とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある姉妹の女神特性

高杉たち4人は異常な状況に混乱していた。

 

目の前に現れた2人組の少女、アン・エバーフレイヤとセレナ・エバーフレイヤ。その姓『エバーフレイヤ』が示すのはただ1つ彼女たちがクリスの関係者ということである。

 

「なあ、クリス........お前に妹っていたのか? 」

 

「ええ、確かにいたわ。でももう何年も前にIRAのテロで2人とも亡くなってるのよ! あんたたち妹の真似なんかして、なんのつもりよ! 」

 

「お姉さま......私達は間違いなくお姉さまの妹です。あの事故で確かに私達は1度死にました。でもお父様が生き返らせてくださったのです。力を与えるという方法で........ 」

 

「そんなはずないわ! お父様がスピリチュアルな事柄にすごく詳しいのは知ってるけど、いくらなんでも.......まさか! 」

 

「ふふ......お姉さまはやはり信じられませんか。だけど関係ないです暫く眠っていてください 」

 

アンの目が赤く光る。その光は否応なくクリスの瞳に突き刺さり.......その意識を奪った。

 

「クリス!? くそ! なにをやった! 」

 

「なに.....すこし寝てもらっただけです。だって......これから始まる戦いはお姉さまには刺激が強過ぎますから 」

 

ニヤリと笑うアンとセレナに思わず身を引く高杉。2人の表情は狂気じみていた。

 

「さて、まずはお姉さまの気にかけるあなたから、血祭りにあげて、お姉さまの心を閉ざしましょう 」

 

「なら私はそっちの子を片付けるわ。良いかしら? 」

 

「ええ、構わないわ 」

 

2人の少女はそれぞれ右手を前に突き出す。

 

「バブドよ! 」「マハよ! 」

 

「「わが身を用いてこの地にいでよ! 」」

 

その途端、2人の体を膨大な闇が包み込む。

 

「これはまさか......魔術!? 」

 

「そうね.......これは、少なくとも科学の範囲には入らない。なによりこの圧迫感......少なくともこの姉妹。普通の人間じゃないわ 」

 

「よく分かっているようですね。ですが分かったところで私達に勝てるとは思わないでくださいよ? 」

 

巨大な闇を払い姿を現した2人は異形の者へとなりはてていた。

 

「驚きましたか?この姿が運命女神であるバブドとマハの象徴たる姿なんですよ 」

 

「バブドは大カラス。マハはカラス。それぞれ戦場ではカラスの姿を取るんです。そして人という容器(いれもの)にそそがれた神が人を通して象徴の姿を取れば......この姿になるんですよ 」

 

2人の体を黒き羽毛が包み込み、その背からは漆黒の黒き羽が大きく広げられていた。

 

「さあ、始めましょう 」

アンとセレナは声を揃える。

 

「「血塗れの歓迎会(カーニバル)を!」」

 

アンとセレナはそれぞれの相手に向かっていく。一直線に明確な意思をもって。

 

「くそが! ベネットさん!クリスを連れて上に逃げて! こいつの狙いは俺たちだ! ベネットさんまで巻き込まれる必要はない! 」

 

「他人の心配をしてる場合ですか? 」

 

白銀に光る剣を一気に突き入れてくるアンに対して、高杉には得物はない。だが、高杉には能力という武器がある。

 

突き入れてくる直前に瞬間移動しアンの背後から鋭い一撃を放つ高杉。だが...........

 

ガギン!と、いう甲高い音とともに高杉の足は黒き翼に防がれた。

 

「鉄板入れてるのに、ふせぐのかよ! 」

 

舌打ちするた高杉に向けてアンはニヤリと笑いかける。

 

「ふふふ.......勝てるかしらね? 」

 

瞬間、アンの体を覆う羽毛が一斉に舞い散った。

 

「つっ!? なにを.....ぐわぁ!? 」舞い散った羽毛の1枚1枚が漆黒の短剣となって高杉の体に突き刺さる。瞬間移動のおかげで全ては刺さらずに済んだが、すでに左肩、右足、わき腹に短剣が突き刺さっている。

 

「ふふふ......そんなていどでお姉さまを守れるつもりだったなんて、片腹痛いですわね 」

 

「そうかよ。だが俺もがっかりだぜ? この程度の攻撃とはな。こんなもの気をつければ簡単に避けれるぜ? 」

 

高杉の言葉に口元を歪めるアン。

 

「私の全力はこんなものなはずがないでしょう? 」

 

アンの翼が振るわれた先はクリスを抱えて逃げるベネット。

 

容赦なく振り下ろされた翼は、ベネットの体を吹き飛ばし、同時にクリスの体を包み込む。

 

 

「お姉さまはいただいたわ。じゃあ、ちょっとお姉さまに協力してもらって手品でもやりましょうか 」

 

その翼が離れた時、そこに広がる光景に高杉は目を疑った。

 

「そんな、馬鹿な! 」

 

信じられないのも、当然だ。なにしろそこにはクリスが10人いたのだから。

 

「先にタネ明かししておくと10人中、9人は偽物よ。1人だけが本物。ただし能力は同一。性格は全員があなたへの敵意しかない。もちろん本物(オリジナル)も今は『敵意』しか残らないように調整してある........さあ、守ろうとした人間に攻撃されるなんて......最高のシチュエーションじゃない? 」

 

アンの言葉を合図に、10人のクリスが一斉に高杉に襲い掛かる。

 

 

一方、姉妹のもう一方、セレナと美希との戦いは、ほぼ互角に進んでいた。

 

「しつこいわね! いいかげんに倒れなさいよ! 」

 

「うるさい!この程度の電撃で倒れてたまるか! 」

 

「だったら砂鉄で切り刻んであげようか!? 」

 

「私の翼に通用さないことはさっき実証したんだけど! 」

 

閃光と爆音、土煙と轟音、いつのまにやら2人は高杉たちのいる場所からかなり離れた場所まで移動して戦っていた。

 

「うん? そういえばここは、どこなの? 」

 

「ふふ.....やっと気づいたか。ここまでお前を誘えれば私の勝ちは決まったようなものだ! 」

 

なにをと言いかけて美希はあることに気づいた。この部屋には無数の『棺』が置かれていることに。

 

「この部屋の名は『霊安場』 」

 

セレナは告げる。

 

「そして、私に宿る神、マハは広大な埋葬地を統治していたとされている.......この言葉の意味わかるかしら? 」

 

美希がなにかを言う前に異変はおきた。部屋に無数に置かれている棺のふたが一斉に開いたのだ。

 

「さあ、起きろ!死人(アンデッド)ども!お前たちの倒す相手はすぐそこだ! 」

 

次の瞬間、部屋一面に置かれた棺から、無数の死人(ゾンビ)が襲い掛かった。

 

高杉と美希はまさしく最悪な状況に追い込まれようとしていた。

 

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