とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある古城の不安待機

「なあ.....護たち、いくら何でも遅くねえ? 」

 

クリスの実家である、エバーフレイヤ家所有の古城、『フレイヤ城』で高杉、美姫、クリスの3人は護たち一行の到着をまっていた。

 

「ねえ、ベネット。護たちの車に連絡はまだつかないの? 」

 

「はい......只今、幾度か応答するように連絡を送っているのですが、返ってこないため捜索隊を出して確認を急いでおります 」

 

ベネットの言葉にクリスの顔が曇る。クリス以外の『ウォール』メンバー達の表情も陰っている。

 

学園都市の裏側で動く暗部組織の一員である『ウォール』メンバーである3人はどうしても今の状況を悪く考えてしまう。即ちなんらかの『事件』が起きたのではないかと考えてしまうのだ。

 

「みなさま.....そんな暗い顔をなさらないでください。そのうちにきっと連絡が......つっ! 」

 

「どうしたのベネット! 」

 

「ただいま連絡が入りました。捜索隊が山中で放棄された2号車を発見。前部座席に2号車運転手のジェームズの遺体が乗せられていたそうです。また車体にいくつかの銃痕を発見したと...... 」

 

「なんだって!? じゃあ護たちは誰かに狙われたってのか? ていうか護たちはどうなったんだよ! 」

 

高杉の言葉にベネットは首を横に振った。

 

「護さまたちの姿は無かったそうです。その行方については捜索中......ですが、同時に『追跡者』達からこんな情報が..... 」

 

なにやら、クリスに耳打ちするベネット。その行動はすこし表には出せない情報だということを意味していた。

 

「そう.......そっか、『あれ』が関わってるかもしれないんだ..... 」

 

「はい.......私兵部隊を動かしましょうか? 」

 

「今の状況でお父さまが許すはずがないわ......... 」

 

2人の会話にまったくついていけてない高杉とクリスだったが、とにかく今は対策を立てなければならないと話に入ることにした。

 

「なあ、私兵部隊ってクリスの家が独自に保有する兵隊のことだろ? なんでそんなものを出すってんだ? だいたい『あれ』ってなんなんだ? 」

 

「そうよ、護たちになにがあったっていうのよ!? 」

 

「ベネット......2人は『私たち』と同じ『裏側』を知る人間よ。話しても構わないわよね 」

 

「お嬢様が良しとされるなら。私には異論はございません 」

 

ベネットの言葉に頷き、クリスは2人を見つめ直す。

 

「よく聞いて。この国には『IRA』というテロ組織が存在するの。正式には『アイルランド共和国軍』というのだけど、かつてアイルランドがイギリスに支配されていた時代、それを良しとしない人々が作った『抵抗組織(レジスタンス)』が時代を経て変化したものなの。今回、護たちを襲撃したのはそのうちの一派.....『聖騎士団』と名乗るやつらだと分かったのよ 」

 

「アイルランド政府軍から、連絡がありまして『聖騎士団』が我が『エバーフレイヤ家』に対して宣戦を布告してきたというのです。ただいま私兵部隊は城の周辺に展開して防備を固めはじめております 」

 

「じゃは早く私兵部隊の一部を動かして、護たちを....... 」

 

「そうはいかんのだよ、我が娘の友人たち、今は我が城への攻撃に対する備えを急ぐ必要があるのでな。残念だか攫われた友達へ私兵部隊は回せないのだ 」

 

突然の声に慌てて後ろを向くクリスたちの目に入るのは、ブランドもので身を固める40代ほどの紳士。ジェラルド・エバーフレイヤである。

 

「お父さま! でも...... 」「安心するんだ。私から軍と警察へも協力を要請した。じきに見つかるさ。それよりここも危ない、ベネット! 娘たちを連れて『地下壕』へ行ってくれ。私はここで指揮をとらなければならん 」

 

「分かりました。かならず御案内します 」

 

それを聞いて安心したように息を吐き、階段で2階に上がっていくジェラルドを見るクリスの瞳は少し悲しげな色をたたえていた。

 

 

「さあ、ここから『地下壕』に繋がっております 」

 

高杉たちが案内されたのは、城の地下にある地下牢の一室だった。

 

「あの.......繋がってるって.....ここが地下である以上、これより下なんて.... 」

 

「『地下壕』はこれより更に下......地下20階にあるのでございます。ここの壁に掲げてある絵画を押すことで...... 」

 

ベネットが絵画を押した途端、床が急に沈みはじめた。

 

「沈んだ!? いや、降下してるのか? 」

 

「その通りでございます。この部屋じたいがエレベータとなっておりまして、地下20階までの直行となっております 」

 

「なんか忍者のからくり屋敷みたいね......そういえば『地下壕』ってどんなものなの?戦争中に作られてたっていう奴なの? 」

 

「いえいえ......そんなに古いものではございません。ジェラルドさまが作られたものでありまして.....『地下壕』という名はついておりますが........まあ、ジェラルドさまの地下の私室といったところでしょうか 」

 

そんなことを話している間に、エレベータは地下20階にある地下壕の入り口である鉄扉の前まで到着した。

 

「さあ、着きました。この扉の向こうが『地下壕』でございます 」

 

そういって伸ばされようとしたベネットの腕を高杉が掴んだ。

 

「高杉さま?どうなさったので? 」

 

「人の気配がする......ここには俺たち以外にも人がくる予定なのか? 」

 

「いえいえ、そんなはずがありません! ここに立ち入れるのは旦那さまの御家族かその関係者のみです。そして旦那さまから渡されるITパスを持っていないかぎりこのエレベータは動かせません 」

 

となると、中にいる誰かは『よそ者、侵入者』あるいは『家族、関係者』ってことになるが......

 

「クリス、美姫、ベネットさん。ここでまっていて下さい。俺の『無限移動』で扉の外を確認してくる 」

 

「そういえば、あなた様は学園都市の能力者でしたね 」

 

「ちょっと! もし扉の向こうの奴が敵だったら! 」

 

クリスが言い終える前に高杉はさっさと瞬間移動してしまった。

 

「宗兵は大丈夫よクリス。あんたがあいつに惚れてるのは分かってるけど、すこしは仲間を信頼しなさいよ? 」

 

「バ........バカ! 私はあいつのことなんて全然...... 」

 

「お嬢様も、『オトコ』をもつお年頃になられたのでございますね 」

 

そんな会話などつゆしらず、扉の向こう側に移動した高杉だったが、その前に意外な人物がいた。

 

「お久しぶりですね.......あのアパート前の戦い以来でしょうか? 」

 

「お......お前は! 」忘れるはずもないその姿、長髪でポニーテールで巨乳で、おまけに、なんだか露出度の高い服装をし、なにより、とてつもなく長い日本刀を所持する女。

 

「あの日本刀ガールがなぜここに!? 」

 

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