ポケットモンスターoriginal   作:Mr,J

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最終話

玄関を開けると、2人の男女の姿があった。

 

「あら…こんにちは。マノンちゃんとバロンさんでしたっけ…?」

 

「アランです」

 

アランは笑いながら答える。

 

「ねえ、セレナのママ…セレナは起きている?」

 

「ええ…今着替えをしているかもしれないわ」

 

「じゃあ…私、着替えを手伝って来るね」

 

マノンはそう言って奥の部屋へと向かうが、途中何もない場所で転んで愛想笑いしながら再び走り出す。

 

「何もしない方が1番良いのだが…」

アランは溜め息を吐きながら言う。

 

マノンが部屋に入った事で奥の部屋に笑い声交じりの話声が響き渡る。

 

小1時間近くして、ようやく車椅子に乗ったセレナがマノンに押されて出て来た。

 

「あんた等時間掛かり過ぎよ…」

 

「え…そんなに掛かった?」

 

「とりあえずセレナ…食事をして、支度をしなさい」

 

「はあい」

 

「良かったらマノンちゃんと、バ…アランさんもいかが?」

バと言った瞬間、アランの鋭い眼光に気付いたサキは直ぐに名前を言い直した。

 

「せっかくなので、食事を呼ばれようかマノン」

 

「そうだね」

 

そう言って4人は食事をした。食事が終えたセレナは髪を梳かして身支度を整える。華やかな衣装に身を包み、胸の上に青いリボンを付けた。

 

「前から思ってたけど…その青いリボンは何処で手に入れたの?」

 

マノンが何気無く聞いて来た。

 

「これは…大切な人から頂いたの」

 

そう言ってセレナは青いリボンに手を当てる。

不思議そうな表情をしてマノンは見ていた。

 

「そろそろ時間だから行きましょうか?」

 

「アランはどうするの?」

 

「オレは家にいるよ」

 

「分かったわ、じゃあ行って来るね」

 

セレナはマノンに車椅子を押されて家を出て行く。

2人は家の近くにある大きなクスの木がある丘の上に行く。

 

「ねえ…セレナ、本当にここで待っていて大丈夫なの?」

 

「私との待ち合わせ場所は、ここってサトシにも伝えてあるから大丈夫よ」

 

2人はしばらく無言の状態が続いた。少ししてセレナが「あッ!」と、声を上げた。

マノンが、それに気付いてセレナが見ている方に目を向けると、人影と小さな動物の影が見えた。それは次第に大きくなり、遠くで「おーい」と声が聞こえる。

 

息を切らしながら走って来る少年にセレナは嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「サトシ…!」

 

セレナは頑張って立ち上がり、フラつく足取りでサトシに向かって歩もうとするが…足が言う事を聞かず倒れそうになる。その時サトシがセレナの側に来て倒れるセレナを抱き抱える。

 

「無茶しちゃダメだよセレナ」

 

「ゴメンね、つい…張り切っちゃった」

 

「セレナ実はオレ…」

 

セレナを抱えながらサトシは真顔で言う。

 

「ハイ」

 

頰を赤くしながら真剣な眼差しでセレナはサトシを見つめる。

ピューッと春の風が吹き、2人の言葉は 少し離れた場所にいるマノンの所までは聞こえなかった。

だが…少ししてセレナが嬉し涙を流しながら何度も「ありがとう」と繰り返し言っている様子を見て何があったかは予想が付いた。

 

 

「貴方は行かなくて良かったの?」

 

家に残ったアランに紅茶を入れたサキは言う。

 

「サトシ君は、いずれ家に来るのでしょ?でしたら、こちらにいても、いずれは会えるので…」

 

「まあ…そうだけど…」

 

「彼が、しばらくの間…この家で暮らすと聞いて驚きましたよ。あんなにポケモンマスターになる事を夢見てた少年を、彼女と暮らす事に決めさせるのに一体どんな魔法を使ったんだ?…ってね」

 

「本当…世の中、何がどう転がるのか分からないわね」

 

「などと言いながら、既に色々準備しているみたいでは無いですか、2階のセレナのいた部屋を片付けて、サトシの部屋にするみたいで、近いうちに彼の母親さんも来るらしいですね」

 

「知ってたの?」

 

サキは苦笑いしながら答える。

 

「ちょっと聞いただけです」

 

「ただ…不安なのは、セレナの身体の方ね…」

 

「しばらくは車椅子の生活をする事になるでしょう」

 

「例え歩けたとしても、以前のようなパフォーマーが出来るかどうか…」

 

「それは本人次第の努力ですね。多分…時間は掛かると思いますが…」

 

 

ピカチュウとハリマロンの『ハリさん』と一緒に遊んでいたマノンは木の木陰でくつろぐ2人を見て

「何だか、あの2人まるで夫婦見たいだね」

 

と、ピカチュウ達に向かって呟く。

 

セレナとサトシは木を背もたれにして眠っていた。

2人の手はしっかりと握って離さなかった。

 

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