へ行けばいいのですよね?」
小萌「はい。話が早くて助かります。では、よろしくお願いします」
美琴「はい」
美琴(本当に先生なんだ…あの人。人は見かけによらないって言うけど…。でも、咄嗟に上条班って言っちゃったけど、大丈夫かしら?)
寮監「御坂。研究の協力要請か?大変だな、超能力者ともなると」
美琴「いえ…。超能力者として実験に協力するのは当然の義務ですから…」ドキドキ
寮監「そうか。…いきなり今日、実験とはまた急な話だが」
美琴「あ、以前から約束をしていたんですけど…すっかり忘れてまして…」
寮監「御坂…。だからこんな時間に電話をかけられるんだ。しっかりしろ」
美琴「あはは。すみません」
寮監「まあいい。…学校へ行く前に外出届を忘れずに出していくんだぞ。夕食はどうするんだ?」
美琴「えーっと…。たぶんあちらで用意していただくことになると思います」
寮監「そうか。あまり無理をしないようにな」
美琴「はい」