Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第五十六話

アルファ大隊と艦艇部隊は共に指示された待機地点で戦闘配備のまま待機していた。クーデター直後の戦闘を除いてこれといった戦闘も無く時間が過ぎていった。帝都ではクーデター軍が帝都城を囲み斯衛軍との睨み合いが続いていた。

事態が膠着するなか活発に動いている部隊があった。それは日本帝国陸海空統合軍陸海空特殊作戦部隊"WWS"であった。他の部隊とは独自の行動をとっているため作戦の内容を知るのは基地司令などのごく僅かな者だけであった。

 

黒鉄が指揮する陸海空特殊作戦部隊は現在、帝都城に向け協力者とともに進軍中だった。途中何らかの妨害があると予想していたが誰とも会わず進軍出来た。この協力者というのは帝国情報省の鎧衣だ。神出鬼没の男でどこからともなく現れ要件を話し、いつの間にかいなくなっている。一度、黒鉄達も足取りを追おうとしたがすぐに見失ってしまった。

黒鉄は最初、鎧衣からの要請を断ろうとしたが上の方からの要請もあったため渋々受けていた。任務内容は数日前にならないと提供できないと言われていたためある程度、予想し訓練を行なった。

休みに入り、自身のPCを開いてみると一通のメールが届いていた。内容は暗号化されていたため全文を読み取るのに時間がかかった。黒鉄はこの時、今まで味わってきた事のない気持ちに襲われた。

そのメールには近々、帝国でクーデターが起こること。それに伴う任務だった。任務としては2つ。

 

1つ目の任務は、日本帝国首相榊 是親と各官僚の警護と確保。最優先目標は榊 是親であった。

 

2つ目の任務は、鎧衣とともに日本帝国国務全権代行政威大将軍煌武院 悠陽殿下の救出と護衛だった。

 

黒鉄自身もクーデターがある事は情報部からの連絡でわかっていた。オルタネイティブ計画の事もあり1つ目の任務は黒鉄からも打診していた事だったのであまり気にし無かったが2つ目の任務について今までのどの任務よりも一番大変な任務だということがすぐにわかった。この国の象徴でもあり一番偉い人間でもある。この方を護衛する事はこの先の日本の未来を決める立場にいる事も理解出来た。覚悟を決め、PCを閉じようとした時、一番下の方に添付されている写真があったので開いてた。そこに写し出されたのは関節部から蒼い炎を出す心神だった。

黒鉄は"何故?"と思ったが少し考えればわかる事だった。先行配備された機体の設計図やOSは黒鉄専用に作られたものだからだ。この機体を配備したところ"制御系がおかしいのではないか"や"操作性が過敏過ぎる"という意見が寄せられそのスペックダウンされた機体が今現在、統合軍や斯衛軍、本土防衛軍で使用されている機体だからだ。黒鉄はPCを閉じ、何処かに電話を掛けた。

 

 

 

 

 

装甲空母"翔鶴"艦内

 

伊藤と各小隊長、翔鶴艦長と幹部が集まり会議を開いていた。

 

艦長「これからどうしますか?」

 

伊藤「今は待機としか言えない。帝都の方も膠着状態が続いている。ここで戦闘でも起こったら飛び火を起こし帝都まで広がる今は待機だ」

 

「ですが、こうまで戦闘態勢が続くと乗員にも疲れが出てきます」

 

伊藤「なら戦闘態勢を解除してもいい。少し、休息を取らせろ。但し、直ぐに配置につけるようにしろ」

 

「わかりました」

 

伊藤「他に何か報告する事はありますか?」

 

突然、扉が勢いよく開いた通信員が、

 

「報告します。帝都で戦闘が開始されました」

 

室内にいた全員がどよめいた。

 

伊藤「何があった⁉︎」

 

「未確認ですが、帝都城を包囲していた歩兵部隊の一部が斯衛軍部隊に向け発砲、それに対し斯衛軍第2連隊が全力で応戦。沙霧大尉からの戦闘停止命令も発表されましたが混乱は収拾出来ていません」

 

伊藤「全艦へ警戒態勢を敷きます。長期戦になる今のうちに食事を済ませて下さい。ナイトメア第1小隊から順番に周辺監視を行なって下さい。1時間毎に交代します」

 

艦長「他に連絡事項が無ければこれにて解散する 」

 

解散し自分達の持ち場に戻っていった。

 

伊藤は艦長を呼び止め、

 

伊藤「戦艦部隊は今どこに?」

 

艦長「まだ統合軍港です」

 

伊藤「直ぐにこちらへ合流させて下さい。最悪の場合、必要になるかもしれません」

 

艦長「わかりました」

 

伊藤は格納庫へ行き

 

伊藤「セイバー隊集合しろ!」

 

 

 

時間は少し戻り、帝都

 

黒鉄達は鎧衣とともに帝都城内に侵入していた。目標がいる部屋まで向かうと扉が開く音がした。覗くとスーツを着た男が独り言を話していた。ハンドガンを取り出し向かおうとした時、隣に居たはず鎧衣がいつの間にか相手の後ろに立ち鈍器のような物で殴り付けた。

 

鈍い音がした。

 

「隊長、あれ大丈夫ですかね?」

 

黒鉄「大丈夫だろう。多分。まあ死んでだとしても俺らのせいじゃないよ。ほらさっさと行くぞ」

 

鎧衣が部屋の中に入ったのを確認し黒鉄はランサー2を連れ部屋の中に入った。

 

鎧衣「遅くなって申し訳ございません殿下、お迎えにあがりました」

 

悠陽「鎧衣!後ろの方は?」

 

鎧衣「護衛の者です。逃げ切るまで彼らが護衛につきます」

 

黒鉄「お久しぶりです殿下、脱出するまで自分達が護衛します」

 

悠陽「以前、お会いしましたね」

 

黒鉄「ええ、そうですね。お急ぎ下さい」

 

元来た道を戻り出した。黒鉄達は目標を囲むように脱出を始めた。

 

鎧衣「帝都城脱出と同時に他のルートにも囮を撒いておきます。これであちらも戦力を分散せざるを得ない」

 

悠陽「鎧衣、先に命じておいた件は如何に?」

 

鎧衣「ご安心を半刻もすればさる筋から伝わるようになっております。しかしよろしいのですか?」

 

悠陽「構いません。これ以上は帝都の民に累を及ぼすわけにはいかぬ」

 

鎧衣「では参りましょう殿下。この争いを止めるために」

 

脱出の為に用意しといた車両に乗り込んだ。全員が乗った事を確認し発進させた。

 

「隊長、命じておいた件て何ですか?」

 

黒鉄「脱出情報をリークしたんだと」

 

「え⁉︎」

 

「それはどういうことですか!」

 

黒鉄「声がでかい!殿下の意思だよ。これ以上、民に被害を出す訳にいかないと」

 

「そういうことですか」

 

黒鉄「そういうことだ。もう直ぐ外に出るぞ周辺警戒を厳だ」

 

「了解」

 

黒鉄「鎧衣さん、目標地点までもう少しですがどうしますか?」

 

鎧衣「手前で止まって下さい。途中からは歩いていきます」

 

黒鉄「了解しました」

 

手前まで行き、降車した。ランサー2とともに先行偵察へと向かった。その際、装備していたステルス迷彩を起動した。装備している銃はMP5 SD5を装備している。この銃はサプレッサーを標準装備し世界各国の特殊部隊で運用されている。

 

黒鉄は目標に近づき辺りを見渡した。何も以上がないと思い視線を上に向けると戦術機が見えた。色からして国連軍機だろう。だが機体は訓練機の吹雪だった。突然、ランサー3から連絡が入り、

 

「隊長、殿下が歩き始めました」

 

黒鉄「こっちのクリアリングは終わってないぞ。何とか静止しろ」

 

「了解」

 

前方の戦術機から人が降りてくるのが見えた。衛士が殿下達に気づいたのかいきなり身体を低くした。黒鉄は、ランサー2とともに後ろへ回りこんだ。

 

⁇?「とまれ!両手を頭の後ろに持っていきこちらを向け!」

 

殿下に銃を向けたのと同時に黒鉄も相手の後頭部に銃を突きつけた。

 

黒鉄「今すぐ銃を下ろせ。そして銃を下に置け」

 

悠陽「よい、その強化装備は国連軍の者だな」

 

またいつの間にか国連軍衛士の横に立っていた鎧衣が、

 

鎧衣「まさかこの場所に君たちがいるとは、いやはやさすが香月博士というべきか」

 

???「鎧衣課長なんでこんな所に?後ろにいる方は?」

 

悠陽の紹介も終わり、今度はステルス迷彩を解除した黒鉄達の方へと向けられた。

 

鎧衣「この人達は護衛をしている者だよ。白銀 武」

 

白銀「護衛て?」

 

黒鉄「今回、脱出まで護衛についている黒鉄中佐だ。これからよろしく頼む」

 

白銀「これから?」

 

鎧衣「では白銀 武、君が殿下を横浜基地までお連れするのだ」

 

白銀「俺が⁉︎」

 

鎧衣「戦術機のコックピットなら殿下をお乗せする事は可能だろう?この状況ではそこ以上に安全な場所はないと思うがね」

 

白銀「確かにそうですが、それなら中佐達の方が適しているのでは?」

 

黒鉄「俺たちの機体にはリミッターがついて無いんだ。それに重力下だっていうのに無理な機動をするからな」

 

鎧衣「私は帝都に戻りもうひと仕事してこなければならん。あとは頼んだぞ、白銀 武。黒鉄中佐、殿下をよろしくお願いします」

 

鎧衣は来た道を戻っていった。

 

黒鉄「白銀だったか?階級は?」

 

白銀「いえ自分はまだ訓練兵ですので階級は………」

 

黒鉄「訓練兵だと?」

 

話をしていると指揮官だろうか2人の衛士が降りてきた。1人は同じ国連軍でもう1人は斯衛軍で色は赤だった。

 

⁇?「白銀訓練兵いったい何をしている?」

 

斯衛軍衛士が何かに気づき悠陽の前に来て、

 

⁇?「殿下、ご無事で何よりです。どうしてこんな所に?」

 

悠陽「月詠、そなたがいるという事は………」

 

月詠「はいそうです」

 

話しをしている時、黒鉄が割って入った。

 

黒鉄「お急ぎ下さい。クーデター軍が進軍を開始しました。帝国軍と国連軍が防衛線を張っていますが長くは持ちません」

 

悠陽「そうですね。行くとしましょう」

 

移動の準備を開始した。黒鉄達は機体に乗りこみ起動した。システムを全て問題がないか確認しゆっくりと機体を起こし始めた。回りではいきなり現れた機体に驚いていた。IFFを共有するため回りにいた機体にコードを送りその後、データリンクを回復するため伊藤の元へ通信を繋げた。

 

黒鉄「ランサー1からセイバー1へ、応答願う」

 

伊藤「今までどこに行ってた!」

 

黒鉄「すまんな。データリンクを回復したいリンク22を接続したい」

 

伊藤「了解した」

 

黒鉄「それとアルファ大隊は出撃準備をしてくれ。最悪出てもらう」

 

伊藤「もうとっくに準備は出来てるよ。早く出撃させてくれとうるさいよ。んで任務内容は?」

 

黒鉄「俺たちはこれから殿下を連れ一時、伊豆半島を南下その後、敵をやり過ごし横浜基地へ向かう。アルファ大隊には支援攻撃を行ってもらいたい。それと………」

 

伊藤「俺たちセイバー隊は前衛で敵を叩けか?」

 

黒鉄「そうだ。ブレイド隊も一応展開しているが相手が相手だどうなるかわからん」

 

伊藤「デルタはどうする?」

 

黒鉄「あいつらはまだ調整中だ。最悪来れないな」

 

伊藤「了解した。死ぬなよ」

 

黒鉄「お前もな」

 

 

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