ルナちゃんのお友達になりたい!   作:かきな

2 / 2

一話は起承転結で4つに別けています
理由は書きあがらないからです


第一話起 お友達未遂

 

 青年は少女の手を握り森の中を歩く。この森はいつも枯葉で地面が覆われている。この地が木々から生命力を搾取しているが故の結果なのだろうか。しかし、今萌ゆる新芽たちは力強く葉を付ける。そこに青年は生命の尊さを感じ、同時に散るときの儚さに心をときめかせるのだった。

 

「あれがルナのおうちだよ!」

 

 少女は見えてきた屋敷を指さし、楽しそうな笑顔を青年に向けた。青年も自身の死に場所である屋敷が見えてきたことに嬉しさを隠せず、口元に笑みを浮かべた。

 

「さあ、行こうか」

 

「うんっ」

 

 二人の足取りは軽い。一人はこれから殺し、一人はこれから殺される。常人であれば進むことに躊躇うことはあれど、跳ねそうな足取りになることなどない。けれど、二人にとって、命というものはさして重いものではないのだろう。

 

 青年は重い扉を押し開け、玄関ホールに入る。想像した以上の屋敷に感嘆を漏らした。

 

 立ち止まり、浸っている青年の手を少女は引っ張る。

 

「ルナのお部屋はこっちだよ」

 

「ああ、そうだね」

 

 正面の階段を上る。壁に掛けられた絵画には夫婦と思われる二人と、その娘の姿が描かれていた。額縁は傷が多く、古いものであることが見て取れた。

 

「これが君の両親かい?」

 

 青年がそう問いかけると、少女は絵を見て頷いた。

 

「そうだよ。この絵はね、パパとママが若かった頃の絵だよ」

 

 そう答えると、少女は青年には見えない両親と会話を始めたが、青年はそれを気にせず絵画を眺めていた。その、少女の家族が描かれた絵画を。

 

 そして、少女の部屋にたどり着くと、青年は薄暗い少女の部屋を見渡す。

 

「良い部屋だね」

 

 そのどこかさびれて、寂しさを感じさせる部屋に青年は満足げだ。唯一使われた形跡のあるベッドに向かい、青年はその感触を確かめる。手入れがされた様子はなく、どこか少女と同じ匂いがした。

 

「じゃあ、さっそく死のうかな」

 

「うん! 早くお友達になってね!」

 

 青年の言葉に心底嬉しそうに跳ねる少女。少女は抱えていた人形をテーブルに預け、ベッドに横たわり始める青年の側に駆け寄った。

 

「じゃあ、この手を取って」

 

 青年が手を差し出し、少女がその手を取る。

 

「さあ、喰らってくれ」

 

 そう青年が言うと、少女は首を傾げた。青年が意図するところは生命力を吸い取ってくれと言うものだったのだが、少女はその手段を持ち合わせていなかった。

 

「どうすればいいのか、ルナわかんないよ」

 

 少女が戸惑いを露わにすると、青年は少し困ったような顔をした。

 

「ルナちゃんはネクロマンサーなんだよね? ならそれくらいできると思ったんだけど」

 

「ネクロマンサーって、なに?」

 

 少女は青年の言葉に再び首を傾げた。それに青年は驚く。少女はネクロマンサーではない。だがそうなると、少女と共に存在していた両親の説明がつかなくなってしまう。

 

 そこから青年は思い付く。少女がネクロマンサーでないなら、両親がネクロマンサーだったのではないか、と。

 

 青年は体を起こし、少女に問いかける。

 

「ルナちゃん、お父さんの書斎とかってあるかな?」

 

「パパの? うん。一階にあるけど、ルナは入っちゃダメって言われてるの」

 

 少女は背後の両親に確認するような動作をとる。それならと、青年は少女に提案する。

 

「ルナちゃんはダメでも、僕だけならいいんじゃないかな? お父さんも、ルナちゃんの友達作りのためなら許してくれると思うんだけど」

 

「どういうこと?」

 

 少女が問いかけると、青年は答える。

 

「その書斎で生命力を吸い取る方法を探そうと思うんだ。だから、許してもらえないかな?」

 

 そう青年が言うと、少女は両親に確認を取り、嬉しそうに笑う。

 

「うん、パパが良いって。でも、やっぱりルナは入っちゃダメなんだって」

 

「そっか。じゃあ、僕だけで探してみるとしようか」

 

 窓の外を見ると、すでに日は落ちていた。

 

「でも、その前にご飯にしよう」

 

 その青年の案には少女も賛成のようで頷くと、青年の手を離し、テーブルのぬいぐるみを手に取り扉の方へ歩いていった。

 

 それを見て青年は立ち上がり、少女と共にキッチンへと向かうのであった。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 キッチンへ移動した二人ではあったが、少女は料理をしたことがない。青年がいつもはどうしているのかと尋ねると、両親が用意してくれるとのことらしい。

 

 その意味を図り知ることはできない青年であったが、キッチンに足を踏み入れた時に理解できた。

 

 そこから漂うのは腐敗した食物の匂い。思わず眉を顰める青年は視界に収まる範囲で食べ物といえるものがないことを認めた。

 

 青年は少女が食事をとっていたと思い込んでいるのだと判断した。少女は見るからに痩身である。その原因がこれだとすれば説明が付くと考えたようだ。

 

「残念だけど、食べられるものは残ってないみたいだ。買い物に行くのを忘れていたのかもしれないね」

 

「そうなの?」

 

 少女が両親に確認を取ると、少女の中で辻褄が合う様な回答を得たらしく、納得したように頷いた。

 

「どうする? ルナちゃんはお腹空いているのかな?」

 

 青年が問いかけると、少女は少し思案したのちに答えた。

 

「ううん。ルナ、お腹空いてないよ」

 

 その答えを受けて、青年自身の食欲もなくなったので夕食は取らないことにした。

 

「じゃあ、予定を早めてお父さんの書斎に行こうか」

 

「うん! お兄さんがお友達になる方法、見つかるといいね!」

 

 少女は楽しげに語る。その内容が他人の死を願うものでなければ、どれ程可愛らしいものだっただろうか。しかし、青年の方もその少女の善意をそのままに受け取り、笑みを返した。

 

「ありがとう、ルナちゃん。じゃあ、案内してくれるかい?」

 

 そう言って再び青年は少女に手を差し出した。行儀よく席に着いていた少女は人形をひっさげ、立ち上がり、青年の元へ駆けよる。

 

 少女は青年の手を取ると、急かすように手を引いた。

 

「こっちだよ!」

 

 青年に見せた少女の笑みは年相応のものだった。それはただ純粋に、どこまでも悪意のない、友達ができることに対しての嬉しさの表現。

 

 青年はそれを少し惜しく思うものの、引かれた手に逆らうことなく、死へと歩みを進めるのだった。

 





気付けば環境末期でした
ドロシーに蹂躙される毎日でしたが、シャドウリーパーがアグネクを救済してくれたので楽しくドロシー以外を蹂躙しています
(ーヮー)「君は打点を下げないフレンズなんだね!」
ネフティスも蓋を開けてみれば戦える強さで嬉しいですね
私にもラスワが付けば、ネフティス様の配下に志願します

後、ストーリーの新章の内容如何ではタグに独自設定が追加される可能性があります
この話でほのめかされているように、ルナちゃんがネクロマンサーではなく、ある秘密を抱えているので

それでは、また次の環境末期でお会いしましょう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。