とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある地下での二人少女

とある古城の地下深くにある『地下壕』。そこで2人の男女があいまみえた。

 

1人は科学の象徴、『学園都市』暗部組織構成員の高杉宗兵。もう1人は魔術勢力の象徴、『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔術師、神裂火織。

 

かつて、たった一度、それも一瞬だけしか戦ったことのない2人をここで巡り合わせるとは、運命の女神は皮肉好きと言えるだろう。

 

「あんたは......確か、護の奴が言っていた『魔術師』って奴の1人だったよな? なんでこんなとこにいるんだよ? 」

 

「仕事.....いや、任務の為ですよ。アイルランド聖教からの依頼を受けて、エバーフレイヤ家当主『ジェラルド・エバーフレイヤ』を拘束して、イギリスに送る為にここで待機していたのですが、予想に反してあなたが現れたという訳です 」

 

「ジェラルド・エバーフレイヤって......つまりクリスの父さんを攫うってことか? なんて事をいいやがる! あいつの母さんは死んでんだぞ!? そんなあいつを更に苦しめるつもりかよ! 」

 

高杉の言葉に神裂の眉がピクリと動く。

 

だが、神裂は当たり前のように右手でそれを防ぎ、左手でカウンターの一撃を放つ。

 

その一撃を再び瞬間移動で避わす高杉。広い地下空間で拳と蹴りの応酬が繰り広げられる。

 

「なるほど、前回を教訓にすこしは改善してるようですね......ですが能力者とはいえただの『人間』が私に勝つことは出来ないですよ? 」

 

正面にたつ高杉の瞳に神裂のもつ刀『七天七刀』の放つ反射光が突き刺さる。

 

「七閃! 」高速の抜刀術に偽装した7本のワイヤーを放つ技。まともに食らえば肉など切断されてしまう。だが高杉は瞬間移動の能力者である。

 

「んな攻撃当たるわけねえだろうが! 」

 

再び能力を使用した高杉が移動したのは、神裂の......両足の間だった。

 

「!! なにを..... 」

 

驚愕し、混乱する神裂に高杉は少し苦笑いする。

 

「こんなところクリスに見られたら絶対鉄骨ぶつけられるだろうな.....だが仕方ない! 」

 

神裂の両足をがっちりとつかみ高杉は告げる。

 

「どうだ? 奇跡は起こせるもんだろ? 」

 

瞬間、神裂はその空間(フィールド)から消え失せた。

 

そのとたん、入り口の扉を蹴破る勢いでクリスが部屋に突入してきた。思わず身構える高杉だったが予想に反してクリスからの拳は無かった。代わりにクリスは高杉に思いっきり抱きついた。

 

「バカバカバカバカ!なんで私達を巻き込まないように1人で飛び込んじゃうのよ! わたしたちはチームなのよ!一緒に戦うのが当たり前でしょ! 」

 

「まったく.....私とベネットさんで抑えていたけど、戦闘音が消えたとたん無理やり振り切って飛び込んじゃったのよ。余程、高杉が心配だったみたい。普段は死ねしねいってるくせにね 」

 

呆れながら言う美姫だったが、その口調にはバカにする響きはない。むしろ羨ましい響きがあった。

 

「悪かったよクリス。だからそのさ.........すこし離れてくれねえか? 」

 

そう指摘されて始めて、自分が高杉に完全に密着していることに気づき思わず真っ赤になるクリス。

 

「仲のよろしいことで、良かったですなお嬢様。ところで高杉さま。先ほど戦ってらした相手はどこに消えたのですか? 」

 

高杉は宙をさす。

 

「飛ばしたのさ。俺らがこの国に降りたった場所。ダブリン空港へ 」

 

「あそこから、ここまではかなり遠いんですが........ 」

 

「それが俺の『無限移動』なんだよ。正確な座標と風景さえ覚えていれば、たとえここから日本へでも飛べる。ただ精神状態や体力に影響されれば海にドボンもありえるけどな 」

 

高杉はやっと離れたクリスや美姫と肩を寄せ集めた。

 

「俺が戦った相手は、前に護の奴が言ってた『魔術師』という奴らの1人だ。あと『アイルランド聖教』の依頼を受けてるとか........これはよく分からんけど、クリスの母さんが死んでいるということを否定するような素振りを見せてた 」

 

「それ、本当なの!? ねえ高杉!母さんが生きてるかもしれないの!? 」

 

「詳しいことは分からない。でも、なんでそんなに驚くのさ? 」

 

「........あのね、私の母さんは元々IRAの1人だったの。でもアイルランドが独立を果たしてからは、IRAの穏健派に所属してたの。過激派だったお父様とはそのころ知り合って、すぐに付き合い始めたみたい。でその後、私が6歳ぐらいまではなにごともなく過ぎて行った。でもある年、IRA過激派が穏健派の要人を片っ端から襲撃する事件があったの。事前に父さんから連絡を受けていた母さんはなんとか家からは逃げたんだけど、通りに車で出たとこらでトラックに追突されて海にドボン。ひき逃げだったから、見つかったのはだいぶ後、おかげで母さんの遺体も見つからなかった。私が母さんの薦めもあって学園都市に通うようになった直前だった 」

 

クリスは少し目を伏せた。

 

「私は母さんの遺体を見ていない。だからもしかしたら生きているかも知れない。そんな希望を抱いていたの。もし高杉と戦った相手が嘘つきじゃなければすこし希望が見えてくるってことなのよ 」

 

思わぬクリスの辛い過去に触れるこになってしまった2人は黙って聞くしか無かった。

 

「確かにな......ここを狙ってる『聖騎士団』だっけ?そいつらを捕まえて喋らせれば真実が分かるかも......... 」

 

「それはいけません........お姉さまは、知ってはならないのです 」

 

突然の声に一斉に振り向く4人の前に立っていたのは、見たところ13?14歳の少女たち2人組。

 

「私は、アン・エバーフレイヤ 」「私は、セレナ・エバーフレイヤ 」

 

2人は声を揃えて言葉を放った。

 

「「お姉さま。お父様の為にお姉さまの保護と同行者の排除を開始

 

 

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