ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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第12話 フニクリ・フニクラ①

揺れ動く列車の中、新聞を読む男が2人いた

 

「今日のラ・スタンパによると大統領は経済困難に対して全面的に取り組むだとよ」

 

「今日のラ・レプッブリカは外相の非難ばっかり、つまんね」

 

どちらの新聞もイタリアで大きな影響を与えるマスメディアだ

ペリーコロからの指示があったボニートとホル・ホースは難なくイタリア国鉄に乗る事が出来た

 

「お客様、乗車券のご確認を…」

 

「「はいよ」」

 

「オーレ様とエドワード様ですね。この度はイタリア国鉄をご利用いただきありがとうございます。それでは良い旅を」

 

駅員は連結部分のドアを開け次の車両へと進んでいった

ホル・ホースは新聞を机に置き、ボニートへと詰め寄った

 

「ボニート」

 

「うん?どうした?」

 

「ブチャラティって奴はどこにいるんだよ」

 

彼らが今直面している危機

それはブチャラティを見つける事が出来なかったという事だ

駅に行ったは良いものの、人混みが多く流れるようにして乗車してしまったのだ

彼らにせめてもの希望があると言うのなら、それはブチャラティのチームは必ずこの列車に、16:35分発の列車に乗るという事をペリーコロが言ったぐらいだ

 

「何そんなに焦ってんだよ、折角タダでスイートクラスに座れてんだから満喫しろよ」

 

「あいにくだがな、今までスイートクラスなんぞとか言うのは座り慣れててな。今じゃエコノミーに憧れを抱いてるほうさ、ってそんなことじゃねぇ!俺が言いたいのは任務不履行で俺まで粛清の手が伸びかねないかも知れないだろうが!」

 

「安心しろ、任務不履行の場合は処理されんのは当事者だけだ」

 

「何だ当事者だけか………ん?当事者?」

 

「うん、当事者」

 

「お前、当事者?」

 

「うん、当事者」

 

「俺は?」

 

「うん、当事者」

 

「当事者は?」

 

「処理される」

 

「ふざけんな!」

 

ホル・ホースは自ら放った怒号とともに新聞を投げつけた

ボニートは避けようと体を反らしたが、バランスを崩してしまい椅子から転げ落ちてしまう

それにつられて簡易テーブルに置いてあったアイスコーヒーを頭からかぶってしまう

 

「まぁまぁ、そう怒るなって。ヴェネツィアまでに連中を見つけりゃ問題にはならんさ」

 

「ちきしょ~、俺が死んだら世の女どもが涙うるうるの……」

 

「ふん、だから女にかまけるのは程々にしとけって言っただろうが」

 

「うるせぇ!場末の娼婦しか抱いた事の無ェお前が知ったような口をきくな!あぁ~、ドイツ軍の女性副隊長との禁断の恋がぁ~、イングランドの貴族に仕えるメイドとのラブロマンスがぁ~」

 

「後で聞いてやるから、ほれ探しに行くぞ」

 

意気消沈しているホル・ホースを引きずりながら次の車両へと向かう

彼らがいるのは最後尾の6車両目

向かう先は1車両目だ

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

「マスター、ストレガを1杯。昼だから少なめにロックで」

 

「俺はアルマニャック……いや、グラッパを頼む、ロックで」

 

結局見つからなかった

6車両目から虱潰しに客席を見合っていたのだが、ブチャラティと同じ風貌を持つ者は一人としていなかったのだ

とりあえずいったん落ち着こうと2人は食堂車のカウンターで話し合う事にした

 

「おい、どういう事だ?どこの車両に行ってもブチャラティって奴はいねぇじゃねぇか」

 

「それはこっちが聞きてェよ」

 

2人はある意味では安心していた

少なくとも自分達は処理される事は無いだろうと思っているからだ

ペリーコロの指示16:35発の電車に自分達は確実に乗った

なのに、目的であるブチャラティがいないという事はブチャラティ達が何らかの理由で電車に乗り遅れた、あるいは電車から降りてしまったとボニートは考えていた

だが、そこにもう一つ疑念が生じる

ポルポの試験を生き残ったあのブチャラティが失敗するとは考えようもないのだ

 

「ストレガとグラッパです」

 

「あーりがっとさん」

 

何も解決しないまま酒を飲むのはボニートにとっては嫌なものだ

相棒であるホル・ホースはそんな事お構いなし

イタリア特産蒸留酒のグラッパを悠々と飲んでいる

 

「うんまい!やっぱ本場のグラッパは最高の味だぁ!」

 

「ラキヤと変わんねぇと思うが………?」

 

ボニートはある違和感を感じ取った

さっきまであったものがいきなり無くなったような感じだ

ホル・ホースも酒こそ飲んでいるもその違和感に気付いたのか、右手をカウンター下に忍ばせている

 

「マスター、支払いを……!?」

 

違和感の正体はマスターだった

さっきまでそこにいたのにいつのまにか食堂車から姿を消している

疑問に思ったボニートはカウンターから身を乗り出し、辺りを探す

 

「マスター?」

 

「お、お~~きゃ~~くぅぅぅ様ぁぁぁ~~~~」

 

カウンターの下にマスターはいた

しかし、それは先ほどのマスターとは言い難かった

腰は低く歯はほぼ抜けており、皺が顔のあちこちに出来ている

 

「マスター!?ホ、ホル・ホース!これを見ろ!」

 

「い、いや、見るのはお前のほうだぜ……ボニート。マスターもひどいんだろうが、これも………ひでぇ」

 

「なんだと?」

 

ボニートが振り返る

ホル・ホースの視線にあったもの

それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはッ!?この食堂車にいる人間すべて『老化』しているッ!」

 

「それも誰それ構わずだ。こりゃ性質が悪いぜ」

 




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