とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある女性の協力要請

「(IRA.......アイルランド共和国軍.....『こちら側』にも存在してたのか..... )」

 

実は、護は軍事や歴史に興味があり、元からそれに関する知識は豊富だったりするのだ。

 

護は覆面の武装集団、IRAの構成員たちに銃口を突きつけられつつ考えていた。

 

「(だが、なぜIRAがこちらに関わってくる? 外部組織の掃討の役割をもつウォールでもIRAを相手にしたことはないし、僕達をさらってもなんの意味もない。狙う理由ができるとしたら、むしろ1台目の方だから、クリスを狙ってたのか? ) 」

 

「車から降りてもらおう。早く出るんだ 」

 

男に促され、仕方なく車を降りる護。能力を使ってこの場をしのぐことも不可能ではないがリスクが高すぎる。

 

上条とインデックスに関しては役に立たない。上条の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』は銃弾にはなんの意味も持たない。インデックスにはそもそも戦闘能力はない。

 

哀歌には人間離れした身体能力と魔術という武器があるが、先程の銃撃によって意識を失っている。

 

つまり現状は八方塞がりなのだ。

 

「これからお前たちをボスのところに連れて行く。くれぐれも抵抗するな。できれば無傷で連れてこいと言われてるんだらな 」

 

現状、対抗策はない。ここはおとなしく従うしかない。そう判断し頷く護に男は満足げに首を縦に振った。

 

護、哀歌、上条、インデックスの4人は全員目隠しされ両手を手錠で拘束された上で大型車 (見えないので正確には分からないが、上条、インデックスの声を確認したりしての予想 )に乗せられ運ばれた。

 

「(IRAが.....僕らを狙う理由はなんだ? 僕らを襲うメリットは? 僕らを人質にして学園都市に金を要求するとか? でもそれならわざわざボスの所に連れて行く必要がない........ いったいなんなんなんだ? ) 」

 

ひたすら答えの出ない問いを護は繰り返していた。

 

 

「さあ、着いたぞ 」男たちにどつかれながら降ろされ、目隠しをとられた護たちの前には、古びた砦の門らしきものがそびえ立っていた。

 

「ここが、ボスって奴のいるところなのかよ? あからさまに目立つ場所じゃねえか 」

 

上条が不審に思うのも当然で、城より規模は小さいものの城郭や櫓を備えた立派な砦であり、隠れ潜むテロリストたちの拠点としては明らかに不自然な場所になる。

 

「ここは古い魔術的な城塞なんだよ。でも、今は機能してないみたい 」

 

禁書目録(インデックス)の名をもつ彼女が言うのだから間違いはないだろうが、ではなぜこの場所に武装組織が拠点を構えているのだろうか?

 

「ここに、入れ 」護たちが通されたのは応接間のような場所だった。古びた外観とは裏腹に内部は意外に小綺麗にされており、折りたたみ椅子が5つと簡素な木製の机がおかれている。

 

そして、応接室にある窓の側に1人の女性が佇んでいた。

 

「ボス! 彼らを連れて来ました 」

 

ボス、そう呼ばれた女性はこちらに顔を向ける。

 

金髪でヨーロッパ系の顔立ちをした美女。

 

彼女は静かな口調で、日本語で語りかけた。

 

「始めまして。私がIRA.....アイルランド聖騎士団、団長のラミア・エバーフレイヤ。クリスが、娘が世話になってるそうね 」

 

護はたった今聞いた言葉を疑った。クリスを娘と言ったということは、彼女......ラミアはクリスの母親ということになる。だが、まさかクリスの母親がテロリストだなんて.......

 

「あなたたちをさらったのには、勿論、理由があります。私の娘........クリスを助けたい......その為にあなたたちの力を借りたいのです 」

 

ラミアの思わぬ言葉に護の思考が一瞬停止する。

 

「いったいどういうことだよ! あんたはエバーフレイヤ家の運転者を撃ち殺させてるじゃねえか! なのに力を借りたいってどんなつもりなんだよ! 」

 

「あの運転者は、クリスの父親が雇っている傭兵.......海外の元軍人です。あの子の父親はIRAから離脱した別組織.......通称リアルIRA.......私たちからいうところの『タラニス』という組織のリーダーなんです......あなたたちには理解しにくいかも知れませんが....... 『魔術結社(マジックキャバル) 』という組織の一種なんですよ 」

 

魔術結社という言葉にインデックスがいち早く反応する。

 

「まさか、その人が私たちをここに呼んだのは....... 」

 

哀歌の言葉に、ラミアは頷くことで肯定する。

 

「あの人は、『禁書目録(インデックス) 』。その子の中にある10万3千冊の魔導書のうちの1つ。アイルランド神話における伝説の書物である『侵略の書』を手に入れようとしている。私はそれを止める為に『アイルランド聖教』から依頼を受けて動いてるの。お願い、協力して 」

 

思わぬ流れに、護たちは顔を見合わせる。彼女を信じ、協力するか、それとも........

 

「お願い。あの人がインデックスから原典を取り出すために動き出したら、クリスが.....あの子が死ぬことになる! 」

 

瞬間、全員の目がラミアに注がれる。

 

護には、もうなにがなんだか分からなっていた。

 

クリスが死ぬって!?

 

 

 

 

 

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