とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある戦いの終焉

ヴォォォォ!という雄叫びと共に、猛烈な火炎が人の形になって現出する。

 

その高熱と、熱風に押され、今まさに攻撃を加えようとしていた2人の動きが止まってしまう。

 

「く.....遅かったか..... 」

 

「なによ.....これ..... 」

 

「話には聞いてたけど......本当に法王級の魔術を個人で扱うなんて.... 」

 

ウォールメンバー3人はもちろんのこと、上条も驚愕の表情を浮かべている。

 

護にしても、アニメで見るのと実際に体感するのでは全く違うという当たり前のことを改めて感じていた。

 

「さて.....行け、魔女狩りの王(イノケンティウス)。我が名が最強である理由をここに証明しろ! 」

 

ステイルの声に応え、イノケンティウスはまっすぐ護たちに向かってくる。

 

「くそ、止まれぇぇ! 」美姫の放つ『超電磁砲(レールガン)』がイノケンティウスの胴体に穴を開けるが、すぐにその穴は塞がってしまう。

 

慌てて次の鉄球、クリスのものと同じパチンコ玉を取り出す美姫を護が止める。

 

「あの怪物には、そう簡単にダメージは与えられない! 3人がかりで一気にダメージを与えよう。美姫は『雷撃の槍』を、僕は『超重力砲(グラビティブラスト)』を、哀歌はあれにもっとも効果がある術式を、皆で一気にぶつけよう 」

 

3人は頷き合い、それぞれの力を発動する。

 

「俺はどうすればいい? 」「上条はあの子の確保を頼む! 僕らのことら気にかけず、一直線線にあの子の元へ! 」

 

上条に叫びつつ、護は右手を前に向ける。

 

「いくぞ、みんな! 『超重力砲(グラビティブラスト) 』!」

 

「くらえぇぇ! 」

 

「水竜の慈悲は地を潤す! 」

 

3人の繰り出す力。それが合流し、電撃を纏った水竜となり、それを護の放った重力波が加速させる。

 

突き進む水竜は加速しながら、一気にイノケンティウスを吹き飛ばす。

 

「なあ?! 」一時的とは言え、イノケンティウスが粉々に吹き飛ばされ、驚愕するステイル。そこへ水竜の後ろからかけてきていた上条が右拳を握り締め近づいてくる。

 

「くそ.....君1人であがらえるとでも思ってるのか! 」

 

ステイルが右手に新たな炎剣を生み出し、その剣が上条に向かう.....が、その炎は上条の右手に打ち消される。

 

「バカな.....! 」

 

「ふう......護の言ったとおりだった....そうだよ何びびってたんだ、あの修道服をぶち壊したのだってこの右手だったじゃねえか 」

 

「この! 」ステイルが再び放つ炎剣を上条は右手でつかみ、握り締め、再び打ち消した。まるでガラスがバラバラになるかのように、炎が飛び散る。

 

「終わりだ、その子を助けさせてもらうぞ 」「この程度で勝ったと思うな! 」

 

ステイルの叫びとともに、上条の背後に崩されたはずのイノケンティウスが現れる。

 

「君がどんな力をもってるか知らないが、これで終わりだ 」

 

イノケンティウスの手に光の十字架が握られる。この位置からなら一撃で上条は叩き潰されてしまう。

 

「同時に2方からの攻撃をかわすことはできるかい? 」

 

イノケンティウスの右手が大きく振られ、上条を吹き飛ばそうとするが、その攻撃は上条の右手に防がれる。だが.......

 

「(この十字架......右手が通用しない?.....この炎、消滅した直後に復活してるんだ!) 」

 

打ち消せず光の十字架を必死に防ぐ上条を見て、ステイルは薄く笑い、そのまま真後ろから攻撃をかけようとして、直後違和感に気付いた。

 

「なん....だ、体が....重い.... 」そのまま思わず膝をついてしまうステイル。なにか真上からの強烈な圧力がステイルの体を押さえつける。

 

「そこまでですステイルさん。あの女の人.....神裂さんにも言いましたが、僕の力は重力を操ることです。今はあなたにかかる重力を通常の2倍ほどの強度にしています。もはや立つことも困難だと思いますけど? 」

 

「なめ.....るな....僕にはまだイノケンティウスが...... 」 「ああ、それはそうですね.....でも....高杉! 」

 

次の瞬間、ステイルは背後に人の気配を感じた。

 

「悪いな、一瞬で終わらせてもらうぜ! 」

 

ステイルがなにかを言い返す前に、後頭部とみぞに同時に激痛が走り、ステイルの意識は一瞬にして途絶えた。

 

それと同時にイノケンティウスも苦しげに体を震わせながら消えていく。

 

「ナイスタイミングだ。高杉! 」

 

「お前ってほんと人使い荒いよな......あの日本刀ガールに吹き飛ばされた後だったってのに、意識戻したとたんに能力使えって...... 」

 

「わるいわるい.....『どうやっても良いから高杉を起こせ 』とクリスに言ったことも含めて謝る。だけど今はそれよりすべきことがあるんだ 」

 

んだと! どうりで身体中をまさぐられたような気がしたわけだ、殺すぞこら!

 

とわめく高杉を無視し、護は血まみれの少女を抱きかかえた哀歌に目線を向ける。

 

「哀歌! 君の魔術でインデックスを治療できる? 」

 

「できないことは、ないとは思うけど.....保証は出来ないし自信も微妙。禁書目録なんてVIPは私も治療したことないし..... 」

 

となると原作通り、小萌先生の家で内なるインデックスとも言える『自動書記、ヨハネのペン』に治癒させるしかない。

 

「高杉!御怒りのところ悪いんだけど、お前はな力が必要なんだ。哀歌と上条とこの子をこの座標に飛ばしてくれないか? 」

 

護が渡す、座標位置を示した地図と、2枚の写真を受け取り、しばらくそれを確認した高杉は、哀歌と上条に手を握らせ、その重ねられた手と哀歌が抱くインデックスに手を置いた。

 

「後で、しっかりとお返しをしてもらうからな! 」

 

愚痴りながらも、高杉は目を閉じ、しっかりと力を発動する。

 

「それじゃあお三方、どうぞ楽しい御旅行を! 」

 

次の瞬間、哀歌、上条、インデックスの3人は文字通り消えた。瞬間移動したのだ。

 

「さて、とりあえず任務はこれで終わりということで解散していいか?お返しはまた別の機会にとして、実際問題、疲れてんだが 」

 

「そうだな.... んじゃあ今日の所は解散ってことで.... 」

 

そう言いかけて、直後護は後悔した。なぜなら......

 

「うっしゃあ! 後はクリスの奴に見つからないように、ホテルまで戻ればいい! 」

 

「トラ次郎ストラップ! まだ間に合うはず! 」

 

「待ちなさい高杉! あんたをまず縛って罰を与えるんだから! 」

 

集合する前と同じノリになる3人に思わずため息をつきそうになる護だった。

 

「まあ、とりあえず今回はこれで解決.....か 」

 

そんなことを呟きつつ、部屋に戻ろうとして、護はなにか嫌な雰囲気を感じとった。

 

まるで『誰かが見てる』ような、嫌な感覚。

 

「まさか、まだなんかいるってわけじゃないよな? 」

 

念のために後ろを振り返ってみるが別のおかしなところはない。

 

 

「まあ、気のせいだよな? 」

 

そう自分を納得させ自分の部屋に入っていく護。それを天井裏から覗く2つの目があった。

 

「本部、報告。目標である『禁書目録』は学園都市の対外暗部組織に守られている。至急対策を立てるべし 」

 

屋根裏に潜む者は小さく笑う。

 

「しかし、またとないチャンスだ。だがまず、周りの護衛どもを無くさなければならないがな 」

 

屋根裏に潜む者はもう一度小さく笑い。闇に溶けこむようにその場を去る。すでにその姿は屋根裏から消えていた。

 

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