ジョジョの奇妙な冒険 第5部外伝〜真実への探求〜 作:京都府南部民
文才があるという人間ではありませんが、最終話までモチベーションを崩さず(書き貯めをして更新しなかった期間はありましたが)に書けたというのは感無量の気分でございます。ご愛読ありがとうございました。
~イタリア ナポリ・カポディキーノ空港~
『パッショーネ更生の道!?麻薬被害者のための施設に資金援助を確約』
「先代が死に…無名のジョルノ君がボスになり……」
何か一波乱あったんだろうな
だけど、ジョルノ君。この業界でギャングスターってのは厳しい茨の道だぜ?
まぁ、君ならやってのけるかもしれないが
ボニート・E・ゼルビーニと言う名前をご存じだろうか?
この名前を知っているならば、まず表を生きれる人間ではないのは確かだ
「退院おめでと」
「花束は?」
「病室にヒヤシンスが飾ってあったろ」
思い出した
確かの濃い紫のヒヤシンスだったな
花言葉は「悲哀」
…まったく良い趣味してるよ、ホント
「伝えてくれたか?」
「あぁ、警戒こそされたが……『急行列車の時はありがとうございました』だとよ」
ちっ、勘付かれちまったかな?
俺の名前は表で生きる人間はまず知らないだろうが…裏で生きる人間からすればもう使い道のない名前だ
当たり前だ
ポルポさんと同じ手を使うのは癪だが、ヨーロッパを離れるにあたり俺は自らの存在を死んだことにした
今もテレビ・ラジオで特番やっている大西洋上航空機爆破事件
それに巻き込まれて死亡って形なんだが……ジョルノ君には気づかれちまってるだろうな
あの子、勘が良いから
「お前はこれからどこに行く?」
「3カ月もすれば次の仕事なんて見つかるものでな…チュニジアだよ。スピードワゴン財団はとことん俺を使い潰すつもりらしい」
「派遣社員に比べたら可愛いモンだろ」
「可愛いって言葉は女のためにあるんだがなぁ」
―――次の便はチュニス行きです。ご搭乗されるお客様は3番ゲートへ―――
「おい、あれじゃねぇか?」
「そうみたいだな。じゃ、またどこかで」
「おう達者でな」
キャリーケース2台分に珍しくスーツ姿のホル・ホース
しばらくは会えなくなるが、何悲しいわけじゃない
良くも悪くもこの職業
いずれどこかで会えるだろうさ
敵か味方かは別だが
「……………………」
手すりに置いてあるカップコーヒーを一啜り
美味い
が、どこか寂しさを感じる
グーデンは先にアメリカに渡ったし、正真正銘ひとりの状態だ
唯一の楽しみと言えば、こうやって旅行会社の雑誌を読み明かすぐらい
「すみません、となり良いですか?」
「構わねぇよ」
全身黒づくめの男が、と言えば悪い表現だ
修道士の男が俺の隣に座る
「いやぁ、どうも…やはり旅というのは辛いですな」
「布教の旅かい?」
「いえ、世界各地の修道会や学校で教えを説いて回り、ある時は教えを乞うときもあります」
「敬虔だねぇ…イタリアには何の御用で?」
「はい、と言っても目的はヴァチカンです。同じ修道会の友達が誘ってくださいましてね」
「そうか、だったらアヴェンティーノの丘にあるマルタ騎士団の館に行ってみな。あそこは最高だぜ」
鍵の穴を探すのに一苦労だが、そこがミソなんだよなぁ
いや、ほんと。嘘じゃない
あの小さな穴から見えるサン=ピエトロ大聖堂は見ごたえがあるぞぉ
皆も行ってみるといい
「今までニホンで色々教えていまして…ウエノという場所で昔の教え子に別れの握手したんですが、思いのほか力が強くてね。成長を喜ぶ半面もう会えないという寂しさがどうも……」
教師と生徒の関係か
俺は今までそういうのを味わったことが無いんだよな
ポルポさんは教師って感じではない。良いとこ恩義はあるが腐れ縁の結びつきだ
――8番ゲートにメリディアナ社アメリカ行きの便が参ります。ご搭乗されるお客様は――
「旅立ちの間際に付き合ってくれてありがとよ。おかげで気分よく発てる」
カップをゴミ箱に投げ捨て、8番ゲートへ歩みだす
この空港は内部が入り組んでいるから早めに動かないと迷って遅れる可能性がある
5,6歩進むと後ろから呼び止めるような声が聞こえた
さっきまで俺にしゃべっていた、あの修道士だ
「シニョーレ!こちらもお付き合いくださりありがとうございます!」
そういうと修道士は左腕をやんわりと掲げた
よく見ると人差し指と中指が絡んでいる
指言葉か
確かアレが意味示す言葉は………
「あぁ!イタリアを楽しんでくれMi amico!」
『幸運を祈る』・『しっかりと』
さて、行きますか!
場所は自由の国の銃社会、その名はアメリカーナのペンシルヴァニア!
新しい人生…楽しませてくれよ?
俺の名はボニート・E・ゼルビーニ
まぎれもない、れっきとした、誰が何を言っても、正真正銘の、折り紙つきの……
「ギャング」である
Bonito「Grazie!Ci vediamo!」