Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第三十五話

アクロススカイは出航の準備が整ったため湾外へ出ようとしていた。

 

伊藤「今回、参加するのは2人だけですね」

 

まりも「ええ」

 

伊藤「機体の方は、宇宙にあがったら搬入するのでそれまでは、士官室で休んでいて下さい。誰か案内を頼む」

 

「わかりました。どうぞこちらへ」

 

まりもと伊隅は整備員に連れられていった。

伊藤は、艦橋へと向かい基地へ機体の追加を行なった。

 

伊藤「心神を2機追加してくれ、装備はFで頼む。念のため、弾薬を満載したのも上げてくれ。それから作戦開始前くらいに客がいらっしゃると思うから丁重に扱ってくれ。悪くて首が飛ぶから。警備も増やして」

 

「了解しました。ご武運を」

 

伊藤は通信を切った。何か言い忘れた気もしたが既に湾外に出て飛び立つ態勢に入っていたため座席に座った。

艦長「離水せよ」

 

艦が離水し、速度を上げながら、上空へ上がっていった。統合軍基地でも降下ポットが出撃し始めた。約20機のポットが宇宙へ上がった。アクロススカイも無事に宇宙空間へと到達した。

 

艦長「これよりブラボー大隊を回収する各員掛かれ」

 

艦を降下ポット近くまで動かし、搭載してあるナイトメアやデストロイドを使い回収作業を開始した。全て回収したのち、前線基地へ向けてフォールドをすることになった。

 

「作業完了まで20分ほどです」

 

艦長「了解した」

 

伊藤は、席を立ち士官室へと向かった。

士官室に入るとベルトを外したのか、まりもと伊隅が宙に浮かんでいた。

 

伊隅「大丈夫ですか?」

 

伊藤は2人の手を取り、足を床につかせた。

 

伊隅「ありがとうございます」

 

伊藤「これからフォールドを行いますので、席に着いてて下さい」

 

まりも「フォールドとはなんです?」

 

伊藤「一種のワープの様なものです」

 

フォールドについて一通り説明し終えた頃に艦が動き出した。

するとここで艦内放送がなり

 

「これより我が艦はフォールドを行います。乗務員は所定の位置について下さい。繰り返します、これより………」

 

伊藤「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。一瞬で終わりますから」

 

フォールドを開始した。

ものの数分でデフォールドした。その先に見えたのは以前来た時よりも大きくなっていた前線基地だった。基地に近づくに連れて、バイパー隊の2機が出迎えかえてくれた。念のため、哨戒任務を行なっている分隊の1つだろう。アクロススカイは前線基地へドッキングし燃料の補給や物資の荷降ろしを行なった。

伊藤は、2人に機体を見せるため格納庫へと案内した。

格納庫内では降下ポットから機体をだしている最中だった。

 

伊藤「この機体を使ってもらいます」

 

まりも「この機体は?」

 

伊藤「今年の夏にロールアウトしたばかりの新型です。ですがちょっとした問題がありましてパイロットデータがまだ半分ほどしか入っていません」

 

まりも「それはどういうことですか?」

 

伊藤「この機体は国連ユーコン基地で試験を行なっていまして………」

 

伊藤はユーコン基地で起きたことやパイロットデータのことに関して説明した。

 

伊隅「それじゃあ、この機体はまだ不完全ですと」

 

伊藤「なのでこれから2人にはシミュレーターをやってもらいます。2人の腕なら4時間もあれば自由に動かせるようになるでしょう」

 

伊藤は、耳についていたヘッドセットのスイッチを押し、

 

伊藤「デルタ大隊所属の山城中尉、至急アクロススカイ格納庫までお願いします」

 

数分後、アクロススカイ甲板に機体が着艦し格納庫内に入ってきた。着艦してきたのは、デルタプラスだった。

 

上総「すみません。少し遅れたわ」

 

伊藤「紹介します。アクロススカイ搭載機動戦術MS部隊隊長の」

 

上総「山城上総中尉です。短い期間ですがよろしくお願いします」

 

伊藤「では、中尉後は頼んだ」

 

伊藤はそう言い残し、艦橋へ向かった。

上総は、艦内にあるシミュレータールームへと案内した。ここでまりも達はある疑問が浮かんだ。

 

まりも「強化服はどうするのですか?」

 

上総「伊藤少佐から何も聞いてませんか?」

 

2人が首を横に振った。

 

上総「その説明をする前にシミュレーターの中に入ってもらった方がわかりやすいですかね」

 

そういい、シミュレーターの中を見せた。中を見たまりもと伊隅は絶句した。それはパイロット席を360度囲むようにしてつくられてあるモニターだった。強化服を使った網膜投影よりも綺麗にはっきりと見えたからだ。

 

上総「このように私達が使っている機体は全てこのようなつくりになっているため強化服をつかいません。かわりにこちらのものを着ます」

 

上総は、隣にあるロッカーから2着のノーマルスーツを取り出して見せた。ノーマルスーツに対しても強化服と違う点などを説明した。

 

伊隅「強化服よりも動きにくそうですね」

 

上総「そうですね。でも慣れれば大丈夫ですよ。そろそろシミュレーターを開始しますか」

 

まりもと伊隅はノーマルスーツに着替え、シミュレーターの中に入った。

まずは歩行訓練から行われた。何故今さらと思っていた2人だったが動かしてみてその意味がわかったようだった。心神はデルタカイをベースにつくられているため戦術機と同じ様に動かそうとするとバランスを崩し転倒してしまうのだ。だが流石はエースパイロットと言うべきであろう新兵であったら丸一日掛かって克服できるものをたった3回で克服してしまったのだ。これに関しては上総も驚きを隠せなかった。

 

数時間後

シミュレーターを行なっていると艦内放送が流れ、全パイロットは、前線基地にあるブリーフィングルームへ集合せよという放送がなった。

 

ブリーフィングルームには全てのパイロットが集まり着席していた。

 

伊藤「全員集まったな。これより作戦の概要を説明する。今回の作戦目標は月にいるBETAの殲滅ならびに月の奪還にある。

今回の作戦内容についてだが、第1フェーズはアクロススカイならびにデルタ大隊第5、第6部隊による月地表への攻撃を行う。そしてブラボー大隊第2部隊アックス隊、スピア隊、デルタ大隊第3部隊アームズ隊が降下し弾丸の雨を降らせ降下地点を確保する。ここである程度のBETAが集まり出したら第2フェーズに移行する。アルファ大隊第1、第2部隊、デルタ大隊第4部隊は降下地点の反対側よりマイクロミサイルによる攻撃を敢行する。発射しだい各隊の隊長に従い格闘戦を開始せよ。地表にいるBETA群の減少を確認しだい第3フェーズに移り、最初に確保した降下地点に向けてブラボー大隊第1部隊ウィング隊、スカイ隊が降下し、反応炉があると思われる地下に向けて攻撃を開始せよ。その際、突入地点を確保できしだいデルタ大隊第2部隊は降下を開始せよ。デルタ大隊第1部隊に関しては国連から来ているパイロット達を護衛せよ。

尚、今回事前の強行偵察では光線種は確認されていない。思う存分戦ってくれ。以上だ。

質問があるものは?」

 

「もし、戦闘中に光線種や新種の個体が出た時はどうしますか?」

 

伊藤「その時は、作戦を中止し帰還する。他には?」

 

他に発言がなかったため解散した。

 

伊藤は、デルタ大隊第1部隊と上総とまりもと伊隅を呼んだ。

 

伊藤「ランサー隊は、この2人の護衛を頼みたい。地表に降りるのは、ブラボー大隊第1、第2部隊とおなじタイミングでいい」

 

「了解しました」

 

伊藤「山城中尉、今回はバイパー隊に加わってもらいたい」

 

上総「わかりました」

 

伊藤「2人は、第1部隊とともに降下して下さい。彼らは精鋭なので安心して下さい。30分後には出発しますのでそれまでに準備をお願いします」

 

まりも「1つ質問が我々も戦闘に参加しても大丈夫ですか?」

 

伊藤「ええ、大丈夫です。ただし、第1部隊隊長のいうことは必ずしたがって下さい」

 

まりも「わかりました」

 

伊藤「あ⁉︎」

 

伊藤は何かを思い出したかの様に固まった。

 

伊藤「全員に1つ言い忘れたことがあった。今回の戦闘は将軍が見てるから頑張って下さい。以上」

 

伊藤が退出しようとした時、基地内全体に広がるほどの声がこだました。伊藤は、後日、各隊長から苦情を受けることになった。

 

 

 

アクロススカイには格納庫内も甲板上も機体が満載されていた。前線基地とのドッキングを解除し、フォールドの準備に入った。全てのパイロットが機体内で待機していた。初の宇宙空間での戦闘ということもあり緊張を隠せないものもいた。そんな中で、デルタプラスに乗っていた上総は、

 

上総「黒鉄、私を守って。いつかまた一緒に戦える日が来るまで生き続けるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、目を開けた

 

真っ白な天井だった

 

誰からか呼ばれた気がしたがなにも感じなかった。

 

身体も動かない

 

まだ眠いな

 

ゆっくりと瞼を閉じた

 

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