とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある地底の戦闘終盤

 

 

 

「くそが......これで、どう対処しろって言うんだよ?! 」

 

高杉は10人のクリスが放つ無数の鉄球をひたすら避けながら下を噛んでいた。

 

「(どれが本物か分からない以上、迂闊に攻撃はできない.....俺の能力じゃ、相手を飛ばすことはてきても動きを止めることは.......くそ! こういうのは護の奴が1番向いてるんだかな! 」)

 

舌打ちしつつ宙を移動する高杉の視線の先には10人のクリスと1人の少女。魔術師姉妹の姉、アン・エバーフレイヤだ。

 

「ふふふ......お姉さまを傷つけるのをよほど警戒しているようですね.......ならやる気を起こさしてあげましょう 」

 

アンは、羽毛の一枚を剣に変え、近くに立つクリスの腹を突き刺した。

 

「!! クリス! 」口から血を吹き出し、地面に倒れていくクリス。高杉はそちらに向かおうとするが、倒れた瞬間、クリスは羽毛に変わった。

 

「良かったわね?。こいつは偽物よ。でも、次に刺すのも偽物とは限らないわよ? 」

 

悪魔の笑みを浮かべるアンに高杉は苦々しげな視線を向ける。

 

今のままでは完全に手詰まりだ。普段意識しない護や哀歌たち仲間の存在を高杉は嫌というほど思い知らされていた。

 

「はは! やっぱり手も足もでないようですね! そんな甘い気持ちで私達に勝てるわけないんですよ! 」

 

アンの翼から放たれる無数の羽毛が剣となって高杉を狙う。

 

「さあて、どこまでもつか楽しみですね! せいぜい仲間に狙われる苦しみを....... 」

 

アンの言葉は最後まで続かなかった。なぜなら、地下の扉をぶち破り、少女が入ってきたからだ。高杉が待ち望んだ仲間の1人。

 

『竜崎哀歌』が。

 

「待たせたね.......助けにきたよ.....ここは任せて上にいって高杉.......クリスは上よ 」

 

「な......なにを言って....お姉さまはここにいるのですよ? 」

 

「私にまで小細工が通じると思った?......そこのクリスはあなたが羽毛を変化させて作った偽物........女神バブドの特性の1つである戦場での同士討ちをさそうことを利用してるみたいだけど......同じ魔術師の私には一瞬で分かるほど雑な術式ね 」

 

唇を噛み、睨みつけるアンに対して哀歌は明確に言葉を叩きつける。

 

「debita935.....この魔法名に誓い、私はあなたを逃がさない! 」

 

瞬間、哀歌は自分がぶち破った扉を片手で持ち上げ、ブーメランのように『放り投げた』。

 

「!? こいつ、化物!?」慌てて避けるアンを掠めて巨大ブーメランと化した扉は容赦なく9人のクリスを薙ぎ払う。

 

「まじか.....全部本当に偽物かよ! クリスを、俺の仲間を利用しやがって! 」

 

「高杉! あなたが怒りをぶつけるべき相手はこっちじゃない!今はクリスを助けることに集中して! 上に急いで!クリスは父親と共に隠し部屋にいる! 場所は護が教えてくれる! 早く行って! 」

 

哀歌の叫びに、我に帰り、自らの体を転移させようとする高杉に向けてアンの剣が飛ぶが、その攻撃は哀歌の『火竜の怒りをは大地を焦がす』により燃やしつくされる。

 

「どこを狙ってるの?.......あなたの相手は私だよ...... 」

 

哀歌は、アンを睨みつけ、自らの腕を高く上げる。

 

「この地の底で、私の仲間に手を出したこと、永遠に後悔させるから! 現出せよ『破壊大剣(ディストラクション・ブレード)』! 」

 

瞬間、眩いばかりに溢れる閃光と衝撃波にアンの体は包まれた。

 

一方、『霊安場』でセレナ相手の戦いを続ける美希は孤独な戦いを続けていた。

 

棺から無数に溢れ出てくる『死人(アンデッド)』。

 

どこかのホラー映画のように噛まれたら、仲間になってしまう訳ではないようだが、映画以上の俊敏さを持っており、ここは映画通り、頭部を攻撃しなければ即死とらならない。

 

とは言え、電撃使いの美希にとっては最大出力の電撃を浴びせれば大概頭にもダメージがゆくので倒すこと自体には苦労していない、ただ、余りにも連続して能力を使用する場合、『電気切れ』を起こしてしまう危険があるのだ。そうなってしまえば、美希はただの『女子中学生』となってしまう。

 

「まったく.........どんだけ出てくんのよ、あの死人ども......だいたいあの棺からどんだけ出てくんのよ? あの大きさであの数はなしでしょうが! 」

 

そんな事を愚痴っている間に、隙をついてセレナが羽毛を変化させた無数の短矢を浴びせかける。

 

それを電撃で片っ端から叩き落とす美希だったが、ここで遂に電気切れが起きてしまった。

 

「ぐ!?......しまった....... 」

 

「おやあ? 電池切れかな、ビリビリちゃん? そのままだと死人どもの仲間入りだよ? 」

 

嘲笑するセレナに向けて美希は目線を向ける。

 

「分かった......私の負けよ.....好きにすれば良いわ。その代わり、一つ教えて欲しい事があるの...... 」

 

「なに? 」

 

「あなたを助けたお父さんは、なにを企んでるの? 」

 

セレナは口元を歪める。

 

「話す義理なんてないけど、まあ冥土の土産に教えてあげる。お父さまが為そうとしてるのはイギリスの占領よ。かつてアイルランドを支配したイギリスを今度はこちらが占領するのよ?こんな愉快な話をないじゃない! 」

 

「は....はは.....はははははは! 」

 

突然、笑い出す美希を怪訝な目でみるセレナ。

 

「なにが可笑しい! 」

 

「いや......なんだ、そんなショぼいことのために、こんな力を使ってるなんて知らなかったからさ......なんだ、私はてっきり世界征服とか考えてるのかと思ってたけど.......なんかえらく外れたわね......なんか、アンタを潰すのも馬鹿らしくなってきた......だから......アンタじゃなくて、こっちを潰す! 」

 

美希の目がキラリと光ったのをセレナが確認した次の瞬間、霊安場の4方の壁が突如崩れ、部屋を地下の照明が照らし出す。

 

動いていた死人たちは、一様に身悶えし、次々と倒れていく。

 

「バカな........なぜ、貴様に力が残っている? 」

 

「逆に聞くけど、私が一度でも力を使い切ったと言った? この死人どもが霊安場入り口に近づかないのに気づいて閃いたのよ。この死人どもは『霊安場』という環境の中でしか活動できないんじゃないのかってね.......大当たりだったわ! 」

 

見抜かれて動揺する、セレナの足元が四角に区切られ、彼女の体は穴に落ちていく。美希が砂鉄を操ったのだ。

 

「これで終わりよ、セレナ。しばらく眠りなさい! 」

 

穴に向けて雷撃のヤリが放たれ、戦いに終止符が打たれた。

 

 

 

 

 

 

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