Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第三十話

伊藤は自分の部屋で書類を整理していた。午後から模擬戦が予定されているのもあるがその他にも大事な予定があるからだ。

 

伊藤が大体の書類を片付けた時、ノックがなった。入室許可を出すと懐かしい人が入ってきた。

 

伊藤「お久しぶりです教官」

 

教官「久しぶりだな伊藤。随分、衛士らしくなったんじゃないか?それに俺はもう教官じゃないぞ」

 

伊藤「すいません」

 

伊藤は椅子に案内した。

 

教官「それで俺を呼んだ理由はなんだ?」

 

伊藤「単刀直入に言います。この部隊に入隊してくれませんか?」

 

教官「何故だ?」

 

伊藤「この基地で扱っている機体は全て特殊な物ばかりで、パイロットも新兵が殆どです。その為、"死の8分"を経験した事がない者もも多く、このまま実戦に出せば必ず死ぬでしょう。本当は、この隊にもベテランのパイロットは居たのですが、多分そちらには噂として広がってると思いますが、先日の国連軍基地でのテロ事件の際、政府の発表では、日本の被害はゼロと発表しましたが私と共に派遣された旧ナイトメア隊第1分隊はあの事件で壊滅しました。8名中6名が死亡、2名が重体。機体も8機全機が大破となりました。今、この隊には対BETA戦闘を経験したパイロットが殆どいない状況なのです。そのために、教官いや大尉の力を貸して頂けませんか?」

 

教官「私にもあの特殊な機体を使わせ、新兵を訓練しろと?」

 

伊藤「いえ、教官には今年の8月にロールアウトした新型の第4世代戦術機、F-3 心神のパイロットをしてもらいたいのですが?」

 

教官「機体データはあるのか?」

 

伊藤「あります」

 

伊藤は机の上に心神の資料を置いた。その資料にはトップシークレットの文字があった。

 

教官「この機体は俺の耳に入っていたが、既に実戦配備されていたとはな。前から思っていたんだがこの機体の設計者は黒鉄というのは本当か?」

 

伊藤「本当です」

 

教官「あいつは今、何をしている?」

 

伊藤は、現在黒鉄が置かれている状況を話した。そしてその経緯も全て話した。

 

教官「そうか……。なら伊藤、その助けてもらった命を何のために使う?」

 

伊藤「この世界からBETAを一掃するためにそして、愛する者を守る為に使います。もしあいつが今後目覚めなければ黒鉄の愛する者を代わりに守ります」

 

教官「わかった。俺も覚悟を決めた。お前の隊に入隊するよ。但し、1つ条件がある」

 

伊藤「条件?」

 

教官「俺が今、受け持っている帝国陸軍訓練兵の基地見学の許可を出して貰いたい」

 

伊藤「それならお安い御用です。大尉の入隊を歓迎します」

 

2人は握手をした。

 

すると何処から情報が伝わったのかわからないが正門から大型バスが2台入ってきた。そこから多くの訓練兵やその教官が降りてきた。

伊藤は直ぐに部下に指示を飛ばし、案内の準備をさせた。

 

伊藤「最初から仕組んでましたね」

 

大尉「何の事かな」

 

伊藤「午後から模擬戦をするのですが見て行きますか?」

 

大尉「もちろん」

 

伊藤「わかりました。正式な辞令は後日行くと思います」

 

伊藤は大尉を格納庫に案内するために部屋を出た。

格納庫に行くと訓練兵もいたので、一緒に機体の説明をした。やはり新型の戦術機が出ると多数の質問が寄せられた。中ではやはりナイトメアに関する質問が多く、伊藤や整備員達がその対処に追われた。

その後、ブリーフィング室に案内した。そこでは武装の説明をした。やはりその中でも注目を浴びたのが荷電粒子ライフルである。突撃級の殻をいとも簡単に貫通し、その後続をも倒してしまう威力に皆息を飲んだ。

 

伊藤「1300から模擬戦を開始するのでそれまで休憩して下さい」

 

伊藤はアナウンスを使い、模擬戦に参加する全てのパイロットを格納庫脇の待機室に招集させた。

 

伊藤「ナイトメア第1分隊、心神隊6機編成でやる相手は俺が務める。今回は手加減して心神のグランドパックで行く装備に関してはフルで行くから覚悟しとけ。残りの機体についてだがスクランブル用として待機させる。俺からの説明は以上だ。解散」

 

 

 

 

1300

 

演習区域では、16対1というとんでもない模擬戦が開始されようとしていた。

オペレーターのアナウンスで開始され戦力としては、ナイトメアはスーパーパック装備が6機、イージスパック装備が2機、心神6機である。

既にイージスパックを装備している機体がいるため伊藤の位置はバレバレだった。数秒後には伊藤の元にペイント弾の雨が降りそそいだ。伊藤はジグザグに動き回避しながら肩部40mmバルカン砲を使い応戦した。

この兵装は、ドラム式の弾倉を使用し弾倉を交換すれば撃ちつづける事ができる。また、使用不能になった場合、パージする事が可能だ。

 

グランドパックは基本ホバー移動のため、武装や装甲をパージすると移動速度が上がって行き、それを利用し自機の回避を行なっていく。

 

伊藤の機体は、バルカン砲と一部の装甲パージした後、何処かに隠れた。それを探ろとイージスパック装備のナイトメアが移動しようとしたところ機体に衝撃が走り、撃墜判定がでた。それと同時にもう1機のナイトメアも撃墜判定が出た。

 

その頃、ブリーフィングルームで模擬戦を見ていた訓練兵からは驚きの声が上がっていた。理由は、伊藤は機体に装備していた折曲式長長距離荷電粒子ライフル(ペイント弾を使用)使い、上空5000m付近を飛んでいるイージスパック装備のナイトメアに1発も外す事なく当てたのだ。場面が切り替わり今度は、発砲地点を強襲しようとしていた心神が映っていた。伊藤はすぐ様ライフルを投げ捨て、兵器担架システムを使い40mm突撃砲を後ろに構え、脚部に取り付けてあった20mmツインハンドガンを正面に構え、迫り来る心神に向けた。

射程距離内に入ると心神に向けて同時に発砲を開始した。命中率は100%いかないものの80%程は命中し、着弾地点はほぼコックピット部分に集中していた。次々と撃墜判定が出されていった。

 

伊藤「動きが単調すぎる。こいつら一体今まで何を訓練してきたんだ。後は第1分隊だけか、残弾状況は20mmツインハンドガン30発、頭部20mmバルカンポッド、腕部30mmバルカンポッドが各100発、74式近接長刀1本と近接格闘ナイフが4本ずつと」

 

 

第1分隊side

 

「生き残ってるのは俺たちだけか。だが、相当数の弾薬を消費した筈だ。良し、全機畳みかけるぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

out

 

 

伊藤side

 

伊藤「40mm突撃砲パージ。腕部30mmバルカンポッド展開。跳躍まで30秒」

 

out

 

 

一瞬、戦域が静寂に包まれた。

 

最初に攻撃を開始したのはナイトメアだった。2方向から向かって行きガンポットを掃射した。伊藤はそれに合わせ前方から来ていたナイトメアに向かって跳躍した。

いきなり目の前に出て来た心神との衝突を避けようとナイトメアはガウォーク形態となり空中に停止した。ほんの一瞬の隙を使って伊藤は30mmバルカンポッドを浴びせた。多数の着弾によりピンポイントバリアの限界を超え次々と機体に着弾し、撃墜判定がでた。

残りのナイトメアが伊藤の後方から接近しガンポットを撃ったが全て心神に装備されていたリアクティブアーマーに命中していた。心神はリアクティブアーマーをパージし近接格闘ナイフをナイトメアに向かって投げつけそれを避けようとしたナイトメアを74式近接長刀で叩きつけた。

実戦であれば即死なため、全機撃墜の判定が出た。

 

オペレーターから戦闘終了の通信が入り、帰投した。

 

ブリーフィングルームではあまりにもかけ離れ過ぎた戦闘に皆が絶句していた。そんな中、伊藤からアナウンスがなった。

 

伊藤「これを見ていた訓練兵諸君。自分もこの部隊に入りたいと思ったら迷わずここにこい。こちらは歓迎する。以上、日本帝国陸海空統合軍所属伊藤 響大尉から本日の見学日程はこれにて終了だ。本日はお疲れ様」

 

この後、基地内に伊藤の怒号が響いたのは別件である。

 

 

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