宇宙、そしてその惑星Ziの周囲には、無数の浮遊衛星、ジャッジサテライトが浮かび上がる。
「R-01地点にて、バトル申請あり」
「ジャッジカプセル、投下!」
その衛星から、ジャッジカプセルと呼ばれるものが、バトル地点に投下される。
その一方、白と青を基調とするカタツムリ型ゾイド、ホバーカーゴは、砂漠の中をゆったりと進んでいる。
スティーブ・トロス(トロス)「よし、バトル地点に着いた、みんな、頑張ってきてくれ」
ビット・クラウド(ビット)「わかったぜ博士」
リノン・トロス(リノン)「りょーかい!」
バラッド・ハンター(バラッド)「了解した」
黒いボディーに金色のアクセントが入ったキツネ型ゾイド、シャドーフォックス。その影を纏う狐は、バトルフィールドへ向かうためのカタパルトに足を踏み入れる。
バラッド「バラッド、シャドーフォックス、出る!」
吠えるシャドーフォックスが、電磁カタパルトから射出され、バトルフィールドへと飛び出す。
次に飛び出すのは、左右にガトリング、ミサイルなどがついた、ガンスナイパー。リノンスペシャルだ。
リノン「リノン、ガンスナイパー、行くわよ!」
シャドーフォックス同様のパターンで、飛び出すと、その重さに耐えようとするのか、かかとで地を掻き、着地する。
そのころ、白いライオン型ゾイド、ライガーゼロは、ホバーカーゴのセッティングデッキにいた。
ビットはライガーゼロの操縦桿を左右対称に90度捻り、引っ張る。
アーマーが次々と剥がされるライガーゼロ。そしてタイプゼロのアーマーは、クローゼットの中に片付けられた。
ビット「ライガー、インストレーションシステムコール、イェーガー!」
操縦桿をはがす前の状態に戻したビット。ホバーカーゴでは、イエーガーユニットを用意する。
ハッチが開かれると、紺色のパーツたちがぎっしりと詰まっていた。
ライガーは嫌うことなく、装着を許す。
背中の大型イオンブースター、タイプゼロよりもより軽装な見た目が、イエーガーの特徴なのである。
「ライガーゼロ・イエーガー、CASコンプリ―テッド!」
ビット「ゴ―!イエーガー!」
ライガーゼロイエーガーが、獅子の雄叫びを上げ、バトルフィールドへ飛び込む。
リノン、バラッドに若干の遅れをとったものの、二人の間に割り込むように入っている。
ジャッジカプセルが、落ちてきたその場所から這い上がると、カプセルの蓋が開く。そこには、赤と青の手、まるで人型のような白いロボットが立っていた。
ジャッジマン「この地点より、半径5㎞以内は、ゾイドバトルのバトルフィールドとなります。競技者および、その関係者以外は、立ち入り禁止区域です。危険なので、直ちに退去してください。」
対戦相手を見て、ビット、リノン、バラッドは余裕そうな顔を浮かべる。
ビット「今回はそんなに苦戦はしなさそうだな」
バラッド「そうだな、楽勝かもな」
リノン「さて、Sクラスの実力、見せてやろうじゃない!」
目の前には、赤いトラ型ゾイド、セイバータイガー1機、ゴジュラスMk-Ⅱ1機、コマンドウルフが1機。
「フィールド内、スキャン終了、バトルフィールド、セットアップ!チーム・ブリッツ、バーサス、チーム・アイアン、バトルモード0982、レディー・ファイト!」
バトルのゴングが上がった。
リノン「ビット、セイバータイガーはそっちに任せるわ」
ビット「任しとけって!」
バラッド「コマンドウルフはこっちが相手する、俺達が2体を撃破したらそっちに向かう、時間稼ぎは任せたぜ」
リノン「わかったわ」
ビット「よし、それじゃ行くぜ!」
チーム・アイアンのウォーリアーA「クソッ!ライガーゼロの相手を俺がするなんてな…!」
むやみなビームの弾幕を貼るセイバータイガー。しかしイェーガーは、その射撃を水澄ましのように躱していく。
ビット「ストライクレーザークロ―!」ライガーの金色の爪が、タイガーの脚部をもぎ取る。
チーム・アイアンのウォーリアーB「しまった、タイガーがやられたか!」通信を見ている隙にも、すでにバラッドはAZ30mm徹甲レーザーバルカンをコマンドウルフの背部に狙いを定めていた。
バラッド「甘いぜ!」トリガーを引き、その一発を確実に、背部に当てている。コマンドウルフはうつ伏せになり倒れた。
チーム・アイアンのウォーリアーB「くそ、やられたか!」
リノン「ヴィーゼルユニット、フルバーストぉぉぉぉ!」全火器類を放射し、ゴジュラスに当てる。しかし…
チーム・アイアンのウォーリアーC「そんな攻撃がこのゴジュラスに通用するもんかよ!食らいやがれ!」
ゴジュラスMk-Ⅱは長距離用キャノンで応戦。ガンスナイパーに狙いを定める。
チーム・アイアンのウォーリアーC「こいつで!」
リノン「きゃあッ!」キャノンの砲弾が、ガンスナイパーの周りに当たる。
ビット、バラッド「リノン!」
真っ先にタイガーを撃破したビット、ライガーが駆けつける。
ビット「大丈夫か!」
リノン「平気よ、ありがとう」
ビット「へへっ」
コマンドウルフを撃破したバラッドも駆け付け、ゴジュラス退治にかかる。
バラッド「ビット、今のうちにシュナイダーに換装しておけ!」
ビット「けど、リノンは半分撃ち尽くしてるんだぞ!?」
バラッド「俺が時間を作る、シュナイダーに換装して、ゴジュラスの重装甲を…」
とその時
トロス「いや、ゴジュラスは動きが鈍重だ、イェーガーのスピードでかき回すこともできる!」
トロス博士の通信が入った。
「バラッドは弾幕を張って、少しでもいいからダメージを与えるんだ!」
バラッド「そうか、その手もあるか!」
ビット「よし、やってみるぜバラッド!」
ライガーは走り出した。
バラッド「全く、しょうがねぇヤツだ」チームメイトの性格を知ったうえで、少し呆れてバラッドは言う。バルカンを連射し始めた。
チーム・アイアンのウォーリアーC「くそ、ライガーはどこに…!」
探すことに精いっぱいのゴジュラスの背後…!
「ストライクレーザークロォォォォ!」ライガーの雄叫びと共に、輝いた爪が、ゴジュラスのキャノンの左、脚部をもぎ取った!
ゴジュラスは左に倒れ、出番を終えた。
ジャッジマン「バトル・オールオーバー!ウィナー、チーム・ブリッツ!」ジャッジマンの青い手が上がった。
ビット「やったぁぁ!」
その声に応えるように、ライガーは吠えた。
ガオォォォォォ!
地球
とあるサーキットでは、ジムカーナイベントが行われていた。
その中でも、一際目立って速いタイムを出した、白のDC2型ホンダ・インテグラタイプR。
そのクルマから降りた、一人の青年、枝松豆太郎である。
優勝し、表彰イベントを終えたのち、自宅に戻ると、インテを車庫に停め、瞬間移動する。
惑星Ziへと瞬間移動した彼は、双眼鏡を持って何かを探し始めた。
豆太郎「よーし!今日も白くてかっこいいアイツを探すぞー!」
森の中を彷徨って、野良ゾイドたちを見かけても気にはしない。
段々と森の中が真っ暗となり、豆太郎はテントを作って休むこととした。
地球から持ってきたカップラーメン、箸を手に、夕食をとった。
それからして数分後のことである。
突然、豆太郎のテントの周りで、何かが歩いている金属音が鳴り響き、彼の感覚では地震が起きているようだった。
豆太郎「何なんだよ…」テントを開けると、2体のセイバータイガーが、恐ろしい眼光で彼を見つめていた。
豆太郎はあまりの恐怖に、笑い、おびえることしかできず…そして…
「うわぁぁぁぁ!」逃げた豆太郎。
容赦なしにセイバータイガーは追いかける。幸い、人間であることを理解していたようで、射撃武器は一切使用してこなかった。
森の茂みに隠れた豆太郎。しかし、タイガーの雄叫びにまたも逃げる豆太郎。
「くそぉ!なんでこうなるんだよ!」
懐中電灯を幸いつけていたが、それでも暗い道なため、いつ何があるか分からぬ状況だった。
木の根に足を躓かせた豆太郎。大きく転び、うつ伏せに倒れた。
タイガーが追いつき、吠える。
絶体絶命の危機に追い込まれた豆太郎。その時。
<ガオォォォォォ!>
ライオンの雄叫びが、森全体に響いた。
豆太郎はあたりを見回した。彼の背後には、金色の爪しか見えなかったものの、上を見れば、真っ白にまとわれたボディーが、そこにはあった。
豆太郎「今度はなんだよ!?」
謎の砲弾がセイバータイガーたちをひるませた。豆太郎は唖然とすることしかできなかった。
低く唸りながら、白いライオンゾイドが豆太郎に顔を近づけた。
<グルルルル…>どうやらそのライオンは、彼を心配していたようだ。
豆太郎「すまない…え?」その姿を見たとき、ぴんと浮かんだ名前が、一つだけあった。
豆太郎「ライガー…ゼロ…なのか…?」
<ガオォォォ!>うれしそうにライガーは吠えた。
豆太郎は表情を変えた…そう、彼が探していた、「白くてかっこいいアイツ」とは、ライガーゼロのことだったのだ。
豆太郎「ライガーゼロ…憧れの…ライガーゼロ…!」喜びをあらわにした彼。しかしタイガーがまた立ち上がる。ライガーゼロはまるで、乗って、とばかりにコックピットのハッチを開けた。
豆太郎「…わかった、そんじゃ、お言葉に甘えて!」
ライガーゼロに乗り込む豆太郎。ハッチが閉まると、操縦桿を握り、緊張が高まる。
豆太郎「頼むぜ、ライガーゼロ!」
<ガオォォォォォ!>
豆太郎はスロットルを踏み込み、白き新獣王の速度を最大限に高める。
タイガーの上を飛んで、ショックカノンをタイガー2体に当てる。
豆太郎は今とばかりに逃げをはかる。しかし、タイガーたちはそうも許してはくれない。容赦なくビーム砲を当てようとする。
豆太郎は後ろを見てライガーゼロの体を左右に動かす。
森を抜け、平地が見えた。が、タイガーは追いかけている。
豆太郎「なんで追いかけられるんだよ!どうにかしてくれー!」
するとライガーは、ターンし、モニターに武器を表示する。
豆太郎「ストライクレーザークロ―…」言い終えたのち、余裕を浮かべた彼。
「よし、決めるぞライガー!」
<ガオォォォォォ!>吠えたのちに走り出す。タイガーはライガ―目がけて走り出す。
ライガーの頬が展開され、前足が白熱し、爪が黄金色に染まる。
豆太郎「ストライクレーザークロ――――――!」思いきり叫んだ。セイバータイガー2体のうち一体の右前脚をもぎ取り、大破させる。
残りのタイガーは、ライガーゼロの力に驚いたか、森に帰っていった。
コックピットを降りる豆太郎。
「ありがとうなライガーゼロ、また会おうぜ」するとライガーはまた低く唸って、顔を青年に近づけた。この時、豆太郎はライガーの感情を察していた。
「…寂しいのか?」
<グルルルル…>ゼロは首を縦に振り、低く唸っていた。
「そっか…お前も、仲間が欲しかったんだな…」
豆太郎は徐々に、ライガーの感情を察していく。
「それじゃあ、相棒になってやってもいいぜ?この際。」豆太郎がこの言葉を発した時、
<ガオォォォォォ!>またも嬉しそうに、ライガーは吠えた。
「そうか…俺も、お前のこと、ずっと探してたんだよ。」豆太郎のそれを聞いて、ライガーはさらに顔を近づける。
「"運命だね"ってか…きっとそうかもな。」豆太郎はもう一度ライガーに乗り込もうとする。
「よぉし、また頼むぜライガ―!」すると…
<グルルルル…>低く唸った。
「…ライガ―って呼ばれると面白みがないって?…変わったやつだな…」豆太郎は少し戸惑った。
「じゃあちょっとダサいけど、マメ号ってどうだ?」
<ガオォォォォォ!>嬉しそうに、ライガーゼロは吠えた。
「へへ、決定だな!」こんどこそ、豆太郎は、マメ号に乗り込む。
もう一度ライガーに乗り込み、走り出す。
「よーし、今日からよろしくな!マメ号!」
<ガオォォォォォ!>
彼とマメ号ゼロの物語は、ここから始まる…