Muv-Luv〜wing of white steel〜 作:lancer008
伊藤達は、前線基地から後方約5キロ地点にある補給基地に降り立っていた。
伊藤や黒鉄が乗る機体の回りには多くの人が集まっていた。理由は皆同じだった。今まで見た事もない戦術機で、独特の形をしていて、見た事もない武器を装備していたからだ。明らかに従来使われている突撃砲からは掛け離れていたからである。
伊藤はふとレーダーを見るとこちらを囲むように接近してくる戦術機部隊がいる事に気付いた。レーダーから目を離し正面を見るとジャール大隊の機体だとわかった。
ラトロワ「そこの白と黒色の機体!所属を述べよ」
伊藤の方は出撃する際にIFFを設定してきたため何も言われなかった。
黒鉄「こちらは日本帝国斯衛軍第20独立遊撃小隊所属並びに本日付けで国連ユーコン基地アルゴス試験小隊に転属となった黒鉄 達海少佐だ。昨日中に連絡はした筈だが?」
ラトロワ「待て、今確認する」
数秒後
「確認取れました。昨日の午後5時過ぎに連絡が入っていたということです」
ラトロワ「了解した。すまないな。こちらの手違いで」
黒鉄「いやいや、こちらも前々から連絡しておけばよかったんだがな。急な連絡ですまない」
黒鉄はラトロワとの回線を閉じ、伊藤に繋げた。
黒鉄「補給はどうすればいい?推進剤がギリギリだ」
伊藤「そうだな俺の機体が使っていた格納庫に行くか?こことは別の基地なんだが」
黒鉄「そうしよう」
伊藤「上総、応答してくれ」
上総「何?」
伊藤「俺と黒鉄はこれからカムチャッカ基地に戻る。上総は唯依とともにここに残ってくれ。何かあったら直ぐに駆けつける」
上総「わかったわ。伊藤!」
伊藤「はい⁉︎なに?」
上総「基地に着いたらそこのバカを殴りなさい!いいわね」
伊藤「yes sir!」
伊藤は、上総からのあまりの気迫に了解してしまった。
伊藤は、黒鉄を急かすように直ぐにカムチャッカ基地に向かった。
伊藤「後でちゃんと話してもらうぞ」
黒鉄「ああ、後でな。場所はユーコン基地にしてくれよ。ここでは、あまり話したくはない」
伊藤「わかったよ。あと着いたら殴るから」
黒鉄「いいよ。そのくらいの権利はあるよ」
一方、全試験小隊には即時帰還命令が出されていた。理由は光線属種が確認されたため司令部から即時全戦闘停止し24時間以内に撤退せよとのことだった。その為、補給基地では撤退準備が進められていた。
殆どボロボロの心神からユウヤが降りてきた。機体の前には唯依が居たので、唯依のところにまっすぐ向かった。
ユウヤ「ボロボロだが帰って来たぞ。次いでにコアモジュールも一緒にな」
唯依「よくやった。怪我とかはないか?」
ユウヤ「ああ、大丈夫だ。中尉の方こそ大丈夫か?」
唯依「私は大丈夫だ。着いてすぐ悪いが撤退することになったから撤退の準備をしてくれ」
ユウヤ「わかった」
ユウヤは唯依の元を離れアルゴス小隊メンバーの元へと向かった。唯依の元に上総がやって来た。
上総「なんで、そこで抱きついたりしないかな?」
唯依「上総、何言ってんのよ」
上総「図星でしょう。もっと素直になった方がいいわよ。あと、撤退するにあたって唯依は私の機体に乗っていけだって」
唯依「わかったわ」
補給基地にいた国連軍部隊は撤退を開始しカムチャッカ基地に向かいナイトメア隊と合流後、輸送船に乗りユーコン基地を目指した。
ユーコン基地に着き、全部隊に3日間の休暇が与えられた。休暇の最初の日、唯依の部屋に上総と伊藤、黒鉄が来ていた。黒鉄がいなくなってからの出来事やこれまで黒鉄が何をしていたのか話していた。
唯依「だいたいはわかった。もう暴走する心配はないと?」
黒鉄「ああ、そうだ。これからは一緒に戦っていけるよ」
上総「ほんとに暴走しない?」
黒鉄「ああ、しない。次、暴走したら自我は保てないだろうその時は、伊藤。俺を殺してくれ」
伊藤「それはわかったが、Ex-sではお前の機体には勝てんぞ」
黒鉄「そのために今、機体を作っているところだ」
伊藤「準備は整っているということか。俺の時もそうしてくれ」
唯依と上総は聞いていたが、あまりの内容のため上総が声を出した。
上総「ちょっと、どんな話ししてんのよ!」
伊藤「どんなて、もしもの時の話だよ」
黒鉄「もしものな」
唯依「んで、ここに話をしに来たのは昔話と今の話だけではないでしょ。黒鉄」
黒鉄「そうだ。本題はここからだ」
黒鉄は本題を話し始めた。今後のことについても。
黒鉄「本国から人を送ってほしい」
唯依「人?」
黒鉄「ああ、海軍の船にはもうギリギリのがあるだろう?そこから人を引っ張って来てほしい」
唯依「なんで?」
黒鉄「その理由は、これから行く場所にある。詳しい話はあいつらが来てからにしよう。もうそろそろ来ると思うが」
唯依「行く場所?」
ドアを叩く音がした。
ユウヤとヴィンセントが入ってきた。黒鉄は、伊藤に頼みユウヤとヴィンセントを呼んでもらっていた。
伊藤「やっと来たか。せっかくの休暇で悪いがこっちに付き合ってもらうぞ」
ユウヤ「付き合うて、どこに行くんだ?」
伊藤「その説明は黒鉄から頼む」
黒鉄は敬礼をした。
黒鉄「面と向き合って話すのは、初めてだな。黒鉄 達海少佐だ。これからよろしく頼む」
ユウヤとヴィンセントは慌ただしく敬礼をした。同じくらいの年に見えたので階級も同じくらいだと思っていたのが予想の斜め上いってしまったのが理由だった。ユウヤは機体越しに知ってはいたがそんなの嘘だろうと思っていた。
黒鉄「今から一緒に来てもらう場所には、心神の追加兵装がある。そのテストのためお前達にも来てもらう。移動はシャトルを使っていくから伊藤、運転を頼む」
伊藤「わかった」
ユウヤ「なんで、シャトルを使うんだ?」
伊藤「場所は、宇宙だからだよ」
唯依、上総、ユウヤ、ヴィンセント「え⁉︎」
黒鉄と伊藤以外は間の抜けた声を出す。聞いたものは、こいつ何言ってんだと思った。だが唯依と上総はなんとなく知っていた。
黒鉄「出発は、今から15分後、心神のハンガー前に集合してくれ」
15分後
黒鉄を除いてシャトルに乗っていた。シャトルにはブースターがつけられていた。黒鉄はデルタカイをウェイブライダー形態で隣に止まっていた。
黒鉄「そっちの準備は?」
伊藤「こっちはOKだ。先行くぞ」
黒鉄「了解した。宇宙で会おう」
伊藤が操縦したシャトルが飛び立って行った。黒鉄も続けて飛び立った。
宇宙
シャトルでは、パニックが起こっていた。
伊藤は、艦内アナウンスでシートベルトを外してもいいっと言ったところ全員が今いる場所を忘れており、無重力状態の機内で溺れていた。
シャトルの横にデルタカイが寄って来た。
黒鉄「伊藤、機内が大変な事になってるぞ」
伊藤「大丈夫、大丈夫」
黒鉄「シャトルの操縦はこっちが受け持つから鎮圧してこい」
伊藤「了解した。では、頼む」
伊藤はシャトルで起こっているパニックを止めに行った。ユウヤが機転を利かし席に座らせていたが、なぜか唯依が後方にある船倉まで移動していた。
伊藤「(こいつら一体何してんだ?)」
伊藤「ユウヤ、地に足をつけろ」
ユウヤ「伊藤、操縦は?」
伊藤「遠隔操作してるから大丈夫だよ。唯依を頼む、あのままだと一番後ろまで行くぞ」
ユウヤ「わかった」
上総が伊藤に向けて小声で話して来た。
上総「あんた上手いように仕向けたわね」
伊藤「俺は何もしてないぞ。ただなんでこんな事になってるんだ?」
上総「それはいろいろあったの」
伊藤「いろいろね」
伊藤はヴィンセントの方に行き、黒鉄からの伝言を伝えた。
伊藤「ヴィンセント、黒鉄から伝言だ。着いたら見てもらいたい物があるそうだ。どうもあいつは戦術機については殆どわからんらしい」
ヴィンセント「でも、心神を設計したのは黒鉄なんだろう?」
伊藤「地球にいた時に設計したものだからな。宇宙に来てから少し記憶が欠如しているようだったよ」
話をしているとアナウンスがなった。
黒鉄「ご搭乗の皆様そろそろ到着するので右側の席にお座り下さい。もう数分経つと窓の方に我が艦が見えてきます」
やっと無重力に慣れ始めて来たのか、上総とヴィンセントは席を移ったが、奥にいったユウヤと唯依が中々戻ってこない。やれやれと伊藤は2人を迎えにいった。
奥の方から何か言い争っている声が聞こえた。伊藤は仲裁に入った。
伊藤「2人ともそこまで、そろそろ着くから席に戻ってくれ。その続きは着いてからにしてくれ」
伊藤は2人を連れ客室に戻った。するとアナウンスがなった。
黒鉄「ご搭乗の皆様。外をご覧下さい」
そこにいたのは、"マクロス・クォーター"だった。
黒鉄「我が艦、マクロス・クォーター級"アクロススカイ"へようこそ」
黒鉄が消えてからの話は後日書きます。