小町ポイント クリスマスキャンペーン   作:さすらいガードマン

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 ポワポワポワンと、どう考えても非現実的な効果音を立ててピンクの煙が広がり俺の視界を埋め尽くす。自分の指先も見えないほどの濃い煙だが、不思議と息苦しさは感じない。

 立ち尽くすこと数秒。ゆっくりと霧が晴れていくと、そこには……

 

 猫耳ミニスカサンタ姿の雪ノ下雪乃が立っていた。

 

 「あ……いらっしゃい……」

 

 それだけ言うと、雪ノ下は真っ赤な顔で俯いて、太ももの半分も隠していないスカートの、真っ白なファーになっている裾の部分を両手できゅっと握る。

 

 視界が完全に晴れるとここはどうやら雪ノ下のマンションのようだ。俺のすぐ横のローソファーとか、低いシンプルなデザインのテーブルには見覚えがあった。

 

 俺の正面僅か数十センチの所に立つ雪ノ下は、普段の彼女のイメージとはかけ離れた、非常に煽情的な服装をしていた。 

 頭には真っ赤なビロードに白いファーで作られた、クリスマス仕様の猫耳カチューシャ。いつもの様に小さく編まれた横髪には、金糸の刺繍が入った緑のリボンが結ばれている。

 ノースリーブの非常に丈の短いサンタ服は、病的にさえ見える細いウエストを隠すに至らず、やはり丈の短いスカートとの間から、ちらちらと可愛らしいおへそが覗いている。

 スカートからスラリとのびた細い脚は、膝から下がサンタ服と同色の赤いソックスで隠され、そのことが白く細い太腿をより際立たせて見せていた。

 

「そ、その、比企谷くん……、そんなにじっと見られると恥ずかしいのだけれど……」

 

「お、おう。スマン」

 

そう言って後ろを向こうとすると、雪ノ下が俺の手首を掴んだ。

 

「待って。 ……見ないで、と言っているわけでは無いの。その、あなたの為に着たのだし」

 

指を絡めるように俺の手を握りながら、上目遣いでそんな事を言う。

 

「……似合わない、かしら?」

 

「雪ノ下、お前……、

 

何やってんだよ、と言葉を続けようとして、気付く。彼女の手が、足が、羞恥に震えているのを。それでも、目を潤ませて不安げに俺を見つめてくる。

 「あなたの為に着た」と彼女は言った。そして、雪ノ下雪乃は嘘をつかない。ならば俺は……。

 

「……いや、よく似合ってる。似合いすぎてて、その、目を離せなかったくらいだからな」

 

「そう……。あ、ありがとう」

 

元々赤らんでいた頬をいっそう朱に染めると、恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうに微笑んだ。

 

「それで、どうすればいいのかしら?」

 

「どうって……」

 

「今夜、あなたと私は…… その、こ、恋人、なのでしょう?」

 

「お、おう」

 

「誠に遺憾なのだけれども、生まれてから今まで、私にはそういう存在が居たことが無いから、恋人、と言われても、どうすればいいのか分からないのよ……」

 

彼氏いない歴=年齢ですねわかります。この性格じゃな……。って、俺に言われたくはありませんね(自滅)

 

「……だから、私はあなたの望む通りにしようと思って」

 

ほうほう俺が望む通りにですか、それはつまり俺の望み(ホープ)通り(スルー)される……って、

 

「ちょ、お、お前何いってんの?」

 

「聞こえなかったのかしら? 目だけじゃなく耳まで腐り始めたの?」

 

ようやくいつもの雪ノ下らしくなってきた。

 

「いいか、お前のその格好見てたら、その、エロい事とか考えちゃうかもしれないだろ。俺だって健全な男子高校生な訳だし」

 

「健全な?」

 

「真顔でそこを聞き返すのやめてくれませんかね」

 

最近、雪ノ下の細かい表情の違いが大分判るようになってきたんだが、俺とこういうやりとりをしている時の彼女は実に楽しそうだ。多分、自惚れでなく。

 

「……構わないわ」

 

「……えーと?」

 

「あなたの望みがもし、せ、性的な事なら、ちゃんとそれにも応えるつもりよ」

 

 そう言って雪ノ下は俺にぴったりと身体を預けてきた。細くはあるが、十分に女性らしい柔らかな躰から、体温が伝わってくる。心を融かすような匂いが鼻腔をくすぐる。

 抱きしめたい、という誘惑に逆らえず、肩と腰をそっと抱く。

 

「あ……」

 

 両腕から、彼女の緊張が伝わってくる。

 雪ノ下は顔を上げる。俺を潤んだ瞳で見つめ……そっと目を閉じた……。

 

 最初は、触れるだけのキス。彼女はびっくりしたように目を開け、それから、本当に幸せそうにもう一度目を閉じた。

 二度目のキスはゆっくりと。お互い、少しだけ口を開き、おずおず、という感じで舌先を触れ合う。口の中がなんだかくすぐったいが、それがなんとも心地よい。

 

 名残を惜しむように唇を離す。

 

「……本当にいいのかよ」

 

一瞬目を伏せた雪ノ下は、何かを決意したように再び顔を上げる。

 

「……ええ。それにあなた、私の好意くらい、とっくに気付いていたのでしょう?」

 

「それは……。確信があったわけじゃねえよ」

 

「この夢が覚めたら忘れてしまうのかもしれない、たとえ覚えていても、現実ではたぶん言えない。でも……今だけはちゃんと伝えなくてはね……」

 

 彼女は、まっすぐに俺の目を見つめる。

 

「好きよ、比企谷くん。もうずっと前から、あなたが……好き」

 

 俺は彼女を抱きしめ、もう一度キスをした。 ……抱きしめたまま、その耳元に俺も想いを告げる。

 

「俺も、お前の事が好きだ、雪ノ下。 ……多分、初めて会った日から、ずっとお前に憧れてた」

 

 小さくすすり泣く様な声に、思わず雪ノ下の顔を覗き込む。彼女は涙を流して震えていた。

 

「おい、大丈……」

 

「違うの。 ……嬉しくて泣いてしまっただけよ。想いが通じるって、こんなに、こんなに幸せなことなのね……」

 

 そう言って微笑った彼女は、いつもより少しだけ幼く見える。

 

「……今日は随分と素直……っていうかしおらしいな」

 

「……あなた達のせいよ」

 

少しだけ目をそらして、ここにはない何かを見つめるように彼女は言う。

 

「言わなければ伝わらない……、言葉にしても伝わるとは限らない。想いの全てを伝えることは出来ないのかもしれない……本当、そのとおりよね……」

 

雪ノ下はもう一度俺の目を見る。

 

「でも……それでも、あなたに伝えたい、そう思ってしまったの。だから」

 

「……雪ノ下……」

 

 俺はもう一度彼女を強く抱きしめ、ゆっくりとソファーの上に押し倒した……。

 

 

 

夜はまだ終わらない

 

俺達はそのまま深い眠りに落ちていく

 

 

 

 

 

 

 

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