とある世界の重力掌握   作:烈火信仁

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とある両者の女子寮探索

「本当に良いのか? 」

 

「咲耶が援護に向かったそうだし、何とかなると信じるよ。敵に回せば彼女は恐ろしいけど味方としては哀歌と同等の実力者だからね 」

 

そんな会話をしながら護と高杉は上条が来るだろう場所に向かっていた。

 

その場所とは常盤台中学女子寮。

 

原作で上条が大勢の妹達(シスターズ)と遭遇したあと、事実を確かめようと美琴に会う為に来るのがここだった。

 

正直なところ護としては、どのタイミングで上条と再び合流すべきか迷った。

 

ミサカ10031号が一方通行(アクセラレータ)に殺されるのを本当のことを言えば止めたいと思っていたからだ。

 

だが今までの先例から、作品の根幹の出来事に介入してしまえばその先が本来と違う結末になりかねないことは分かっている。

 

よって考えた末に護がとった決断はあえて10031号と一方通行との戦闘は見過ごし10032号、及び美琴、上条の保護を優先するというものだった。

 

「時にリーダー。上条当麻........あいつが計画を止める鍵になると言っていたが、本当にあの第1位を倒せるのか? あいつにはリーダーでも敵わなかったんだろ? 確かに奴の右腕の特殊性は凄まじいが、それ以上に第1位の能力もヤバイもんだぜ? 」

 

「確かに第1位.......アクセラレータは強い。でも上条ならやってくれる。あいつの力は異能の力に対してはそれがどんな強力な力でも打ち勝てる可能性を秘めてる。僕は上条にかけるよ 」

 

「まあリーダーがそう言うんならこれ以上俺は言わんけどな........お、あれ上条じゃねえか? 」

 

高杉の言葉に付近を見渡す護の目に向こうから女子寮を目指して歩いて来る上条の姿が映った。

 

「上条! 」

 

「お前、護か? そちらは高杉........なんでお前らがここに? 」

 

「ちょっとな.......上条を待ってたんだ。今上条が巻きこまれている出来事に僕達も関わっているから 」

 

「! どういうことだよ! 」

 

「上条は会ったんだろ大勢の美琴の妹達に、そして見たんだろ血塗れになって路上に横たわる妹達の1人の死体を 」

 

「なんでそれを? 」

 

「僕には未来が少しわかる。だから知ってるんだよ。上条、それについては後で話す。今は落ち着いて僕の話を聞いて欲しい 」

 

「話? なんの話だよ? 」

 

「あの大勢の妹達と美琴との関係だよ。そしてその妹達が巻き込まれている悲劇について 」

 

その後の数分間で護は上条に全てを話した。

 

妹達のこと、アクセラレータのこと、美琴がやろうとしていること、それらを聞いた上条は首を捻った。

 

「信じられねえ.......大体クローンの製造なんて法律違反だろ? だったら理事会なんかに報告しちまえば........ 」

 

「馬鹿かお前は。常にこのまちは衛星で監視されてんだぞ? 統括理事会も黙認してんだよ 」

 

高杉の言葉に納得がいかない様子の上条を見て護はここは原作通り行くしかないと判断した。

 

護は拠点から持ってきていた常盤台中学女子寮の地図 (SASからの支給品)を高杉に見せつついった。

 

「高杉、この女子寮の構造は大体分かるよな? この部屋に僕達を瞬間移動させてくれ 」

 

 

 

「正直、護さんがいなかったらその類人猿をぶん殴ってやろうかと思いましたの 」

 

「ごめん。にしても会うのは久しぶりだね白井さん 」

 

「ええ多分、始めてあった時からまったく顔を合わせていなかったと思いますわよ。ところでいったい何の用事でこんなところに瞬間移動してきましたの? 」

 

白井の問いに護は即答した。

 

「ちょっと美琴のベット下のガサ入れにね 」

 

はあ?という顔を白井がした時階段を上がってくる音が聞こえてきた。

 

「マズイですわよ!寮監が上がってまいりましたの! 」

 

「だったら僕と上条はベットの下に隠れてるよ。さあ上条早く! 」

 

「ちょ.....護? 」

 

半ば強引に狭い美琴のベット下に上条を入れ自分も入り込む。

 

こうして野郎2人が乙女のベット下に潜むというシュールな光景が出来上がったがそれを作り出した本人にしてみれば真面目な行為である。

 

『てめえ護......なに考えてんだよ?』

 

『静かにするんだ上条。えっと確かこの辺りに......これだ! 』

 

小声で話しながら護が差し出したのは一枚の紙と地図、そこには護や上条が巻きこまれている計画について記されている。

 

『............これは.......この地図の中に書き込まれている印は何なんだ? 』

 

『それは......美琴が計画の妨害の為に潰そうとした施設の場所だよ 』

 

『じゃあ本当にビリビリは.... 』

 

『ああ、彼女は計画に巻き込まれてる。というか計画の発端となったのが彼女だ。そして事態は美琴1人がどうにかできるレベルをとうに越えてしまってる。だから彼女は最後の手段を取って計画を潰そうとしてる。上条にはそれを止めて欲しい 』

 

『最後の手段........おい、まさかそれって....... 』

 

『ああ、最悪な結末に繋がる方法だよ美琴がやろうとしてることはね 』

 

護の言葉に黙り込む上条。彼に取ってこれはかなり重い問題であるはずである。

 

だが上条は頷いた。

 

『俺の幻想殺しでどうにかできるならいくらでも協力するぜ。だけど護、なんでお前自身はいかないんだ? 』

 

『美琴を今の状態から救うことは僕には出来ないからだよ。僕は計画の要である一方通行(アクセラレータ)に勝てなかった。だから直接計画を止めることは出来ない。だから上条には悪いんだけど援護とサポートに徹することにしてるんだ 』

 

そこまで話した時、ひょこっとベット下に黒子が顔を覗かせた。

 

「寮監はいなくなりましたわよ。行くのなら、今のうちですわよ? 」

 

「ありがとう白井さん。じゃあ上条、今から高杉を呼ぶから上条はお前が夏休み前最後の日に美琴に雷落とされた鉄橋に向かってくれ 」

 

「分かった。護はどうするんつもりなんだ? 」

 

「僕は操車場に向かう。上条が来るまでにサポートの用意が必要だからね 」

 

上条は護がなぜ操車場に行くかを聞かなかった。それは護を信頼しているからこそだろうか。

 

とにかく2人は動き出した、学園都市の闇が生み出した計画という名の虐殺行為を止める為に。

 

 

部屋にいた白井は、護たちの話を聞いていなかったらしく護と上条にとくにつっかかる事もなかっので護は心中ほっとしていた。

 

上条は既に鉄橋に向けて移動しているため後は高杉と護が操車場に行くだけである。

 

「なあリーダー。アクセラレータの能力(ちから)はベクトル操作って言ってたよな? となると俺の得物は通じない.......瞬間移動を利用した格闘も通じない.......正直、敵う気しないぜ 」

 

「それはそうだよ。あの第1位には第4位である僕も第3位である美琴も勝てない。正直、あいつに僕らは打つ手がない 」

 

必ずしもではないけど........と心中で護は呟いた。

 

アクセラレータに対して前回の戦いで護の緋炎之護による魔術的攻撃は多少なりと効果はあった。

 

つまり魔術攻撃ならアクセラレータにダメージを与えられるということなのだが........

 

「(吸血鬼であるセルティは行方不明、哀歌は傷を負って行動不能と来てるからな.......緋炎之護の長時間の使用は体に負荷がかかることが前の戦いで分かっている僕ではアクセラレータに致命的なダメージを負わせられない........SASの魔術使用者である2人も例の襲撃者のために出払ってるし........ こういう時に.....) 」

 

「救民の杖みたいな組織の協力があればな?ですか? 」

 

「そうそう救民の.......ってはあ? 」

 

「お前いつの間にそこに!? 」

 

護と高杉の驚愕も当たり前で、護に言葉をかけてきた女性は全く気配を感じさせないまま護たちの近くまで来ていたのだ。

 

その女性の顔に護は見覚えがあった。

 

「君は........ 」

 

「覚えてましたか。お久しぶりです護さん。救民の杖のナタリーです 」

 

「なぜにナタリーさんが学園都市に.........ていうか前と格好が違いません? 」

 

「さすがにこの街であの姿は目立つので........一応、この街の大人のデザインに合わせてるんですけど...... 」

 

もしかして浮いてます?といった感じに不安げな表情をするナタリーに首を振って否定する護。

 

「そうですか、良かったホッとしました 」

 

安心した表情を見せるナタリーに高杉が疑問を投げかけた。

 

「なんで魔術組織の一員であるアンタがここにいるんだ? 」

 

「ついでに聞きたいんだけど、さっき僕の心を読まなかった? 」

 

2人の質問に少し苦笑しながらナタリーは答えた。

 

「まず私がこの街に居る理由ですが.........それはこの街で計画されている『人造神計画』という計画を止める為です。念の為に言いますけどこれに関しては統括理事長と交渉して許可を貰ってます。次に心を読んだかについてなんですけど.....はい、確かに読みました 」

 

ナタリーの返事に護と高杉は同時に黙り込む。

 

この時高杉は内心で呟いていとある人物への心の声を聞かれたのではないかと思っており護は護でさっき心の中で思っていたことをスバリ読まれていたことに恥ずかしさを覚えていた。

 

「あの......どうやって心を? 」

 

そう言う護に答えて、ナタリーはズボンのポケットから一枚のカードを取り出した。

 

「生命樹(セフィロト)と言うものを知っていますか? 私はそれを利用した術式を扱うセフィロト使いなんです。そして今護さんの心を読んだのは、このカードが示す象徴の為です。詳しい話をすると長く長くなるんですけど........ 」

 

そう言いかけたナタリーを護は手で制した。

 

「その話しは後で.......今は僕達にはやらなきゃいけないことがあるから。心を読んでいたナタリーさんなら分かると思うけど....... 」

 

「ええ、アクセラレータというこの街最強の能力者が妹達(シスターズ)という女の子を殺さないように牽制するんですね? 」

 

「その通りです。協力してもらえますか? 」

 

護の言葉にナタリーは頷いたがその表情にはどこか申し訳なさげな色があった。

 

「本来任務ではないですけどリーダーを救ってもらった恩もありますし協力させてもらいます。ただ...... 」

 

「ただ、どうしたんだ? 」

 

高杉が問う。

 

「今日は日曜日。生命樹(セフィロト)カードを使った術式は曜日に左右されます。なので今日使えるのはこの3枚だけなんです 」

 

そういってナタリーが出したのは、3枚のカード。

 

1枚目は真っ白なカードで数字の1と冠を被った王の姿が描かれており、そのカードのふちを小さなダイヤモンドが覆っている。

 

2枚目は灰色のカードで数字の2と髭をたくわえた尊厳ある顔つきの男が描かれており、そのカードのふちを小さなトルコ石が覆っている。

 

3枚目は、黄色のカードで数字の6と太陽が描かれており、そのカードのふちを小さな金が覆っている。

 

「一枚目と二枚目は曜日に関係無く使えるカードで三枚目は今日しか使えないカードです。その内二枚目の知恵のラツィエルは護さんたちの心を読んだ時に使ったもので攻撃するためのものではないので実質的に扱えるのは2つきりです。だからあまり役立てないかもしれません。 それでも構いませんか?」

 

細やかな説明を制しておいたのに普通に話したナタリーに若干呆れつつ、それでも構わないと頷いた。

 

こうしてナタリーを加えた一行は星が光り始めるころ操車場に到着した。

 

暗いな.......というのが護が抱いた印象だった。

 

まだアクセラレータは実験を始めていないのだろう操車場は静寂に包まれている。

 

「時間的にはそろそろ実験が開始されても良いはずの時間帯なんだけどな....... 」

 

「ああ、リーダーの予言通りならそろそろのはずだが...... 」

 

そういって不安げに周りを見渡す2人。

 

その時だった。

 

「あなたたちは何故ここにいるのですか?とミサカは確認を取ります 」

 

その探していた声に振り向く護。

 

「良かった......10032号だろ? すまだ実験は開始されてなかったんだね? 」

 

そう安堵する護だったが、直後に彼女が放った言葉は護を混乱の渦に叩きこんだ。

 

「あなたが言う10032号はミサカではありません、とミサカは否定します。ミサカのシリアルナンバーは19090号ですと念の為にミサカは付け加えます 」

 

「じゃあ、10032号は? 」

 

「まもなく始まる実験の為に所定の場所に待機しています、とミサカは説明します 」

 

「じゃあどうしてここに? 」

 

「実験を阻止しようとするあなたに会う為です。とミサカは説明します 」

 

「なんでそれを!? 」

 

驚く護の手をミサカ19090号は握った。驚いて彼女を見る護はミサカ19090号の瞳が涙で潤んでいることに気づいた。

 

「(妹達(シスターズ)には感情の起伏がないはずなのに......) 」

 

 

「他のミサカたちが見たあなたの行動や、布束砥信の言葉から判断しました。間違ってはいないですよね?とミサカは確認をとります 」

 

少し感情に揺れる声で話す19090号の表情には悲哀と懇願の色が見てとれた。

 

本来ならなぜ19090号が、こうなっているのか聞くところだか今はそんなことをしている時間ではない。

 

「間違ってはいないよ。確かに僕たちは計画を止めようとしてる。だから案内してくれ、アクセラレータと10032号がいる場所に 」

 

護の言葉に頷き、走り出す19090号の後を護たち3人はついて行く。

 

闇が生み出した計画をめぐる戦いは最終局面を迎えようとしていた。

 

 

 

 

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