最強のキャスター呼んだら最強の人形師がやって来た   作:雪希絵

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偵察とはなんだったのか

この話書いてて思いました

っていうか、使い魔使うって考えなかったんですかね


撤退戦

「!?」

 

その黒い何かは、手にした武器で俺とセイバーを薙ぎ払う。

 

「くそっ……!」

「っ……!」

 

唐突過ぎる不意打ちに、俺もセイバーも防御しか出来ない。

 

どうにか空中で一回転して着地する。

 

「マスター」

「大丈夫。どうにかな」

 

そばに来たキャスターにそう言い、改めてその黒いのを見る。

 

「あれもサーヴァントね」

「えっ……?いや、たぶん……」

「? 歯切れが悪いわね」

「いや……何故かわからないけど……。アイツのステータスが全く見えない……!」

 

聖杯戦争のマスターにはいくつか特権がある。

 

その一つが『サーヴァントを見ればステータスかわかる』だ。

 

相手のクラス、筋力や敏捷などステータスを見て取れる。

 

現に、セイバーの筋力Bなどのステータスは見えるのだ。

 

だが、あのサーヴァントからは何もわからない。

 

「……マスターに見えないなら、恐らく自身を隠蔽する何かしらの能力か宝具があるということね」

「たぶん……」

 

その黒いサーヴァントは、しばらく静止したかと思うと、不意にセイバーの方を向き、

 

「▆▇▆▇██▇▆▅─────!!」

 

叫んだ。

 

さらに両手に握った武器を脇に抱え込み、

 

「まさか……!冗談だろ!?」

 

引き金を引いた。

 

「マシンガンって!」

「マスター、私の後ろに。守るわ」

「お、おう!」

 

キャスターの指示に従い、バックステップ。

 

代わりにキャスターが前に出て、右手を振るいながら一言。

 

「『黄金のヴェール』」

 

プロイを発動。

 

無数に飛んでくる銃弾が、カーテンのように広がった金色の布にぶち当たる。

 

だが、ヒラヒラとした見た目に反して、それはびくともしない。

 

むしろ、銃弾の方がひしゃげていく強度だ。

 

「すげぇ……。なんて強度だよ……」

「そうね。さすがにBクラスの宝具は防げないけど、熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)の半分強くらいの強度はあるわ」

「防御用宝具の半分って相当だぞ……」

 

つくづくとんでもない能力だな……。

 

「キャスター、プロイの準備は?」

「今終わったわ。強力な分、準備に時間がかかったけれど」

「よし、そいつを使いながら下がるぞ」

「撤退するの?」

「ああ」

「分かったわ」

 

正直、予想外の事態が多すぎた。

 

偵察だけのつもりが、相手があまりにも強力なサーヴァントだったせいで、普通に戦うことになってしまった。

 

おまけに別のサーヴァントまで乱入して来ては、仕切り直すしかない。

 

腰のポーチから母さん特製のポーションを抜き取り、試験管一本分の中身を呷る。

 

即死しない自分の特製を生かし、ポーションを常備していつでも回復できるようにしているのだ。

 

ちなみに味は、甘味を抜いたオレンジジュースのような感じだ。

 

要するに結構苦い。

 

「『赤憐のマスケット』」

 

キャスターのプロイの中でも、さらに強力なプロイが呼び出される。

 

本当はこいつでセイバーを仕留めるつもりだったが、もはや不可能だろう。

 

「▅▆▇█▇▆▅▃▂──────!!!」

「どう見てもバーサーカーね」

「だよな……たぶん」

 

絶大なステータスと引き換えに、理性と言語能力を失った狂戦士のクラス『バーサーカー』。

 

今のあいつの狂いっぷりからは、そうとしか考えられない。

 

「███▇▇▆▅▃!!」

 

叫びながら、その辺にあった大きな棒を拾う。

 

それが黒い霧に包まれたかと思うと、赤い血管のようなものが棒に浮き出る。

 

「さっきのマシンガンと同じだ……」

「どうやらあのバーサーカー、手にしたものを自分の宝具にできるらしいわ」

「厄介極まりないな……!」

 

バーサーカーはセイバーに躍りかかると、まるで槍のように扱いながら戦う。

 

「くっ……!」

 

背後にマスターを庇いながら、セイバーは応戦する。

 

「セイバー!」

「大丈夫……!安心して、マスター」

 

しかし、そう言うセイバーに余裕はない。

 

おそらく、先程の銃撃でもマスターを庇い、ダメージを受けたのだろう。

 

「よそ見してんなよ!!」

 

脇目も振らず攻撃し続けるバーサーカーの背後に迫り、頭に踵落としを見舞う。

 

だが、バーサーカーはギリギリで振り返り、棒で防いだ。

 

セイバーの方には銃撃をし、俺を弾き飛ばしながらバックステップ。

 

一体どこに銃を仕舞っていたのか知らないが、今度こそ銃を放り捨てる。

 

「█▇▆▆▅▃▂▁!!」

 

邪魔をするなと言わんばかり叫び、今度は俺に飛びかかって来た。

 

尖った側を使い、凄まじい速度の突き攻撃を放ってきた。

 

首を捻りながら右側に身体をスライドして、紙一重で回避。

 

しゃがみ込み、左脚を軸に回転。

 

右脚の後ろ回し蹴りでバーサーカーの胴を狙う。

 

しかし、バーサーカーは外した棒を地面に突き刺し、棒高跳びのごとく跳躍。

 

空中で棒を抜き取り、叩きつけるように俺に向かって振り下ろす。

 

(やばい!)

 

ちょうど下にある両手を地面につけ、側転のように回避。

 

直後、左手の真横に、バーサーカーの一撃が振り下ろされた。

 

「こいつ本当にバーサーカーかよ……!」

 

けれど、動きが大きすぎた。

 

今なら、当たる。

 

「穿て」

 

キャスターの涼やかな声が響き、手にした赤いマスケット銃の引き金を引く。

 

赤い閃光が銃口から放たれ、いくつにも枝分かれしながらバーサーカーに迫る。

 

もちろん、それを叩き落とそうとするが……。

 

「▁▂▃▅▆▇▇▆▅▃──────!」

 

閃光は棒をすり抜け、次々とバーサーカーに着弾する。

 

赤憐のマスケットの弾には特別な性質がある。

 

『防御という概念をすり抜ける』というものだ。

 

武器で弾くことや、盾で防ぐこと、結界を張ることなどの防御行動をすり抜け、攻撃を命中させる。

 

弾はいくつか種類があり、今は散弾型を撃ったようだ。

 

(これで少なくとも足止めはできる。その間に……)

 

右脚に、魔力をひたすら流し込む。

 

他の部分にはいらない。

 

ただひたすら、利き足にだけ魔力を注ぐ。

 

(いててててっ………!)

 

魔術回路は、人体に無理矢理別の臓器を増やしているようなものだ。

 

魔術を使えば、人ではない部分を人である部分が拒絶する。

 

人の身にして魔術を使えば、必ずこの痛みはついて回る。

 

だが、今はそんなことを言っている場合じゃない。

 

(もう少し……いけるな……)

 

魔力を蓄えている間は、キャスターがバーサーカーをこちらに誘導してくれる。

 

誘導弾、散弾、レーザー。

 

様々な弾を撃ち続けるキャスターと、それをやはり狂戦士とは思えない身のこなしで回避し続けるバーサーカー。

 

だが、やがて痺れを切らしたように、

 

「Aaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

吼えた。

 

バーサーカーは狙いを絞る。

 

この場で最も潰したいやつ。

 

マスターに支えられて立つ、セイバーだ。

 

「マスター!逃げて!」

 

マスターを突き飛ばすようにバーサーカーから遠ざけ、セイバーは剣を握る。

 

その剣ごと叩き潰さんばかりに、バーサーカーが棒を振るう。

 

やっとだ。

 

「待ってたよ、その瞬間を」

 

ようやく狙い通り動いてくれた。

 

バーサーカーの両サイドの茂みが揺れ、何かが飛び出す。

 

ホッチキスのようになった口を持つ、大きな豚のぬいぐるみ。

 

『おしゃべり双子』だ。

 

二匹の豚はそれぞれ両側に噛みつき、バーサーカーの動きを止める。

 

「……!?」

 

振り払おうとしても無駄だ。

 

このプロイが噛み付いた段階で、まるで本に書かれた文字になったように動けなくなる。

 

致命的な隙。

 

そこに、

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

全力で魔力を注いだ蹴りを叩き込む!

 

青白い閃光と弧を描きながら、バーサーカーに迫る右脚。

 

ギイィィィィィィ!と、鎧を擦る音が鳴り、バーサーカーに蹴りが直撃。

 

同時に魔弾も叩き込み、爆発の衝撃も合わせてバーサーカーを跳ねあげる。

 

かなり高くまで行ってもその速度は収まらず、やがて遠くに消えた。

 

「行くぞキャスター」

「ええ」

 

相手はサーヴァントのわけだし、さほどダメージはないだろうが、距離は稼いだ。

 

爆発の閃光が消えないうちに、キャスターと一緒に退散する。

 

俺は木から木へと飛び移り、キャスターは飛ぶように移動する。

 

セイバーたちがどうなったか知らないが、少なくともマスターは爆発に巻き込まれていないはずだ。

 

距離が充分空いたところで道に降り、帰路につく。

 

「ふぅ……初日から疲れたなぁ……」

「そうね。偵察にはなっていなかったし」

「相手が悪かったなぁ……」

 

本当は街の方まで行きたかったが、もはやこの傷と魔力では無理だろう。

 

「しっかし、あのバーサーカーなんだったんだろうな……」

「銃や棒を宝具に変えた能力も恐らくあのサーヴァントの宝具でしょうね。けれど、発動した上でも真名がわからない」

「それが、ステータスが見えない能力の特性ってことか……」

 

聖杯戦争は情報戦の要素も強い。

 

相手の特性やあわよくば宝具が分かれば、その対処もしやすいからだ。

 

だからこそ、こうして偵察に出たわけだし(結局偵察どころかがっつり戦闘したけど)、使い魔なんかも手段の一つだ。

 

「とにかく、マスターはしばらく休んだ方がいいわ。ただでさえ召喚で魔力を使ったわけだから」

「ああ、そうするよ」

 

ぶっちゃけ、すごい眠たい。

 

帰ったら早いとこ寝て休もう……。

 

そんなこんなで、聖杯戦争最初の戦いは慌ただしく過ぎたのだった。




最近ちょっと思ったんですけれど

アルクェイド・ブリュンスタッドVSキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードってやったら、どっちが勝つんでしょう?

……というかそれ以前に、地球がもつんですかね?
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