ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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第20話 お気の召すまま

結果としてみるならば、ボニートは無事に用を足すことができた

サービスエリアの店主から「客の迷惑になるから、奥の店員用トイレを使ってくれ」と言われたからだ

 

「気ン持ちよかったぁ~、すっきりしたぁ~」

 

それは何より

店から出たボニートは、真っ先に喫煙コーナーで佇んでいる相棒へと詰め寄った

 

「おっ、ボニート。やっと出てきたか」

 

「なァ~にがやっとだ。便意まで護衛しろと言った覚えは無ぇぞ」

 

「追加料金に含めとくぜ」

 

便意の護衛料は相場からして4000円ぐらいだろう

2人はブチャラティ一行が車を盗もうとしている現場へと出向いた

一歩踏み出したその瞬間、嗅覚が妙な刺激臭を感知した

匂いのもとは店の裏側

火柱だ

火柱が煌々と立ちあがっている

 

「火事か!?」

 

「いや、違う。………ありゃあ…」

 

火柱を背景にある人物が歩み寄ってきた

金髪に赤い服

ジョルノ・ジョバーナァだ

 

「暗殺チームか…」

 

「だろうな。もう終わったみたいだが……」

 

ボニートは急いで自動車を動かそうとしている一行に詰め寄った

 

「車は出せるか?」

 

「え?あ、はい。いつでも動かせますが……」

 

「だったら上出来だ。ジョルノが帰ってきたと同時にすぐに出せ。そろそろ客が出てくる頃合いだ」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

現在の状況をお伝えしよう

亀のなかにはブチャラティ、トリッシュ、アバッキオ、ナランチャ・ホル・ホース、ボニート

車に出ているのはジョルノ(運転係)、フーゴ、ミスタ

サービスエリアを出て4~5時間は経過した

もう、敵の尾行の気配は全くない

 

「場所は今このあたりだから…迂回せずに直進すると…確かこの道は整備中で通れないから……」

 

「なぁよ~、隣でブツブツ喋んのやめてくれねぇか?敵でもねぇのに、気がソッチに行っちまう」

 

「ん、そうか?」

 

ボニートは地図とにらめっこしていた

亀のなかは大体のものがそろっている

本棚には漫画が沢山あったが、その端っこにこの地図帳があった(しかも2002年調べ!)

ヴェネツィアへの最短ルートを調べるにはうってつけの代物だ

 

「ボスから新しい指令が来た。アバッキオ、ダイニングチェアーのそばに来てくれ」

 

ブチャラティの口から出た「ボス」の言葉

構成員ではないホル・ホースもその言葉に目を向けた

だが、何故かボニートは動かない

目はむけているようだが、ソファに深く腰掛けたままだ

 

「ムーディ・ブルースで10時間巻き戻せ?どういうことだブチャラティ?」

 

「分からない。文面からも何か裏があるとは思えない。とにかく巻き戻してくれ」

 

ムーディ・ブルースが変形しだした

身長は縮んでいき、大体140㎝ぐらいのところで落ち着いた

顔も構成される。皺の具合から見て初老の男性といったところだろう

その正体にいち早く気付いたのは、ソファで静観していたボニートであった

 

「ペリーコロさん……」

 

そう10時間前亀のなかにいたのはヌンツィオ・ペリーコロであった

イスの背もたれの上にトンと立ち、こちらを向いた

 

『君たちに最後の指令を伝える』

 

『このような形にしたのはありとあらゆる盗聴手段から防ぐためだ……トリッシュをボスに引き渡す方法なのでな』

 

『ヴェネツィアに着いた時、この写真にある彫刻の中のOA-DISCを手に入れよ!』

 

そこまで言うとペリーコロは写真をライターで燃やし始めた

証拠という証拠は一切残さないということだ

ナランチャが慌てるが、ブチャラティの指示によりムーディ・ブルースを一時停止

写真の場所は「国鉄サンタ・ルチア駅前」であることが判明した

 

『最も重要なのはトリッシュとボスを安全に、そして確実に会わせること!この任務で優先すべきはそれだけだ!』

 

『……それでは君たちの無事と任務遂行を心から祈ろう、わしは今までボスのおかげで充実した人生を送ることができた』

 

『証拠は何一つ残さない……わしという最後の証拠も、だ』

 

ペリーコロは懐から拳銃を取り出した

おもむろに自分に向ける

その表情に『覚悟』はない

あるのは『若者への期待』と『安心』の表情のみ

 

 

ガアァ~ン!

 

 

「ペリーコロさん……」

 

ブチャラティはペリーコロから何度かお世話になったことがある

ポルポの部下であったときには親身に相談してくれたり、家に泊めてもらうこともあった

その心中察するに余りあるだろう

 

「アバッキオ、ムーディ・ブルースを停めてくれ」

 

静々とした声がムーディ・ブルースの解除を静止した

ボニートの声だ

ゆるりと立ち上がり、のそりのそりとペリーコロの元へと近づく

ボニートもペリーコロに恩を感じる内の1人だ

ポルポの陰険悪質極まりない仕打ちから、よく庇ってくれたからだ

それだけではない

不審死した父と母の葬儀を最初から最後まで取り仕切ってくれた人物でもあり、捨てられたボニートをポルポに拾われるまで探してくれていたとの話もある

 

「………………………」

 

ボスのため、ひいては組織のために自ら死を選んだ

ヌンツィオ・ペリーコロ、『パッショーネ』の歴史にその名は深く刻まれるだろう

 

「ありがとよアバッキオ」

 

「……あぁ」

 

ムーディ・ブルースの解除された

もうペリーコロの姿を、恩師の姿を見ることはできないのだ

それに見ようものならペリーコロの遺志を踏みつけることになる

ペリーコロもまたボスと同じく、姿を探してはいけない人物になってしまった

 

「さて!ブチャラティ、辛気臭いのは野暮だ野暮。次の仕事について話し合おうぜ」

 

「そう…だな」

 

そうだ

ここで止まってしまう事を、ペリーコロは望んでいない

 






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