最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た 作:雪希絵
友人と泊まり込みでTRPGをしていたのですが、どうやらその時に布団に入らずに寝ていた事が原因のようです
喉が、喉がぁ(இωஇ`。)
「吹っ飛べ!」
「飛びませんよ!」
大気を薙ぐように振るわれた青子さんの右手から、魔弾が繰り出された。
次々と飛来するその魔弾をそれぞれ蹴りでたたき落とし、大地を踏みしめて急加速。
勢いを殺さないように飛び上がりながら、左脚で蹴りを放つ。
「このっ……!」
悪態をつきながら、青子さんは両腕を交差させてガード。
しかし、俺は跳ね上がった足の勢いを利用し、垂直に回転。
脳天を砕くつもりで右脚を振り下ろす。
「危なっ!」
青子さんは見事な体術で体を半身にし、ギリギリで俺の蹴りを回避する。
爆ぜる地面と飛び散る砂埃。
自分で起こしたものだが、目に入って視界が眩んでしまう。
その隙を、戦争屋の蒼崎が見逃すはずが無い。
「そこっ……!」
自分自身が巻き込まれることすら前提なのか、この近距離で特大の魔弾を放って来た。
爆発すれば、青子さんも俺も無事では済まないだろう。
いや、青子さんなら恐らく耐えるのは間違いない。
だったら、
「かっ飛ばす……!」
全力で軌道を逸らすだけだ!
右脚を軸に無理やり身体を回転させ、魔弾の側面に左脚を滑り込ませる。
俺に魔弾が当たる直前、それはサッカーボールの如く歪み、上空に飛び上がっていく。
そして、花火のように空中で爆発した。
賭けだったが、破裂しないように力加減を調節したかいがあった。
「……やっぱりね」
閃光が消え、青子さんの姿がハッキリ視認できるようになった頃。
青子さんがボソリと呟いた。
「薫。その……なんだっけ。ファランクスだったっけ?」
「はい」
頷くと、青子さんは俺の脚を一瞥してため息をつく。
「今はっきり分かったわ……。有珠、あんたには分かりにくいかもしれないけどね。あんたのマスター、危ないわよ」
「………?」
眉を顰めながら、キャスターは俺の方を見る。
不味いな……バレてたか。
でも、どうしてだ?
「なんで分かった、って顔してるわね。そんなもの簡単よ」
片目を瞑り、左手をヒラヒラと振って、青子さんは続ける。
「あんた、さっきの魔弾弾き返したじゃない。その前もそう。あんた相殺して弾き飛ばしたじゃない。今までみたく回避するんじゃなく」
「……本当に、魔法使いっていうのは厄介ですね」
「ってことは、合ってるわけね」
もう一度、今度は大きくため息をつく。
「理由は単純。今までみたく回避して、仮にかすった場合……それだけで致命傷になり得るから。そうでしょ?」
「……どういうこと?マスター」
青子さんの回答に、キャスターが不機嫌そうに尋ねる。
「すまん、キャスター……青子さんの言う通りだ」
魔術回路とは、魔術師にとって臓器のようなものだ。
いくら人ではない部分とはいえ、魔術師にとっては間違いなく身体の一部であると言える。
俺の『術式変更』は、その魔術回路に新しい仮術式を上書きすることで成り立つ。
自分の魔力で作った効果の違う仮魔術回路を、元ある魔術回路に書き加えて実行する。
わかりやすく言えば、一つの魔術回路に倍の量の魔力を強引に流すことになるわけだ。
当然、負荷も痛みも尋常じゃない。
青子さんが欠伸をしながら放った魔弾でも、直撃したら二度と立てなくなるレベルのダメージを負うだろう。
「そんな無茶続けたら、身体がぶっ壊れるのは確定よ。いいの?」
「大丈夫じゃないですか?うちの母親は優秀な薬師なんで」
「あっそう。ふーん……後悔しても知らないわよ」
「上等ですよ」
臨戦態勢をとる青子さんに向かって、俺は脂汗をかきながら駆け出した。
お読み頂きありがとうございました
風邪を治すために早めに寝ます_(:3 」∠)_
それでは、また来週お会いしましょう!