ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜 作:京都府南部民
「あぶっふぁあ!」
投げに投げ飛ばされた場所はピアノーザ島
その昔はマフィアの重役・幹部の流刑地として良くも悪くも盛んだった島だ
1998年の閉鎖以来、島はめっきりとおとなしくなってしまった
だが、近年では受刑者達に「社会更生プログラム」という形で、ホテルの従業員だったりして島の発展に努めている
「おー、イテテ。飛ばしすぎたかなぁ?」
だが、ボニートはプログラムを受けるために来たのではない
ペッシと戦うためにここに来たのだ
「へっへっへ、流石のやつもここまで離れちゃ、どうともできんだろうな」
首筋を触り、釣り針がなくなったことを確認する
糸さし指を舐め、空に向けた
風速4.5mの向い風
灯台に掲げられたイタリア国旗は悠々と広げられている
「じゃあ、どーれ」
小岩を軽くつかみ、狙いを定める
目指すはイタリア国鉄フィレンツェ行き超特急付近
「手始めに………アンダースロー」
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「ちきしょー、小僧め!」
「ふん!」
ボニートがいなくなったとしても戦いは続いていた
『この戦いに手を出すな』
ホル・ホースは相棒の言葉を守り、ペッシと戦っているがお構いなしと言わんばかりに釣り針が襲ってくる
交わし続けながら『皇帝』を使い、釣り針を弾き返しているがこれでは埒が明かない
「おい!ボニートは幾ばくか認めたみてぇだが、オレから見りゃてめぇなんぞまだまだガキだぜ!」
「ヘッ!だったら少しは反撃してみろ!」
「やってほしいのか?」
弾がペッシの頬を掠める
頬から流れ出る血に目を見開き、咄嗟に岩に隠れるもホル・ホースの銃口が動くことはない
『皇帝』はホル・ホースの意志で自由に弾道を変えることができる
岩ぐらいの障害物などものともしないだろう
しかし、もう撃つことはない
彼はこの戦いに手を出す気はさらさらないのだ
「自慢の釣り針はどうした!落ち込みはここだぜ!」
暗黒街で名をはせているホル・ホースにもメンツというものがある
ただ手を出さないというのは腑に落ちないのだろう
いくらボニートの釘打ちがあったとしても、せめて挑発の一言二言は言わないと気が済まない
「うるせぇ!今に見てろカウボーイ!」
挑発にペッシは答えるも、動く気配はない
頬を掠めたのが効いたようだ
「チッ、膠着状態ってか」
膠着状態
ボニートの言葉に従う状況なら、これほどありがたいことはない
本当ならこの状況はすぐに打破できる
いや、それどころかボニートがいなくとも1人でペッシを撃ち破る自信はある
「(だが、それじゃダメなんだよ。奴を、そんな……安っぽい野郎にするワケにゃ)」
ホル・ホースはあの時、『手を出すな』という言葉に疑問を投げかけた
しかし、当のボニートはそれに対し即答
了解の返事も頷きもしなかったが、だからこそ信頼したのだろう
『手を出すな』という言葉を
「(いかねーんだよ)」
動き出したのはホル・ホース
ペッシはその瞬間を見逃さなかった
「かかったな!」
一歩踏み出したその瞬間、ホル・ホースの脚に痛みが走った
釣り針はすでに腹部に到達している
「どっちに出るか迷ってたが、大当たりだ!」
『ビーチボーイ』の釣り針はどこかに引っかけることができ、それを餌として触ったものの体に侵入することができる
ペッシが餌としたのは、ホル・ホースの右足の下にある小石
流石のホル・ホースもそこまで目が行き届かなかったのだろう
届いていたとしても注意していたかどうかは別だが
「もう一人のボニートって野郎は、逃げちまったみてぇだが……ホル・ホース!覚悟してもらうぜ!」
「…………………………」
釣り針が胸部に達したというのにホル・ホースは微動だにしていない
それどころかペッシをずっと見ているだけ
……『殺気』を無くして!
「おい、小僧。勘違いを3つ以上してるって自覚があんなら注意しろよ」
「?、どういうこった!」
「まず、だ。奴は逃げちゃいねぇ」
ホル・ホースの人差し指が空へ向けられる
「そして2つ。オレは覚悟なんかしねぇ」
「なんだと!?」
「よく見てみな、汗かいてるだろ?」
「?」
「分かんねーようなら説明してやる。プロが汗をかく時は何にも気にしちゃいねーってこった。分かったか?オレは汗をかいている」
『皇帝』を撃つとき
決まって彼は汗をかくことはない
かいていたとしても、クーラーの効いた部屋に入ったように汗が引く
その昔のクライアントにも、その精神を見抜かれた
ホル・ホースの中指が地平線を指す
「さらに3つ。オレは負けるほうには絶対つかない主義だ。そして今、オレはお前に対峙している」
「………………」
ホル・ホースの親指がどこという訳ではないがどこかを指す
「最後に4つ目」
ペッシが固唾をのみこむ
一体何を言うのだ、と
最後に何を言うのだ、と
「拳銃は釣竿よりも強し!」
「『ビーチ・ボーイ!』喰らいつけェェェェェェエエエ!」
胸部通過!
首部通過!
だが、ホル・ホースは汗を流す!動揺しているのは明らかだ!
それなのに………笑みを浮かべているッ!
「さぁ、小僧やってみな!あとちょっとだぜ!」
「なめるな!」
釣り針が脳に到達する……
が、その瞬間!
「ふぐぁ!がっ!ヴぁは!」
多数の小石がペッシの胸部頭部に雨あられと降り注ぐ
ペッシは何が起こったのかは理解できている
ペッシはなぜこうなったのか理解できていない
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アンダースロー・ストレート(外角低め)・カーブ・サイドスロー……知ってるやつは全部投げたが、はてさて何発当たったものか
誤字・脱字、おかしな表現がありましたら感想欄にてご報告ください。
6月12日、友人からホル・ホースの汗の表現がおかしいとのご指摘をいただき、書き直しました。