バカと愚者と答えの無いテスト   作:夢の鷹

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けっちゃく

Side 雄二

 「かかれえええええええええええ!!」

 声の限り、叫ぶ。途端、後ろで待機していた残ったFクラスの残存兵全てがDクラスに突入する。

 「全員、敵を囲むように包囲しろ!一人たりとも逃すな!」

 隣で紀伊國が指示をとばす。今回のDクラス戦、こいつが居てくれて本当に助かった。作戦の立案、現場での指揮、殿で他の仲間を生き残らせるだけの点数。どれをとっても一級品の能力だ。加えて

 「よくあの場であんなアドリブが思いついたな」

 「お前があの程度で諦めるタマじゃないことくらい知っているさ」

 晴れやかに嗤う。

 「戦況は6・4で若干有利か。科目を世界史にしたのが効いているな。こいつら大半が理系だから文系科目が紙の様だ」

 加えて、完全に予想外の奇襲、満足に指示が行き届いて無い

 「それもあるが、一番は同士討ちだろう?」

 さっきから、敵の攻撃は味方も巻き込んでいる。

 「おい!俺に攻撃してんじゃねえよ!」

 「す、すまん。わざとじゃ……」

 「ちょっと!足踏まないでよ!」

 「あんたこそ髪を引っ張るな!」

 いい具合に内輪揉めが起きているな。しかしまあ、完全には防ぎきる事は難しいか。一人二人と網を突破してくる。

 「坂本!!Dクラスの日向が……」

 「残念!その勝負は俺が戴く!」

世界史 紀伊國友康 425 vs 日向浩二 78・中目黒 京子 56・建部 芳樹 78

 しかし、それら全ては友康が一手に屠ってしまう。

 「お前、世界史も400越えだったのか……」

 「ああ。二次試験で使う予定があるからな。まあ、日本史は78だが」

 「えらく差があるな……」

 おまけに簡単な挑発にも引っかかってくれるとは……

 『糞が……余裕ぶってんじゃねえ!』

 「『滑稽ここに極まり』か?」

 「だな」

 思わず、ニヤリと嫌な笑いが込み上げる。

 友康の召喚獣が地を滑り、敵に肉薄する。

 「ひっ!?」

 「盗聴の対価は高くつくぞ?」

 居合一閃。それだけで周りにいた召喚獣が根こそぎ倒れる。

 「戦死者は補習!」

 もう何度目かの鉄人の補習コールが響く。

 『くそっ、F如きに……』

 怨嗟の声がドップラー効果を作って遠ざかっていく。一段落ついたのか、懐かしい友康の毒舌が聞こえた。

 「はっはっは……ざまあ」

 ……確かに、素でむかつくな。しかし、挑発にはばっちりだ。火に入る虫のように、Dクラスの連中が代表の防御よりも攻撃を優先し始めた。

 「頃合いだ……行け、神崎、明久!!」

 

 

Side 紀伊國

 「畜生……お前、理系じゃなかったのか?報告では……」

 息も絶え絶えな敵から、本当に最期の問いが発せられる。

 「ああ、Fにしては高い物理の点数を見てそう判断したのか?まあ、無理からぬ事だが、本当に滑稽だな!本当に……Fクラスだからと見下す貴様らにはお似合いの末路だ!」

 「ひ、ひい」

 召喚獣が地を滑り、刀を走らせ敵を切り裂く。五人目か。生憎、今回の俺は脇役。主役が登場するまでの舞台を掃除するだけだ。

 「ふう……少し押され始めたか?」

 敵が減ってきたことで、動きがとり易くなったのか態勢を整えられ始めている。少し、煽っておくか。

 「嫌だ嫌だ!鉄人の補習は――」

 「はっはっは……ざまあ」

 ……我ながらムカつくな。ただ、そのかいあってか敵の注意がこっちに向けられた。全員血走った眼で、俺を睨んでいる。そして、俺めがけて強行突破しようとしたその時

 『行け、神崎、明久!!』

 今回の主人公が登場した。

世界史 Fクラス 吉井明久 353

        神崎ゆずは 487

案の定、二人とも高得点保持者だ。吉井はまともに勉強を教えてから5か月。神崎に至っては理系のくせにキッチリ400を超えてきている。二人とも才能と言う面では俺では大差は無い。ただ、装備が気になる。明久の装備は木刀、神崎に至っては何も持っていない。まあ、恐らく戦えないという事は無いだろう。頭を振って、意識を集中させる。

「さて、じゃあそろそろお役目御免かな」

周囲を見渡す。敵の残存勢力は残り20。対して、こちら坂本・明久・神崎の三人を除けば戦える戦力は僅か8人。最後の仕事をするには丁度いいか。雄二に現場での指揮権を与えられている以上、俺は最善の策を行う。

「全員、役割を放棄!何としてでも敵を押し込め!」

『応!!』

途端、一斉に敵が壁際に押され始めた。

「ふん!」

 召喚獣に地を滑らせ、敵の中に突っ込ませる。こうなっては生き残るのは難しいが、問題は無い。

 「くそ!なんとしてでも紀伊國を打ち取れ!こいつ以外は雑魚だ!」

 「言われなくても解っている!」

 目の前に居た敵を切り付ける。が、背後から槍を刺された。

 (点数が300をきったか……)

 「明久!」

 俺達にあるのは勝利という共通理念だけ。なら、明久にはこの一言で先を促す。

 「解った!やって、神崎さん」

 「はい!」

 これが、正真正銘最後の作戦。即ち、最大戦力の一人である俺を釣り餌に敵を殲滅する。これは400超えの神崎の召喚獣でなければ出来ない役割。決まれば確実に勝てる。が、試召戦争直前までこの作戦は凍結されていた。理由は、神崎があまりに優しすぎた、と言ったところか……。まあ、無闇に味方を屠るような奴よりは断然良いのだが。しかし、明久はどんな魔法を使ったか、この最終特攻開始五分前に神崎を説得して見せた。

 神崎の召喚獣がパチンと指を鳴らした。瞬間、神崎の召喚獣の空間が歪み大量の武器が出現する。それは一旦空中で静止して、次の瞬間こちら目掛けて飛んできた。それはまさしく……

 「王の財宝!?」

 いいのか?強いけど、いや強すぎるからこそいいのか?しかし、そうも言っている余裕は無い。俺はまだ味方が戦っている状態で攻撃を促したのだ。300近く点数がある俺は簡単には死なないが、須川達は掠めるだけでも致命的だ。

 「戦死者は補習!」

 この作戦で敵も味方も一斉に補習室送りにされ始めた。かくいう俺も

 紀伊國友康 178

 大きく点数を消耗していた。

 「お前ら、正気か!?」

 召喚獣に大量の剣を刺しながら、目の前の奴が末期の言葉を吐いた。

 「……」

 わざわざ答えてやる義理は無いので無視して、代わりに刃をくれてやる。が、そこで俺の戦いは終わった。周囲を槍衾で包囲され、そのまま体を串刺しにされた。

 紀伊國友康 DEAD

 『はっ!ザマアないな』

 漸く挑発の根源を殺せたからか、こいつらの溜飲が下がったのが解った。

 「馬鹿どもが。俺はただの餌だ」

 次の瞬間には、俺に群がっていた槍衾隊が飛んできた剣で針の筵になっていた。

 「戦死者は補習!」

 『嫌だ、Fなんかに……Fなんかにいいいいいいいいいい!!』

 思わず耳を塞いでしまう。五月蠅い。しかし、まあ、悔いはない。

 「上手く神崎を説得したな。明久」

 最後にそんな一言を残して、俺は補習室に向かっていった。

 

 Side 明久

 「ゲートオブバビロン!?」

 某金ぴかのように、神崎さんの召喚獣が大量の武器を連射する。

 「わ……凄い。私、一度こういうのに憧れて」

 目をキラキラさせながら、一撃一撃が冗談では済みそうにない掃射をする。あれ……なんか僕、とんでも無い魔王呼び出しちゃった?

 彼女、神崎ゆずはさんはアニメ、というか日本のサブカルチャーに割と興味がある。丁度⒑分前に知ったことだ。

 『戦死者は補習!』

 向こうの人垣から鉄人の声が聞こえてきた。それと同時に⒑人近くの生徒が鉄人に連行されていた。その中には紀伊國君も混じっている。

 ……そうか。彼も遂にやられたか。この作戦は下校途中にふと、彼自身が思いついたものだ。高得点者である自分を囮に、敵を一掃する作戦。当初、神崎さんの精神と、高得点者を失ってまで実行するリスクを考えて、この戦いでは使う予定は無かった。しかし、状況がそれを許さなかった。神崎さんには心苦しいけど、それ以外に良い手段が無かった。

 「行くよ、神崎さん!」

 召喚獣の態勢を出来るだけ低くし、まだ剣が飛び交う危険地帯に突っ込む。

「おい!観察処分者が突っ込んでくるぞ!」

「馬鹿だろ、アイツ!?」

面白いように動揺が広がっていく。

「明久!敵の数は残り8だ!一気に決めろ!」

「了解!」

剣の下を並走しながら、召喚獣が戦場を駆け抜ける。暗記系科目に限っては、僕の点数はAクラスの平均点はある。でも、僕の武器は点数なんかじゃない。一年を観察処分者として培った召喚獣の操作技術だ。だから今の、飛び交う武器の群れを躱さないといけない状況では僕の独壇場だ。僕なら避けられる。召喚獣の動きと僕の意識がシンクロし、全ての攻撃が、まるで自分から避けるように過ぎ去っていく。過ぎ去った武器は、新たな獲物を求め、Dクラスの召喚獣に穴を作った。彼らにとっては、さっきまでは避けるだけ良かった状況。転じて今は、その中で戦わないといけない。万に一つも、彼らに勝ち目は無い。

後ろから迫りくる剣を紙一重で躱し、そのまま木刀を敵に叩き付ける。

Dクラス 近藤 吉宗 DEAD

「くそう……」

何処からか怨嗟の声が洩れる。本来なら、すぐに周囲に気を配らないといけないけど、今回に限ってはその必要は無い。もう既に、Dクラスに残っている戦力が代表の平賀君しかいないからだ。

「くっ!『試験獣召喚』!」

もう既に結果は見えている。僕や神崎さんの点数は言うに及ばず、雄二の点数だって悪くは無い。守護には秀吉が付き、退路は大島先生を従えたムッツリーニが塞いでいる。それでも戦うのは彼なりの矜持なのだろう。

「なんで……どうして盗聴されていると気が付いた!?」

泣きながら、まるで怯えるように平賀君が怒鳴る。ああ、それは僕も気になっていた。いきなり雄二が僕たちを屋上に集めたかと思ったら、いきなり「俺達は盗聴されている」と言い出したのだ。勝敗が決していることもあり、僕も雄二に聞いてみた。

「途中までは俺も気づかなかったぞ?ただ、Dクラスの行動が完璧過ぎたからな。考えてみろ。俺と友康の作戦にD如きが対応出来る訳ないだろ?だったら後は、盗聴されているという可能性しかない。」

ああ。だから渡り廊下での戦いで力押しが効かなかったのか。どのタイミングで作戦を実行するかが解っていれば、対処するのは簡単か。

「確信を持ったのは待ち伏せの一件だな。8人に対して⒑人。12人に対して15人。人数配分に無駄が無さすぎだ。加えて、撤退方法があれ一通りじゃないのにも関わらず、こちらの撤退方法を知っていたかのような配置。いくら翔子でも無理だ」

「そ、それじゃあ、お前と紀伊國が仲間割れしたのは……」

「演技に決まっているだろ?盗聴されているのに気付いたら、逆に利用するだけだ……さて、無駄話はもういいな。明久、さっさと片づけろ」

ザシュと、僕の木刀が召喚獣の喉笛を切り裂いた。

 

 

『勝負あり!勝者Fクラス!』

 

世界史の石井先生の声が高らかに鳴り響いた。

「さて、敗戦処理といこうか。負け組代表さん?」

厭味ったらしく雄二が嗤う。

「く……」

「雄二、それ紀伊國君のマネ?」

「ああ、大分ストレスが溜まっていたからな」

見ると、嫌に血色の良い雄二の顔があった。まあ、気持ちは痛いほど解る。二人でたてた作戦をDクラスは踏みにじってくれたのだから。秀吉や神崎さんも苦笑いするだけで雄二を諌めようとはしない。……どころか、平賀君にとっては、ある意味雄二以上に危険な人物が現れた。

「ふん、やはりやられたか。流石はDクラスだな。豚には相応しい末路、と言いたいところだが……正直ここまで苦戦するとは思わなかった」

「あ、紀伊國君」

「喜べ、履歴書に書けるぞ?『Fクラス相手に善戦することが出来ました』とな」

いやそれ、恥以外の何物でも無いから。相変わらず口が悪い。

『紀伊國、侮辱する気か!?』

いつの間にか、補習室から戻っていた他のDクラスの生徒が紀伊國君に噛みつく。

「盗聴という反則を使っておきながら、俺達Fクラスに負けるようなDクラス様には似つかわしい履歴だと思うがな」

そして、本当に交渉が巧い。雄二が交渉しやすいように自分の方に怒りを集めている。意図を悟ったのか、雄二が息もつかせず交渉のテーブルに相手を促した。

「さて、Dクラスの諸君。残念なことに日本には盗聴罪と言うものは無い。よって、俺達はそこをどうこう言うつもりはない。が、学園側はそれを見逃すことは無い――」

さて、交渉ごとは全部雄二に任せてしまうか。僕は――

その時、少し見慣れない組み合わせを見た。紀伊國君と神崎さんだ。どうやら、神崎さんが紀伊國君に話しかけたみたいだ。

「ご、御免なさい!あの時紀伊國君まで補習室に……」

「構わんよ。あれも作戦の内だ。それに、少し良いものが見れた」

神崎さん、やっぱり罪悪感を感じてしまっているのかな。なぜだか、神崎さんの曇った表情を見ていると心が痛む。まして僕が原因とあったら……

「ごめんね、神崎さん」

「よ、吉井君!聞いていたの?」

「うん……耳に入ってしまって」

あわあわと、耳どころか顔全体を真っ赤に染め上げ狼狽し始める。一体どうしたんだろうか?

「ふむ……都合がいいな」

でも、一番解らないのが紀伊國君だ。僕たち二人を思案顔で眺めていたと思ったら、次の瞬間には

 「明久、一大事だ」

 なんてことを言いだすからだ。

 「一大事って何が?」

 本当に訳が解らずに質問する。

 「神崎は今回の作戦で酷い心の傷を負ってしまった。精神医療の知識を齧った俺が言うのだから間違いない。ああ、何たることだ!うら若き乙女がその心を真冬の時計塔から投げ出そうとしているぞ、明久?」

 ……なんだろう。この嘘くささ溢れる演説は?誰も警戒して信じないよ?あと、真冬関係ない。

 「とまあ、冗談はここまでにするが、多少彼女のメンタルに傷が入っているのは事実だ。一緒に外の空気を吸ってこい」

 「それも…そうかな」

 確かに、神崎さんには多少重荷に感じたかもしれない。

 「い、いえ。私は大丈夫ですから」

 銀色の髪に真っ赤になった顔を隠しながら、大丈夫という。でも、心配だ。彼女の手を握り廊下に連れ出す。

 「あ、あう……」

 それに、敗戦クラスとの交渉だ。神崎さんが見たら、それこそ罪悪感で潰れてしまいかねない。

 

 

 Side 雄二

 「おい、坂本。そろそろこちらの要求を話そうじゃないか」

 後ろから聞きなれた声が聞こえた。

 「それもそうだな……では、こちらの要求を言おう」

 見た所、Dクラスの面々はこれから要求されることになる内容に戦々恐々としていた。

 「紀伊國、言ってくれ」

 「解った……が、その前に一つ。最初に考えた戦後要求に変更点を加えたい。いいか?」

 「それはいいが……何か問題でもあったか?」

 最初に考えた要求はこのような内容だった。

 『Dクラスは三か月間の間、試召戦争を仕掛ける権利を放棄。その際、教室の変更は行わない。ただし、その見返りとしてBクラス戦ではFクラスに協力する』という内容だった。……余談だが、「協力」という曖昧な表現を考えたのは友康だ。恐らく、こいつは協力と称して教室交換よりえげつない交換条件を呑ませるつもりだったのだろう。

 しかし、そんな人の弱みに付け込むことが出来る条件から何を変更するつもりだ?何か問題があったのかと、気になってアイコンタクトで訊いてみたが、「嬉しい誤算があった」とだけ返してきただけだった。

 「では、発表しよう。『通常の試召戦争のルールに則り、教室の交換と三か月の試召戦争の禁止』」

 教室変更という内容が耳に入った瞬間、Dクラスの連中に絶望の色が広がった。が、ここからが、彼らにとって最悪の展開だった。

 「ここまでが、勝利したクラスとしての要求だ。では次に『盗聴被害を受けたクラス』としての要求を発表する」

 Dクラスの連中は勿論、俺や普段ポーカーフェイスを崩さない秀吉すらあんぐり口を開けている。それはそうだろう。普通なら最初の要求で溜飲を下げる筈なのだから。

 「一人一人、この書類にハンコを押してくれ。ああ、勿論血判でな」

 そう言うと、紀伊國は書類の山を取り出した。

 「書類の内容は何だ?」

 代表の平賀が、書類を受け取りながら内容を確認して、絶句した。

 「な、なんだ、この内容は!?」

 「お、おい紀伊國!一体……」

 俺も慌てて書類の一枚を奪い取って見た。そこには

 「大したことは書いて無いさ。ただの自白文章だよ。『私たちはFクラスを盗聴していました』というだけの。因みに印を押さないという選択肢は無い」

 言外の意味するところは、押さなければ教師に告白するという所だろうか。ばれれば即停学のペナルティが課せられる。それを文章と言う形にして残せというのだ。残酷極まりない。

 「それか、こっちの契約書か」

 そう言うと、紀伊國は懐から一枚の紙を取り出した。内容は『今後の試召戦争で、Dクラスは一貫してFクラスを支援する』という内容だった。

 「どっちの内容にサインする?平賀『代表』」

 「そ、そっちだ。俺達はFクラスを支援する!だから……」

 「契約成立だな。調印は教師の立ち合いの下行う。明日の朝にまたFクラスに来い。設備の入れ替えもその後で構わない」

 至極残念そうに、でもニヤリと悪魔のように笑った紀伊國を俺は見逃さなかった。

 え、えげつねえな、こいつ。最初に理不尽な要求を突き付けてその後に……しかも、最初考えていた内容より、より拘束度が高い。

 「つくづく、お前が味方で助かったぞ……」

 汗を拭いながら、友康の肩を叩く。

 「こっちのセリフだ。盗聴にいち早く気が付くとはな」

 なんにせよ、これでDクラス戦は終わりだ。

 「打ち上げにラーメンでも食いに行くか?今回はFクラス代表として奢るぞ?」

 久しぶりに明久達と飯を食いに行くのも悪くない。労うという意味も兼ねて。

 「ほう、いつになく太っ腹じゃな」

 「……感謝。今度何か写真を無料でやろう」

 昔なじみの連中は一瞬で食いついてきた。ところが、友康は気まずそうな顔をして断った。

 「いや、その、なんだ。早く帰らないと妹が……」

 「そうか……残念だが仕方ないか。今回の立役者が居ないというのはつまらないが……そういや明久の奴は何処だ?」

 アイツなら真っ先に食いつく筈なんだが……

 「ああ。明久なら現在神崎と校内デート中だ」

 「なんと!奥手な明久にしては大胆じゃな」

 「……羨まけしからん。だが祝福する」

 「神崎とか。そりゃ隅に置けない、な……?」

 なんだ?本来なら友人の幸せを祝福してやるべきなのだろう。だが、さっきから頭の中で警鐘が止まない。さっきから何か忘れている様な気がする?デート?神崎……島田!

 「まずい!秀吉、ムッツリーニ、友康、急いで二人を探し出せ!明久が、危ない!」

 




次回、まあ大方の予想通りな内容になります。多分期待して貰って大丈夫です。ベストを尽くしますから(笑)
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