Muv-Luv〜wing of white steel〜 作:lancer008
何かが歩いている音がする。
音がする方向を見てみるとジェスタカスタム3機が歩行訓練をしていた。それを見ていたのは、黒鉄だった。場所は、日本帝国陸軍習志野基地である。
黒鉄は新部隊設立並びにMS操縦訓練の教官として訪れていた。訓練を受けている者は総勢40名程だ。その中から3名がA型(格闘特化仕様)、20名がB型(近接・空挺仕様)、10名がC型(射撃特化仕様)、7名がD型(飛行仕様)に選抜される。
次の大規模作戦まで殆ど日数もない為、2、3日地上での訓練をした後、宇宙に上がり兵装の訓練などをする予定だ。
現在は、歩行訓練をしていた。いくらシミュレータをしていても実際に乗ってみると殆どの者がバランスを失い転びそうになっている。それでも何人かはバランスを失うことなく歩き続けている。
黒鉄は司令室に行くと伝え訓練場を後にした。歩いている最中、黒鉄は先日のことを考えていた。
先日
伊藤との一騎打ちをした。ナイトメア同士による空中格闘戦機動。今まで一度もやった事のなかった本気での勝負、どちらが勝つか見ている方からは全く予想がつかなかった。
それは本人たちにも。
何故、戦わなければいけなかったのか、それは今まで足並み揃え同じ道を通ってきた。だがこれからは違う道を通らなければ行けないからだ。前者はクォーター級アクロススカイ搭載機動戦術MS部隊隊長、後者は日本帝国空軍バルキリー隊隊長と別々の道を歩んで行くからだ。
これが最初で最後の一騎打ちだ。
勝ち負けではなく、これから一人でも生きていけるのか、覚悟は出来ているのか、その心意を確かめるために2人は戦っている。
互いの弾丸がすぐ横をすり抜けていく。
一瞬でも気を抜いたら死が待っているという気持ちで弾丸を避けていく。
互いの気持ちを全てぶち当ててこそ勝負が決する。
両機ともガウォーク形態となり空中に制止し、呼吸を合わせる。
2機が同時に動く。
発砲音がなる。
結果は、相打ち。両機とも肩部に被弾並びに残弾ゼロ勝負は決した。
黒鉄「お前の覚悟、確かに受け取った」
伊藤「お前のものな」
黒鉄「俺は当分ここを離れる。これからはお前が引っ張っていけあいつらのことを頼むぞ」
伊藤「ああ、わかっているよ。こっちの事は気にするな。お前はお前の仕事をしてこい」
黒鉄「そうだな」
短い会話の後、通信が入り演習が終了した。基地に帰投した。黒鉄はそこで辞令は言い渡され日本へ転属することになった。向かう前に用事を済ませる事にした。
黒鉄は上総に会い、何かを渡した。
黒鉄「次、会う時まで考えておいてくれ」
上総「わかったわ」
黒鉄「じゃあ、行ってくる」
上総「いってらっしゃい」
黒鉄は歩きながら笑みを浮かべ手を振った。
日本帝国陸軍習志野基地司令室
黒鉄はそこで人と会っていた。その人物はこれからアクロススカイの艦長をやる方だ。これからの事や現状についてだ。乗務員はそのまま、艦長と同じとこから出向してきた人たちなので乗務員間の関係は問題なかった。問題はその艦の種類だ。
アクロススカイは、可変攻撃宇宙空母に分類される。今までで聞いたこともない艦種で我々だけでやっていけるのかという不安も出ていた。それでも人類の希望という事で皆の気持ちが一つの方向を向いた。
そして、黒鉄はある事を話した。この部隊の初戦は表向きは地球でだが、月で一戦やろうと。