ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜   作:京都府南部民

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今回はあっさりと



第35話 真実の探求

「ん?ここは……」

 

薬品の匂い、真新しいシーツの感触

これらの条件が整っている施設と言えば病院しかない

 

「そうだ、俺は…あうっ!」

 

ベッドから降りようとしたその直後肩と腰に痛みが走る

何とか我慢して…いや、無理だな

ここは諦めてナースコールを使うしかないか

ブザーに手を伸ばすとノックの音がした

手間が省けた

 

「失礼しまーす。服の交換に…え?」

 

「えーあー、そのー」

 

ナースはこちらを凝視したまま固まってしまった

何だ?何か変な格好でもしてるか?

改めて自分の姿を見回すが別に変わりは無い。一般的な患者のスタイルだ

……隠すべきところもちゃんと履いている

 

「よ」

 

「せ、先生!3号室の患者さんが意識を!意識を取り戻されました!先生!」

 

目の前に機材を置いたまま、ナースは慌てて部屋を飛び出してしまった

まったくもって分からん

いや、俺が怪我をしているのは分かっている

うーん、それだけしか分からないな

 

「おい、ボニート!」

 

「ボニートざぁ~ん」

 

交代する形でホル・ホースとグーデンが入ってきた

泣きじゃくった顔でグーデンがベッドによって来る

 

「本当に大丈夫なんですか?怪我は?痛風は?中耳炎は?水疱瘡は?ヘルニアは?ポリープは?」

 

「そんなもん患った覚えは、ね!」

 

「ふげ!」

 

久しぶりの拳骨だ

もう一発…あてててて!

肩の傷口が開きやがった

 

「バカ、ヘタに動くと入院が長引くぞ」

 

「ホル・ホース……お前も怪我してたろ」

 

「なァに気にするな。お前の血をな?顔・服に塗ったくって優先的に集中治療を申請しただけさ」

 

「てめこのやろ!友達甲斐の無い奴だ」

 

そうは言うが、なぜか笑みがこぼれてしまう

理由は知っている、俺たちは勝ったんだ

結果コレ(入院)だから圧勝とは言い難いが、コレで済んだだけマシと思うか

2人が持ってきた土産からリンゴを一つ頬張る

 

「……で、ここは?」

 

「スピードワゴン財団が運営する病院さ。俺の特殊なコネでな、お前みたいな非合法的存在も人道の対象らしい」

 

非合法とは失敬な

今でこそこのザマだが、いずれはどこかの市民権を取得するつもりだぞ

 

「失礼するよ……おぉこれは本当に」

 

ナースに引っ張られる形で医者が入ってきた

こちらを見るなりナース同様驚愕に染まった顔をしている

…俺、やっぱりなんか変か?

 

「ふむ、血圧は正常。脈も落ち着いている…」

 

「先生、一体どうしたんだい?俺の体はそんなにやばいのか?」

 

「いや、そういう訳ではない。ただ、回復が見込みより少し早かったのでな」

 

「おぉ、そうか。こう見えても朝ごはんはパン2枚としっかり食ってるんでね」

 

「はっはは…うむ、とりあえず元気そうだ、ね?」

 

「2度も聞かねぇで下さいよ」

 

「いや、失敬。職務上の癖なんだ…それじゃ私はカルテを取りに行くから」

 

「行く前に聞きたいことがある。俺は何時退院できる?」

 

「見るところ君は高所得者の匂いがするから死ぬまでここにいて欲しいんだが……」

 

「冗談は抜きで」

 

「……見積もって3か月。ただし、安静に過ごした場合での話だよ。それじゃ」

 

3カ月か

ちと、長いな

個人的には1週間ぐらいの方が良かったんだが、プロが言ってるんだ

信用しよう

しかし、退院の期日よりももっと知りたいことがある

 

「ペリーコロはどうなった?」

 

部屋の雰囲気が瞬時に張り詰めたものになる

けが人の俺からすれば何とも言えぬ重圧を感じるから傷に痛みが増してくる

 

「グーデン、お前が言え」

 

「確実に見たわけではありませんが……ちゃんと仕留めれたと思います」

 

あの時(俺自身は気絶してたが)、ホル・ホースが人質にしていたパイロットの正体はグーデンドルフであった

先の戦いで何度か言われてきた『作戦』。内容はこうだ

まず、変装したグーデンをパイロットとして搭乗させハンドルを固定、コックピットに爆弾を仕掛ける

ただの爆弾じゃない。威力もまぁ強く、専門の知識が必要だが簡易的に作れるプラスチック爆弾だ。それをハンドルを動かした瞬間作動するようにセットし、後は離脱。ここからはあくまで推測だったがペリーコロは焦って飛行機の軌道を修正しようと試みるだろう。そしてドカン!

気絶していたのが惜しい。爆破シーンは是非見たかった

 

「思います、だと?」

 

「いえ、仕留めましたね。自分はスタンドは見えませんのでそこは何とも言えませんが…」

 

即答する辺り成長したモンだなと我ながら感銘に浸っている

 

「そうか、仕留めたか…仕留めた、フフフフフフフ」

 

「おー、ナースコールもっかい押そうか?」

 

最高の気分だ

勝った勝った勝った!

勝負に負けて試合に勝つとはこの事だ

そうさ、にやけ面はポルポさんの特権だ

だが、今ぐらいは良いだろう。俺にもにやけたいときがある

 

「ホル・ホース、ライター貸してくれ」

 

「すまん、この前撃ちぬいた」

 

「ジッポーをか?豪勢な奴だ」

 

「今になって後悔してるよ…マッチでどうだ?」

 

「古風だな、嫌いじゃない」

 

ベッドの台に置かれている…あいつの手紙をマッチに近づける

 

「お、おい!そりゃあアルバーノの…」

 

「良いんだよコレで」

 

手紙に火が引火する

綺麗だ

この24年間俺はこの手紙に縛られて生きてきた

分からんだろうなぁ、お前らには

俺はこんなちっぽけなものに縛られていたんだ

情けなくて腹が立つ

だが、見ろ。見ろ見ろぉ

ほら後ちょっとで燃え尽きる

ふふふふ、はははははは

 

「ホル・ホースさん、ボニートさんは……」

 

「ほっといてやれ、今コイツは楽しんでるんだ」

 

「これかぁ、これが真実か……あっけないなぁ」

 

手紙が灰になる

真実は灰か

何とも文学的じゃないか

 

「真実の探求……かっこいいコト言うなよ。ボニート・E・ゼルビーニ」

 






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