最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
本当に事前にご連絡できれば良かったのですが、何分急な予定だったので……
申し訳ありませんでした
それでは、今回もごゆっくりどうぞ!
「さあ、仕切り直しだ。ここからは俺も参加させて貰おうか、ランサー」
「……なるほど。セイバーとキャスターは手を組んでいたのか」
「そういうことだ。行くぞ、キャスター!セイバー!」
「了解だ、薫!」
「了解したわ」
どこを見回しても、ここにランサーと俺たち以外の人影はない。
(あの結界に加えて、戦闘もランサーに任せきりか……。それほどまでに慎重なのか、それともただの臆病者か……。いや、今考えても仕方ないな)
今するべきことは、目の前の強力極まりないサーヴァントとどう戦い、勝利するかだ。
それに、サーヴァントとマスターはあまり遠い距離に離れることが出来ない。
そのうち出てくるだろう。
まあ、『単独行動』のクラススキルを持つ『アーチャー』なら話は別だが。
俺はいつも通り、腕を低めに配置する蹴り中心の構えで、ランサーと対峙する。
隣にはセイバー、その隣にキャスターがいる。
ランサーはそんな3対1という不利な状況でも、顔色一つ変えずに槍を構える。
「薫、いくら他の魔術師より強い力を持っているとはいえ、やはりあの炎に真正面から向かうのは危険だ。最前線で直接切り結ぶ相手は僕が勤めよう」
「分かった。なら、俺は隙を見て攻撃することに徹しよう」
「キャスターもいいね?」
「ええ」
「じゃあ、行こう!」
直後、セイバーは駆け出す。
魔力を放出することによる加速も受け、まるで身体そのものが風になったかのような速度。
俺もそれに倣い、斜めに蹴り出して迂回するように背中の方へ周り込む。
セイバーとランサーが切り結ぶ。
先程よりも重い、強烈な金属音。
二度、三度と音が響き、その度にお互いの身体が弾かれるようにノックバックする。
その隙に、俺は片足を踏み込んで跳躍。
「しっ─────!」
ランサーの頭に向かって、踵落としを放つ。
しかし、ランサーは振り返ることすらなく身体を捻ってそれを回避。
一回転しながら槍を振るう。
その先から発せれる高熱。
(やべっ……!)
着地直後、足元に魔弾を炸裂させて上空へ飛ぶ。
その足先を掠めるか掠めないかぐらいのギリギリの位置を、炎が通り過ぎていく。
直撃していたら、母さんの礼装でも防ぎきれたかわからない。
しかも、どうやらほぼ全方位に放ったらしく、セイバーの方も防御せざるを得なかったようだ。
しかし、忘れてはいけない。
こちらには、まだ戦力がもう一人いる。
辺りに鐘の音が響く。
『
プロイキッシャーの地盤が形成され、その存在が確かなものになる。
「『赤い靴』」
そして、起動の早いプロイを呼び出す。
二つの赤い靴を模したガラス細工が現れ、その靴がくるくると踊るように動き出す。
人間サイズの人形が具現化し、自動で行動し始める。
バレエのようなステップを踏みながら、赤い靴はランサーにその長い脚で回し蹴りを叩き込む。
ランサーは難なく受け止めるが、これで槍は動かせなくなった。
その間に、俺とセイバーが動く。
セイバーは正面から、俺は再び背後から距離を詰める。
俗に言う挟み撃ちというやつだ。
「……ふん」
だが、ランサーはそれでも動じない。
蹴りを受け止めている槍を、跳ねるように上空に振り上げると、赤い靴はそれに脚を引っ張られてしまう。
体勢が乱れたため、後退を余儀なくさせられる。
セイバーとの距離はもうゼロに近い。
「はあっ!」
下から上への斬り上げ。
まるで光のような魔力放出も伴った一撃は、ランサーの槍に阻まれてなお、威力を減衰しない。
互いに大きく仰け反り、恐らくセイバーに追撃は不可能。
代わりに生まれた致命的な隙。
そこを逃す手はない。
「おおっ!」
気合いとともに、赤い靴のように顔面向かって回し蹴り。
ランサーは動かせるとしたらせいぜい片腕くらいのものだ。
しかし、突如訪れる衝撃。
完全に当たったはずなのに、蹴りは弾かれた。
見れば、ランサーは空いた片手で顔をガードしていた。
つまり、その手甲部分だけで、俺の蹴りは容易に防がれてしまったのだ。
「ちっ─────!」
どうやら、ランサーは本当にカルナで間違いないらしい。
カルナは、防具型宝具でも最上位に入る光の鎧『
その性能は破格のものらしく、並の攻撃では傷一つつかない。
当然、ただのしがない魔術師である俺の蹴りなど、片手で防げてしまうのだろう。
(ダメだ。ランサーには、俺の攻撃じゃ通用しない……!)
だが、他にもやりようはある。
セイバーが再びランサーに斬りかかり、赤い靴もそれに従ったのを確認し、俺は右脚に魔力を流し込む。
澄んだ音を鳴らし、光の強さを増す右脚。
ある程度まで溜まったところで、
「セイバー、下がれ!」
大声で指示。
セイバーは頷き、飛び下がる。
そして、俺は右脚で蹴りを放つ。
ランサーとの距離は空いているが、そんなものは関係ない。
蹴りの起動に合わせ、青色の魔弾が放出される。
それは鎌鼬のような形になり、ランサーへと猛スピードで迫る。
セイバーに掛り切りで反応が遅れ、ランサーの胴に魔弾が直撃。
爆ぜる魔弾。
ほんの少しだけだが、ランサー後ろに引きずらせることができた。
よし、これなら通用する!
「まだまだ行くぞ!」
魔弾のチャージを続け、放ち続ける。
チャージが不十分だと威力が下がるので時間はかかるが、それでもこれで牽制程度の攻撃はできる。
そうして、防御を俺の攻撃に集中させれば、
「はあっ!」
セイバーがランサーを切り刻んでくれる。
キャスターは未だに準備に追われているがそれももうすぐだろう。
「くらえ!」
右脚を振り、魔弾を放つ。
ランサーは今度は槍でそれを防ぐ。
となれば当然、反対方向のセイバーには決定的なチャンスが訪れる。
(いける!)
そう思った矢先だった。
顔だけセイバーの方を向いたランサーが、なにか言い出した。
「武具など無粋────」
そして、顔周辺が燃えるように輝く。
なんだあれは──────!?
今週忙しくて、ストックが作れませんでした
課題が多すぎます……