最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
外食に行ってきたのですが、お腹がパンパンです
ちょっと苦しい……
「それがあなたの意思なのね。青子」
「そういうこと」
「そう……」
目を閉じ、キャスターは呆れたように息を吐く。
「仕方ないわ。マスター、構えて」
「えっ、でも……」
「気にすることはないわ。私と青子は敵。それだけ」
「………わかった」
キャスターが覚悟を決めたなら、俺も覚悟を決めよう。
両脚に魔力を回し、構えをとる。
相手は魔法使い、そうでなくとも戦争屋の蒼崎の魔術師だ。
一体どんな攻撃をしてくるのか……。
「まあ、とりあえず小手調べね」
青子さんはそう言い、パチンと指を鳴らす。
すると、
「はいいっ!?」
周りに多数の方陣が現れ、その中心に魔力が集結していく。
数秒後、方陣は無数の魔弾を吐き出した。
「くそっ!」
窓ガラスを全力で蹴り、破砕する。
キャスターの手を引いて屋敷の外に飛び出る。
だだっ広い中庭に出て、屋敷の方を睨む。
直後、爆ぜたように瓦礫が吹き飛ぶ。
「ちょっと、当たったらどうするのよ。まあ当たらないけど」
蹴りの姿勢のままで、青子さんがぼやく。
「さすがにこれくらいは避けれるか。それじゃ、次ね」
右手を突き出し、五指を目一杯に開く。
「マスター、下がって」
「わかった!」
バックステップし、キャスターの後ろに。
それを確認したかのように、青子さんが次の行動を起こす。
右手が青く発光し、魔弾が発射される。
いや、それはもはや魔弾という次元ではない。
莫大なエネルギーを持った、ビーム砲撃とも言うべきもの。
「『黄金のヴェール』」
その砲撃を、キャスターは真正面から受ける。
「────っ」
多少苦しそうにはしているが、難なく攻撃を受け止めた。
「すげえ……さすがキャスター……」
「安心するのは早いわ、マスター。青子の最大出力はこんなものじゃない」
「はぁ!?今ので!?」
今の攻撃を真正面から受けたら、強化した俺でも間違いなく戦闘不能にさせられる。
俺にとっては一撃必殺に近しい。
「そうよ。この程度でへこたれてたら、話にならないわ」
そう言い、今度は突進してくる。
その速さは、もはや人間のレベルをとうに超越している。
「負けるか!」
だが、俺だって速さには自信がある。
足を強く踏み込み、急加速。
「いい度胸!」
そう不敵に笑いながら、青子さんは脚を上げ、回し蹴りを放つ。
「───しっ!」
俺も逆の脚での回し蹴りを放つ。
ちょうど、お互いの脚が直撃するコースだ。
ガゴン───ッッッ!!!
と、明らかに人体から鳴るものではない音が鳴り響き、互いの脚が弾かれる。
結果は、互角。
「────嘘だろおい……!」
俺の身体強化は脚に集中しているんだぞ!?
それを、魔力を巡らせただけの生身で、弾き返すなんて……!
「ほらほら、まだまだ!」
右手を振りかぶり、再び大量の魔弾を発射。
「だったら、こっちもやってやるよ!」
脚に魔力をため、横薙ぎに振るう。
鎌鼬のような形の魔弾が形成され、青子さんの魔弾を次々と相殺していく。
「『
その間に、キャスターも臨戦態勢。
猫型の鈴を地中に沈め、夜を助長させる。
これで、キャスターのプロイキッシャーの幅が広がった。
けど、それは恐らく、青子さんも承知だろう。
キャスターと顔馴染みなら、間違いなくそれは知っているはずだ。
「よそ見してる暇はないわよ!」
マシンガンの如く、細かい魔弾が発射される。
「ちっ……!」
大地にかかと落としを叩き込み、魔弾が壁状に広がる。
それはいくつの魔弾を防ぐが、それで防ぎ切れるほど数は少なくない。
壁をすり抜けた魔弾が、次々と俺に迫る。
「間に合え───!」
がむしゃらに横っ飛びし、ゴロゴロと転がって魔弾の射線から外れる。
いくつか魔弾が掠めるが、どうにか回避した。
「くっ……いってぇ……!」
「休んでんじゃないわよ!」
間髪入れずに、攻撃を仕掛ける青子さん。
今度は接近戦のようだ。
常識外れの速度で放たれる拳を、どうにか腕を交差させて防ぐ。
「うっ……重っ……!」
さらに、その拳が目の前で開かれる。
(まさか─────)
気づいた時には、時すでに遅し。
青くその手が発光し、目の前で爆ぜる。
「ぐあぁぁ!」
トラックにでもぶつかったかのような衝撃に、俺は数メートルは吹き飛ばされる。
そのまま宙を舞い、落下───。
する直前、誰かに抱きかかえられた。
「平気?マスター」
「キャスター……」
どうやら、途中で受け止めてくれたらしい。
「へー。有珠が人を助けるなんて、珍しいわね。有珠らしくもない」
「年月が経てば変わるものよ。あなたのようにね」
「あっそ」
肩を竦めて笑い、青子さんは再び構える。
「さーて、まだまだ行くわよ。本番はここからなんだから」
いや、既にボロボロなんだけど……。
このお腹に更に炭酸水を注いでしまいました
く、苦しい……