とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある部屋での真相暴露

 

 

 

 

 

 

「お前....いったいいつの話をしてんだよ 」

 

「なに? 」

 

「そういうことだ。インデックスはとっくに救われてるのさ。君ではなくここにいる上条当麻の手によってね。君にはできなかったことをこいつはもう成し遂げてしまったんだよ。ローマ正教を裏切り3年間も地下に潜っていた君には知る由もなかったろうがね 」

 

「そんな....馬鹿な。ありえん、人の身で....それも魔術師でもなければ錬金術師でもない人間にいったい何ができると言うのだ! 」

 

「必要悪の教会 (ネセサリウス)の、イギリス清教のこけんに関わるので多言は控えるが....そうだねぇ、こいつの右手は幻想殺し(イマジンブレイカ―)と言う。つまり人の身に余る能力の持ち主ってわけだ 」

 

「まて、ならば....」

 

「そう....君の努力は全くの無駄骨だったというわけだ。だが気にするなインデックスは君の望んだとおり今のパートナーと一緒にいてとても幸せそうだよ 」

 

護がようやく最上階にたどり着いた時、アウレオルスと上条・ステイル両名の会話は重要な局面まですでに進んでいた。

 

護は痛む体をさすりながら上条とステイルの様子を見る。

 

護は即座に部屋に入ろうとはしなかった。今部屋に入ってもこの後アウレオルスがやり場のない怒りにより豹変した時『倒れ伏せ侵入者ども!』の言葉通り侵入者として地面に問答無用で倒されてしまう。ならば今はアウレオルスにその気配を悟られない方がよい。

 

そう判断して護は部屋の入口の壁の向こう側に身を潜めつつこっそりと様子をうかがう。

 

本心から言えば今すぐ緋炎之護を振りかざしてアウレオルスに投げつけたい気持ちだったが、さすがに護もそこまで馬鹿ではない。今の自分がここで介入してもアウレオルスには勝てないということは先ほどまでの戦いで嫌と言うほど身にしみた護だった。

 

「! 」

よほどショックが大きかったのだろう。

 

アウレオルスはそのままよろよろと後ろに下がり机に手を置きなんとか体を支えているがそれがなければ倒れそうだ。その瞳は動揺に揺れている。

 

その横には護達が助け出そうとしていた少女。姫神秋沙が佇んでいる。その表情からはなにを思っているのかは読みとれない。

 

その時机の上に寝かされているインデックス (原作の展開通りになっているところから考えるに恐らく上条からの電話イベントの後原作通り訝しんでここまで来てしまったのだろう )の口から声が漏れた。

 

「とうま.... 」

 

その場の全員の視線がインデックスに向けられる。

 

「とう....ま 」

 

かつての少女ははっきりと今代のパートナーの名を呼んだ。その事実にアウレオルスの表情が歪む。

 

「インデックス! 」

 

思わず叫んだ上条の声に重ねるようにインデックスは呟いた。

 

「とうま....」

 

直後、おなかの鳴る愉快な音が部屋中に響き渡った。

 

「おなか減った 」

 

上条は思わずずっこけかけ、ステイルは壁の方を向いて笑いをこらえ、護は原作通りの流れに思わずため息をついた。

 

「りんご....りんごは....青森..... 」そのあまりのほのぼのとした風景にここがシリアスな場面だということを一瞬忘れかけた護だったが直後に聞こえてきた笑い声に表情を引きしめた。

 

「ふ....ふふふふふ....ハハハハハハ....ハハハハハハ! 」

 

突然笑い出したアウレオルスに護はいよいよ来たかと感じた。この流れで行くと、ここからアウレオルスの暴走が始まる。

 

「倒れ伏せ! 侵入者ども! 」

 

その言葉と共に上条とステイルは問答無用で地面へと叩き伏せられる。

 

「く! 」

 

「つ! 」

 

苦痛に顔をゆがめる2人に向けアウレオルスは明確な憎悪のこもった瞳を向ける。

 

「わが思いを踏みにじり....わが殊勲をあざ笑い! よかろう....この屈辱、貴様らの死で贖ってもらう! 」

 

「待って! 」

 

「姫神.....やめろ! 」

 

上条の声は姫神を止めることはできない。

 

「分かる。私、あなたの気持ち 」

 

「そいつは...もう.... 」

 

「でも違う、今のあなたは....」

 

「もう....お前を..... 」

 

「知ってる。私、本当は 」

 

上条は動かぬ体を無理やり動かしその右手を口元に持っていこうとする。

 

「本当のあなたは! 」

 

アウレオルスが首元に鍼をさすその瞬間、上条は右手の指を歯でかんだ。いかなる異能の力でも打ち消す幻想殺し(イマジンブレイカ―)によって上条を抑えつけていた戒めが消える。

 

「死ね 」

 

その一言が姫神秋沙の運命を強引に決定する。彼女の体がゆっくりと地面に倒れていく。

 

 

「姫神ぃぃぃ!! 」

 

駆け寄った上条が素早く姫神の体を支えるが彼女はぐたりとしたまま動かない。

 

「んふはは…..吸血殺し(ディープブラッド)など最早不要。悠然、約束は守った。これでその女も己が血の因果から解き放たれたであろう! 」

 

高笑いを続けるアウレオルスだったが直後に異変に気付いた。

 

自らの完全なる錬金術『黄金練成(アルス=マグナ)』。何人たりとも逆らうことはできぬ絶対的な決定力。その力を持って明確な死を与えたはずの姫神の体がかすかに動いている。

 

「ん....はあ!はあ.....」

 

姫神が息を取り戻したのだ。

 

「な.....我が黄金練成を打ち消しただと? あり得ん、確かに姫神秋沙の死は確定した。その右手、聖域の秘術でも内包するか!? 」

 

「ごちゃごちゃうっせえ、んなこたもうどうだっていいんだよ 」

 

上条はアウレオルスの前に立ち上がる。彼と対等にやりあえる敵として。

 

「良いぜ....てめえが何でも思い通りにできるってんなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」

 

それが戦いのコングとなった。

 

アウレオルスと上条は正面から睨みあう。

 

ここまでは原作の通りだった。だが刹那、明らかに原作では起きない事象が発生した。

 

「降伏しなさい上条当麻。じゃなきゃこの子を燃焼させちゃうぞ? 」

 

一体どこに隠れていたのかステイルと同じ赤髪の少女が姿を現したのだ。

 

その両手は赤い装甲で覆われておりロボットの腕のようだ。

 

髪、瞳共に深紅でありその体の随所を覆うプロテクターも深紅。

 

その少女の姿に護はクリスが言っていたことや高杉が回してきた情報のことを思い出していた。

 

学園都市に許可なく侵入し、哀歌に重傷を負わせ、三沢塾を狙い、哀歌との戦いの後消息不明になった炎を自在に操る侵入者。その名は火野咲耶。

 

「突然.....なんのつもりだ? 」

 

「笑止....あんたが奴を殺しやすいように手助けしてるだけじゃない 」

 

咲耶はその装甲腕の掌に空いた穴をインデックに向けている。

 

上条が少しでも行動を起こせば容赦なくインデックスを焼こうと言うのだろう。

 

「あんたにとってこの子はかつては守りたいと願った存在かもしれないけど………今のこの子はあんたが守りたいと願った3年前の少女じゃないわ。したがってこの子をあなたが見殺しにするのを躊躇う理由はどこにもないのよ 」

 

その言葉にアウレオルスの表情が揺れる。アウレオルスもかつてのインデックスのパートナーの一人。誰よりもインデックスを大切に思い。誰よりも彼女を救うために奔走し。その結果敗れた者だ。今ここにいるのがかつて自分を思ってくれたインデックスではないのは重々アウレオルスも理解していた。それでも目の前に横たわる少女の姿は間違いなく自分が救おうとした少女なのだ。

 

「惑わされてはいけない! アウレオルス=イザ―ト! 」

 

その時部屋一帯に声が響いた。

 

その声の発生源にその場の全員の意識が向く。

 

そこには緋炎之護の柄を右手に握りしめ、入口に佇む護の姿があった。

 

「ここに倒れるかつてのインデックスのパートナーの一人、ステイルも自分がインデックスを救うためにできることだと信じていた役目を上条の右手によって否定されたんだ。それでもステイルはそれを受け止めて、これからもかつて自分が助けようとした少女に誓った約束のために生きていくことを選んだ。それに比べてあなたはどうなんだアウレオルス。今ここにいる少女はかつて助けようとした少女ではないから殺しても良いと一瞬でも思ったのならそれは間違いだよ。あなたは何のために力を持った?その力で何を守りたかった?自分のことをもう少女は覚えていない。だったら殺しても構わない。そんな考えのもとにあなたは力を持ったわけじゃないはずだ! 」

 

護の言葉に耐えきれなかったのか、アウレオルスは顔を横にそむける。

 

「うるさいわね……その口燃焼させてあげようか? 」

 

咲耶はその肩に背負っていた袋から日本刀を取り出した。

 

それを両手で握った途端、その刀身を深紅の炎が包み込む。

 

「私にはここでこの男に降りてもらうわけにはいかないの。べらべらしゃべって勝手にこの男の気持ちを変えてもらっては困るのよ 」

 

咲耶はその炎刀の切先を護に向ける。

 

「紅蓮の炎に沈め、重力掌握! 」

 

咲耶が振り抜いた炎刀のその刀身を包み込む炎が一気に波となって護に襲い掛かる。

だが、護はそこで終わらなかった。

 

護は通常ならあり得ないスピードで跳躍し横に長く迫る波を飛び越えた。

 

体内からルーが助けをしている関係で今の護は人間として出すことのできる最高の身体能力を駆使していた。

 

思わぬ事態に咲耶は第2波を放とうと再び炎刀を振りかざそうとするがそれより早く護の十文字槍が横なぎに振るわれる。

 

間一髪、その一撃を神業的な剣技で防いだ咲耶だが勢いは殺せずそのまま窓ガラスを割って外に吹き飛ばされた。

 

最上階から一気に真下へと落ちていく咲耶。もろに地面に激突し凄まじい音が響き渡った。

 

「上条、アウレオルスを君の右手でその混沌から救いあげてくれ! 僕はあの少女を、咲耶を抑える! 」

 

「分かった。任せとけ護 」

 

首を縦に振り頷く上条に拝み手をし護は階段に向かった。

 

護は階段を駆け下りながら思った。

 

上条さんならきっとアウレオルスをその右手で打ち破り、その彼が陥っている混沌と幻想をブチ壊してくれるはず。なら自分がやるべきことはその彼の戦いを邪魔する、自分が来たことで生まれた可能性の高い不確定要素となった人物。火野咲耶を抑えることだ。哀歌と互角にやり合い重傷を負わせたような相手があの程度でやられるとは思えない。

 

「火野咲耶.....彼女が何者かは知らないけど....作品の根本的な流れを変えさせるわけにはいかない.....学園都市第4位、古門護の名にかけて! 」

 

 

 

 

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