とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある支部での事実確認

「あ、お帰りなさい白井さん…..ってだれなんですかその人?」

 

黒子に有無を言わさず連れてこられた風紀委員第177支部に入ったとたん妙に甘ったるい声が護の耳をうった。

 

「それを知るために、ここに連れて来ましたの…初春、この方がバンクのデータに乗っているか確認なさい 」

 

「はあ…わかりました白井さん。ところで、お名前はなんというんですか?」

 

突然、質問されあわてながらも、護は自分のフルネームを答えた。

 

「わかりました。古門護さんですね。すぐに調べます。」

 

そう言って常人ではできないスピードでキーボードを叩く初春を見てだいたいしってるけどここまでとはね……と素直に感心した護だが、同時に不安もいっぱいあった。

 

まず、ここが学園都市ならバンクにすべての学生の情報を保存しているはずである。

 

即ち、気がついたらここにいた自分がデータに残っているはずがなく、一発でよそ者だとかってしまう。

 

次に、もしバレれば不法進入で外に出されここ以上に知識がない外の町を彷徨うことになる。

 

それは絶対にさけたい。

 

なんとか言い訳を考えようと、思考の迷路に入りかけていた護だったのだが……

 

「検索、終わりました。護さんはちゃんとデータが残ってます。一昨日付で学園都市の住民登録がなされていますよ。」

 

思いがけない言葉に、護は自らパソコン画面に映し出されているデータを確認する。

 

そこには、どこで手に入れたのか無表情な護の顔写真と生年月日家族構成等々が書いてあった。因みに護は孤児である。

 

「えっと住所は、第7学区の…このアパートですね。」

 

そう言われても護にはさっぱり分からない。

 

「とりあえず、そこまで私が案内してさしあげます。初春! そのデータをコピーしてくださいな。」

 

印刷機からでたデータをチラッとみただけで、もう憶えたのか黒子はふんふんと頷くと、護に向き直った。

 

「一緒について来てくださいな。ついでにいくすがら学園都市の説明もして差し上げます 」

 

そう言われ、ありがたくそうしてもらうことにした護だったが行くすがら聞かされた話はだいたい知っていることだったので記憶がないふりをするのは大変だった。

 

そんなこんなでやっとアパート前につくと黒子は管理人らしきお姉さんとなにか話したあと、護に部屋の鍵をわたした。

 

「この部屋があなたにあてがわれた部屋ですわ。管理人さんのお話ではすでに業者の人が色々と荷物を運んでいるそうですから、たぶん部屋の内装などは完了していると思いますの。それと、なにやら無印の手紙がきてるそうですわよ。まあ、なにはともあれ、わたくしはお役ごめんということで帰らせていただきますわ。ああ、お姉さま! 」

 

なんか一方的に言われて、いくつか質問したかったのに黒子は、さっさとテレポートしてしまった。

 

「まあ、悩んでても仕方ない。とりあえず、部屋にはいろう 」

 

管理人さんに部屋のある階を聞き、エレベーターで3階にあるその部屋に向かう。

 

「すでに表札かかげてあるし…どうなってんだろ? 」

 

色々と疑問におもう護だったがとりあえず、中に入り……おもわず目を疑った。

 

部屋の中には、(なぜか)大きなタブルベットがドンと置いてありそれを置いても差し支えないくらい広々としている。

 

なんか最新っぽいハイビジョンテレビや、ハイテクすぎでどう扱えばいいか困るようなマッサージ機能つきの椅子など、誰がそろえたのかと気になるぐらい大量の家具がおかれていた。

 

「そういえば、手紙があるとかいってたよな…」

 

部屋のインパクトある内装に、気をとられすぎたがようやく肝心なことを思い出し、郵便口にさしてあった便箋をとり、机に置く。

 

つばを飲みながら便箋を切ると、中には一枚のコピー用紙が入っておりそこには護がこれから通う高校の名と、追伸として次のようなことが書かれていた。

 

『君が異世界からきたことは承知している。だが心配するな、私が君の邪魔にならないていどにサポートする 』

 

「僕が違う世界からきたことを知っている人がいる? 」

 

護にとってこれは結構衝撃的だった。

 

いったい誰が自分を支援してくれてるのか。

 

そして、一体なんの目的で援助するのか。

 

謎だらけである。

 

「ふう……いま、考えても仕方ないか。学校に通うのは2日後と書いてあるし、あしたここの人達に場所をきいたり、街を見て回ろう。とにかく今日はなにもかも急すぎで疲れた……..... 」

 

護は部屋のタブルベットに転がり、天井を見上げた。

 

「ここで寝て、目覚めたら戻れんのかな?…....当たり前の日常がこんなに恋しくなるなんて、元の世界では違う世界にあこがれて、違う世界では元の世界が恋しくなる……僕ってバカだな 」

 

自嘲しながら、護はまぶたを閉じた。

 

護は、まだこの世界を受け止められてはいなかった。

 

だが護が迷い込んだこの世界はすでに彼を取り込み始めていたのである。

 

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