「やあ…セレナお久しぶり、元気だった?」
陽気そうな感じでサトシは話し出す。
「私はちょっと怪我をしちゃって…今は病院にいるの。サトシは元気そうね」
苦笑いしながらセレナは答える。
「えぇー!病院にいるの?そう言えば頭に包帯してる。大丈夫なの?」
「しばらくは旅が出来ない見たい…」
「そっか…残念だね」
「ところでサトシ…何か少し雰囲気変わったね」
「え…そうかな?あんまり気にして無かったけどね…」
「こう…何か、子供っぽくなったって言うか…」
「オレ、子供だけど」
「ハハ…そうだね」
セレナは苦笑いしながら言う。
「で…これからはどうするの?」
「アサメタウンのに戻って、しばらく療養するわ。今の私は自分で歩く事も出来ない状態なの…」
「えぇ、そんなに酷い怪我なの⁈」
「リハビリすれば良くなるけど…まだ始めてなくて、さっきもベッドから離れようとしたら…身体が動かなくて落ちちゃったしね」
「それは大変だ、無理しちゃダメだよ。ところで…オレ、そっちに行ってもいいかな?」
「え…?」
「オレもアサメタウンに行く。空港で言いそびれた事を伝えたいし…久しぶりにセレナに会いたいんだ」
「サトシ、でも…ポケモンマスター目指す旅は?」
「一緒に旅した仲間が大変なんだ、放って置けないだろ?ポケモンマスターよりもセレナが元気になるのが大事だと思うけど」
「ありがとうサトシ…」
セレナは頰を赤く染めながら、目に涙を浮かべた。
「じゃあ…カロス地方に行く時に連絡してくれ。オレ、待ってるから」
「うん」
2人の会話は終えて、セレナは真っ黒なモニターを見続けていた。
サトシとの会話が終えて、しばらくしてカツヤが再び室内に入って来た。
「プラターヌ博士と話をして来たよ。後日、君をカロスまで送って行く人達をこちらに派遣すると言っていた」
「分かりました。色々とありがとうございます」
セレナはカツヤの前で初めて笑顔を見せた。
変に意地を張っていた少女が突然素直になった事にカツヤは少し驚いていた。自分の知らない間に彼女の心を動かす何かがあったのだと悟った。
数日後セレナは大型の輸送車にストレッチャーに乗せられて、ホウエン地方の空港からカロス行きの特別旅客機でミアレ空港まで戻る事になった。
飛行機の窓から外の景色を眺めながら、セレナはバッグを大事に抱えていた。バッグの中には自分にとって大切なポケモン達がモンスターボールに入っていた…。
「あなた達のおかげで私は今生きている、とても感謝しているわ…」
窓の外、眼下に広がる真っ白な雲を眺めながらセレナは囁いた。
〜カロス地方・アサメタウン
ミアレシティから真っ直ぐに南へと進んだ場所にある小さな町アサメタウン。町の入口には中世時代に作られたレンガ状の大きな門が建てられていた。かつては関所としての役割を行っていた場所であったが…今は、町の入口として保存されている。
門から中央の広場までは石畳みの道が連なっていて、途中の小川には石を積み重ねて作られたアーチ状の橋があった。
町は田畑や稲作が見渡す限り広がり、小さな家が点々と建っていて、町全体を取り囲む様に森が広がっていた。
人口1000人弱の小さな町の一角にセレナと母サキが住む家があった。
サキは夫と結婚した時に、この家に引っ越して来たのだった。以後…サキはこの家で幼い我が子と2人で暮らしていた。
数日前…プラターヌ博士からセレナの事を聞き、近所の人達に協力してもらい、今まで2階にあったセレナの部屋を1階へと移し、我が子の帰りを待ち、セレナが帰って来ると我が子を必死に抱きしめた。
〜数日後の朝…
サキは何時ものように2人分朝食を作っていた。窓には家で飼っているヤヤコマがいた。
時計の針を見たサキが少し溜め息を吐く。ヤヤコマは出番はまだ…かと待機している状態でもあった…。
サキは僅かに微笑みヤヤコマの頭を撫でる。
「今日は、私が起こしにいくわ」
そう言ってサキはセレナの寝室を軽くノックしてから部屋のドアを開ける。
「セレナ起きなさい。今日は約束の日でしょ?」
そう言って中に入るとセレナは既に起きていてリクライニングベッドから半身起き上がらせていた。
「大丈夫よママ、直ぐに行くわ」
それを聞いたサキは微笑み
「車椅子に乗れる?手伝うわよ」
「1人でやって見るよ」
「そう…分かったわ」
そう言ってサキは部屋を出た。居間へ戻ると玄関のチャイムの音が聞こえた。